東京経済大学

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2017年度 第28回
キャリアデザインプログラム 新井 一央 特命講師

やりたいことは自己分析だけじゃ見つからない。キャリアデザインプログラム 新井 一央 特命講師 やりたいことは自己分析だけじゃ見つからない。キャリアデザインプログラム 新井 一央 特命講師

Arai Kazuo
東京経済大学 特命講師 / キャリアコンサルタント
中央大学法学部法律学科卒業。獨協大学大学院法学研究科 刑事法専攻 修士課程修了。主な研究分野は、キャリアデザイン。学習センターで開催される講座「キャリア基礎力と大学生活の過ごし方」「自己PR・志望動機の固め方と伝え方」「授業の聴き方・ノートの取り方講座」などの講師も務めている。

「キャリアをデザインする」って、どういうことですか?

 キャリア=就活のこと、と誤解する人がいますが、それは少し違います。「キャリア」の語源は「轍(わだち)」。車輪の跡、つまりこれまで歩んできた人生の軌跡です。その道のりを時折振り返って、悩み考え、そして将来を展望するーー。これがキャリアをデザインするということです。
 といっても、簡単なことではありませんよね。いまは、5年先、10年先の社会情勢も読めない激動の時代。かつてのように大手企業に入れば安泰ということはありえません。また、育った環境や出会った人の影響を受けて、無意識のうちに選択肢を狭めてしまっていることもあるかもしれません。では、どうするか。大切なのは、学ぶことで世の中を知り、自らを知り、自分の居場所を作る、すなわち「自分の人生を主体的に切り開いていく姿勢」を持ち続けることではないでしょうか。

将来何をしたいのか、まだ分からないのですが。

 自分の夢ややりたいことが見つからない人って、実は大勢います。それで就職活動前に焦って自己分析をする......あれってちょっと暗い気持ちになりません? 僕はあまりお勧めしません(笑)。
 自分の内面を見るよりも、まずすべきは「社会を知ること」「教養を身につけること」です。例えば、本が好きな人は、出版取次の仕組みやその経済効果を学べば、出版業界を好転させる新たな可能性に気づくかもしれません。また、地元愛が強い人なら、外から地域経済を活性化する術を知ることで、仕事の選択の幅が広がるでしょう。"自分"ではなく"社会"に目を向ける、そのことが結果として、自分の夢や方向性を見つけることにつながるのです。しかも、知らなかった新たな世界に出会うという、大きな喜びを感じながらね。

この春始まった「キャリアデザインプログラム」って?

 1年次に、経済・経営・コミュニケーション・現代法の4学部の入門科目を幅広く学び、2年次から所属学部を選択するという新しい学びのスタイルです。大きな特長は、4年間を通じて少人数のワークショップ形式で就業力を身につけていくこと。2年次以降は学部横断履修も可能なので、例えば「グローバルビジネス」というテーマなら、経済学部で「国際貿易論」、経営学部で「グローバル・マーケティング論」といったように、学部を越えた体系的な学びも深められます。
 2017年春に第1期生50名を迎えましたが、みんな意欲にあふれた学生ばかりです。授業を主体的に作っていく意識が高く、我々教員が指示をしなくても事前にテーブルや椅子、ホワイトボードまで用意してくれているほど。議論が白熱して時間が足りなくなることもしばしばです。まだ始動したばかりですが、東経大が誇る教育プログラムの一つになると確信しています。

就業力を磨くワークショップというのは?

 15~17名の少人数で行う「キャリアデザイン・ワークショップ」は、自らのキャリアを考えること、課題解決能力を高めること、仕事への理解を深めること等を目的としたものです。経営学やキャリア心理学といった様々な分野の教員がテーマを設定し、毎回4人1組ほどのグループに分かれて議論し、答えを導き出し、プレゼンする。それを繰り返すことで、物事をロジカルに考える力、異なる意見・価値観を受け入れる力、自分の主張を他者に伝える力、情報の集め方などを養っていきます。
 このワークショップに、用意された正解はありません。それは、就職活動でも社会人人生でも同じこと。正解のない世界で力を発揮するための力を、日々のワークショップで鍛えているのです。

大学生活のアドバイスをお願いします。

 大学では、「何を学ぶか」以上に「どう学ぶか」が重要です。どんな先生から、どんな環境で、どんな先輩と一緒に学べるのか、オープンキャンパスなどでしっかり見極めてください。
 それから大学という場は、授業以外にも学びのチャンスがあふれています。例えば東経大の「グローバルラウンジ コトパティオ」という学習スペース。ここに来れば、いつでも好きな時にネイティブスピーカーと喋れます。通じなかったら大いにショックを受けなさい(笑)。隣の「学習センター」に行けば、日本人のアドバイザーが丁寧な指導をしてくれるはず。そうやって英語力を磨き、留学した学生は大勢います。
 僕自身のことを振り返っても、人生を節目節目で変えてくれたのは「学び」の力でした。皆さんも、社会に巣立つ前の大きな節目の時代に、良き学びに出会い、豊かな人生を歩んでいってほしいと思います。

Students'VOICEキャリアデザインプログラムで学ぶ学生の声

角 智優さん(キャリアデザインプログラム1年)
学びたいことが絞れなかったので、入学後に学部選択ができるという点は大きな魅力でした。また、結婚や出産を経てもずっと仕事を続けている母に憧れており、私も自分のキャリアについてじっくり考えてみたいと思っていました。最近の授業で面白かったのは、経営学部の入門科目。消費者として生活していると見過ごしてしまう、仕入れや流通といった川上の部分を知ることができて興味深かったです。これから時間をかけて、進む道を決めていきたいと思います。
安生 亘輝さん(キャリアデザインプログラム1年)
僕はずっと教員を目指していたのですが、より幅広い可能性に出会えることに魅力を感じ、ここへの入学を決めました。1期生なので、「新しい場を自分たちで作っていくんだ」という気持ちで日々過ごしています。新井先生は、人としても先生としても尊敬できる方です。この前は、カフカ『変身』を例に、「視点・立場を変えると物事はどう見えるだろうか」を考えるワークショップでした。自分が普段考えもしない内容なので、毎回とても面白いです。

※学年は取材当時のものです。

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