東京経済大学

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2017年度 第33回
コミュニケーション学部 北村 智 准教授

SNSは、はたして孤独を和らげるのだろうか?コミュニケーション学部 北村 智 准教授 SNSは、はたして孤独を和らげるのだろうか?コミュニケーション学部 北村 智 准教授

Kitamura Satoshi
東京経済大学 コミュニケーション学部准教授
東京大学文学部行動文化学科卒業。東京大学大学院学際情報学府学際情報学専攻 修士課程修了。東京大学大学院情報学環特任助教などを経て、現職。主な研究分野は、情報行動論、メディア・コミュニケーション論。近著に『ツイッターの心理学 情報環境と利用者行動』『日本人の情報行動 2015』(ともに共著)ほか。

LINEやInstagramが、研究のテーマになるのですか?

 正確には「メディアそのもの」ではなく、「メディアを利用している人」の行動や心理が、私のゼミの研究対象です。最近の卒論テーマは例えば、「LINEの利用と孤独感の関係」「Twitterのアカウントを2つ以上取得している人の使い分け方」「Instagramに写真を投稿する動機」などがあります。
 いま、ゼミ生は2〜4年生まで合わせると43人。2年次は、専門書の輪読を通してメディア・コミュニケーションに関する基本的な知識や考え方を習得。レジュメのまとめ方やプレゼン法のスキルアップも目指します。3年次はメディア利用に関するグループ研究、4年次に個人研究で卒論を仕上げるという流れです。

「メディア利用者」に着目するのはなぜですか?

 「巨人・大鵬・卵焼き」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。1960年代、子どもや大衆に人気があるものの代名詞として流行しましたね。それから半世紀が経ったいま、世の中の多くの人が同じものを見聞きし、嗜好し、消費していた時代はとうに終わりました。
 メディアも同様です。情報通信技術が発展するにつれて、メディアのサービス、デバイス、アプリケーションは、画一的なものから、個々のユーザーがニーズに応じて使い分けるものへと変容しました。例えばスマホ。搭載しているアプリケーションは、ユーザーごとに違います。Twitterという同じアプリケーションであっても、そこに表示されるツイート内容はフォローしている人によって当然違いますね。
 メディアがこれだけ「カスタマイズ可能性の高いもの」になったいま、それを深く分析するためには、「使う側の視点」からアプローチすることが効果的だと考えています。

質問紙調査やインタビュー調査を重視しているそうですね。

 人は誰でも「自分がこうだから、他の人もそうだろう」とつい考えがちです。しかし現実には、例えば、自分の意図と違う解釈をされて相手とトラブルになったり、LINEの"既読スルー"が問題になったりと、コミュニケーションがうまくいかない例は多々あります。メディアに対する価値観や認識も、人それぞれ驚くほど違うのです。
 こういった人の多様性について「どのように違うのか」「どんな共通点があるのか」という傾向を探るための手段が、「質問紙調査」「インタビュー調査」などの社会調査です。質問紙調査は、メディア・コミュニケーション研究においては非常にポピュラーな手法ですが、この設計は容易なことではありません。どんな質問項目を立てれば、必要な答えを導き出すことができるか、ゼミでは3年次に徹底して学びます。

国分寺市在住の18歳以上を対象に、社会調査をするとか。

 3年次のグループ研究では、「国分寺市の18歳以上の人を対象に社会調査をすること」を条件にしています。これには明確な意図があります。LINEやInstagramなどの身近なメディアばかりに意識が向きがちな学生たちに対し、18歳以上という「年齢」の制限を加えることで、その関心領域をある意味、強制的に広げさせているのです。例えば、「インスタ映え」というテーマを考えても、シニアの方も調査対象に含まれているため、該当する対象者がかなり限定されてしまいます。そうしたテーマを研究する場合は適切な調査対象を設定する必要があります。3年次の学生たちは、幅広い年齢層が対象となりうるテーマを必死に考え、「テレビCMと購買意欲の関係」「娯楽のためのメディア利用」など、様々な研究に取り組んでいます。
 3年生が取り組むアンケート調査の手法は「エリアサンプリング」です。国分寺市の町ごとの世帯数に比例する確率で地点を抽出。ランダマイズした番地を訪ねて、調査票をポスト投函しています。毎年ゼミ生と一緒にこれを行うので、僕はすでに国分寺市全域をくまなく歩き回りました(笑)。

ゼミでの経験は、将来どのように役立ちますか。

 日々の学生生活を送っていると、年齢や生い立ちなど、ある程度似通った人たちと過ごす機会が多いでしょう。ですが、社会に出てからはそうはいきません。50も60も年齢の離れた人が顧客だったり、あるいは上司だったりするかもしれません。世の中には多様な人がいることを自覚し、彼らの行動や心理を慮れることは、社会人として大事な要素の一つではないでしょうか。
 また、根拠となる事実やデータを導き出す論理的思考力・構成力、自分の意見を相手に伝えるコミュニケーション力も、ゼミ活動を通して鍛えていけると思います。

Students'VOICE北村ゼミで学ぶ学生の声

近藤優人さん(コミュニケーション学部4年)
もともとマスメディアに興味があり、基礎から幅広く学べると思い北村先生のゼミを選びました。卒論は、中学生の頃からずっと好きだった「ラジオ」について。ラジオの聴取率が決して高くないいま、どういった人がラジオを聞いているのか、インタビュー調査を通して探っていきたいと思っています。
竹本佳織さん(コミュニケーション学部4年)
北村先生は、どんな質問にも細かく丁寧に答えてくださるので、分からないまま終わるということがありません。苦労しているのは、アンケート調査。調査票を作り、配布・回収し、分析をする作業は大変ですが、社会調査の手法を学べるのはとても有意義なことだと感じています。
桑原彩希さん(コミュニケーション学部4年)
LINE、Twitter、Facebookなどの身近なメディアが社会に与える影響に興味があって、このゼミを選びました。3年次は「TVCMが購買意欲に与える影響」について調査を実施。初めてアンケートを作る立場になり、必要な情報を得ること、回答者が答えやすい質問を考えることがこんなにも難しいかと知りました。

※学年は取材当時のものです。

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教授インタビュー