東京経済大学

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事業報告書

事業報告書

Ⅰ事業の概要
1.教育・研究
(1)教育改革の推進
 大学設置基準の改正により、いわゆる就業力の養成が義務付けられたことを受け、2011年度以降、本学では、社会的・職業的自立に関する指導等に積極的に取り組んでいる。2012年度は、各学部の1年次ゼミにおけるキャリアガイダンスの実施以外に、キャリア形成への動機付けや第2学期以降のキャリア形成科目の履修誘導を行うなど、新入生の基礎力育成等初年次教育の強化を図った。
 また、2010年度に採択された「大学生の就業力育成支援事業」(文部科学省)からスタートした「TKUエンプロイアビリティ養成プログラム」の取り組みにおいては、経済学部1年次生の「キャリアデザイン入門」の全履修者とキャリアセンタースタッフとの個別面談を実施し、授業ではつかみきれない個々の適性に応じた指導を行った。なお、このプログラム所属生については、履修効果の測定と今後の個別指導等に役立てるため、「キャリア力検定」を実施している。
 2012年度に採択された「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」(文部科学省)では、関東山梨地域の13の他の大学・短大と連携した取り組みを開始した。これに関連して、2012年9月に「東京経済大学・多摩地域産学連携プロジェクト推進委員会」を発足させ、多摩地域の企業や自治体との連携体制を整えた。今年度は、多摩地域の中小企業調査に関するゼミ論文集を作成し、2013年3月に産学連携シンポジウム「多摩地域の地域連携の"今"を語る」を開催し、地域や産業界と連携した教育・研究を推進させた。
 一方、全学年を対象とした総合教育の強化、ゼミ教育を中心とする専門教育の充実を図るために、経済学部、経営学部及び全学共通教育センターでは、4年次に3回目のゼミ履修を可能とする運用を2008年度から試験的に実施してきたが、この制度を2013年度入学生から正式に導入し、上級年次生にも遡って適用することを決定した。
 こうした教育改革を支えるために、FD活動においては、全学FD会議主催による「新任教員研修会」を7月に実施し、本学の学生の状況や授業方法の改善等について活発な意見交換を行った。また、9月に外部講師を招いて人権委員会との共催による「ハラスメント講演会」を開催したほか、12月にはゼミ活動を通じた就職活動支援をテーマに外部講師による講演会を開催した。各学部・センターにおいても、ゼミの活性化やカリキュラム改革等に向けて、FD会議を開催し議論を重ねた。

(2)TKUチャレンジシステムの推進
 2007年度にTKUチャレンジシステムを導入して以来、これを本学の基本理念である「実践的な知力」「グローバル社会での活躍」を具体化するものとして位置付け、同システムの一層の推進を図っている。2012年度は、ベーシック科目で学生の需要の高い「日本語に関する科目」のコマ増(第1学期・第2学期各2コマ)を実施するとともに、「文系のための基礎数学」と学習センターにおける個別学習相談やSPI講座の連携をすすめた。
 また、英語eラーニングの課題学習支援体制強化のため、英語学習アドバイザーを4月より増強し、新5号館の「英語アドバイザー室」に常駐させることとした。これを受けて、各クラスで学習進度に遅れのある学生には授業担当教員が英語学習アドバイザーとの個別面談に誘導するなど、英語eラーニングを履修する学生の英語基礎力の底上げを目指す取り組みをすすめた。学習センターにおける英語学習アドバイザーも相談時間を延長すると同時に、複数いるアドバイザーのシフト体制を工夫し、その連携を強化することで多様な学生の英語相談に対応した。
 アドバンストプログラムについては、学生の参加を増やすため、募集時期等の見直しを各運営組織が中心になって検討するとともに、所属生に対するきめ細かな指導を継続して行った。学生への一層の制度の周知によって各プログラムへの学生参加を促すための取組みの一つとして、法プロフェッショナルプログラムでは、法科大学院に合格した4年次生2名の「合格報告会」を11月に開催した。この報告会には、プログラム所属生だけでなく現代法学部1・2年次生や他学部で法科大学院進学を目指している学生を含めて約50名の参加者があり、当初の目的が達成できた。

(3)教育のICT活用支援
 AVセンターで行っている教員向けICT活用支援は、体制発足から4年を経過し、定着し、安定的に利用されている。(2012年度実績:利用教員数58名、利用件数234件)今後も、さらなる周知を進めるとともに、新しいメディアへの対応や新しいツールの活用等について情報発信を行っていく。
 新5号館のAV設備については、供用開始にあたり、年度当初に専任教員向け「利用体験会」を実施した。機器の初期不良等が一部にみられたものの、大きな混乱はなく、順調に活用されている。
 2012年度「私立大学教育研究活性化設備整備事業」(文部科学省)で採択された「授業収録・配信システム」の2013年度からの試験的運用に向けて、教室工事及び配信システムの据え付け・調整を行った。これは、授業に関する単位の実質化を追求するための施策のひとつで、具体的には、単位数に見合う学習時間確保の観点から、教室外での自習(事前・事後学習)を促し、その効果的活用による学生の主体的な学びの確立を目的としたものである。

(4)国の補助金施策への対応
 文部科学省GPに採択された「TKUベーシックプログラム」及び「TKUエンプロイアビリティ養成プログラム」は、その後、国からの補助が終了した後も継続し、先にも触れたとおり積極的に展開している。変化が激しい補助金制度であるが、今年度に入って、「大学生の就業力育成事業(通称:就職支援GP)」に代わって、「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」の公募があり、これに応募し採択された。
 また、2012年7月には、同省から、「私立大学教育研究活性化設備整備事業」の公募があり、短期間の申請期間であったが、関係部署間の密な連携により、急遽申請作業に取り組み、採択されるに至った。申請内容は前項のとおりであるが、取組名称は「事前・事後学習の促進のための授業収録・配信設備事業」とした。国の補助金施策には、今後も引き続き迅速・的確に対応していく。

(5)大学院改革
 早期卒業制度については、コミュニケーション学部3年次生1名より申し出があったが、本人の健康上の都合により辞退となった。今後も引き続き、学生への一層の制度周知を図り、実績に繋げる努力を行うこととしている。
 2012年2月に確定した3つの方針(アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシー)については、現在Web上での公開に加えて、学生向けの媒体である『大学院要覧』にもカリキュラムポリシー及びディプロマポリシーを掲載し、学生への周知、定着を図った。なお、アドミッションポリシーについては受験生向けの『募集要覧』にも掲載している。

(6)研究環境の整備・充実
 研究環境整備の一環として、研究活動行動規範の策定について、学術研究センター運営委員会で検討を重ね、成案を得ることができた。近く代議員会で審議・決定されることとなる。なお、本学の科学研究費補助金の2012年度採択件数は、過去最高であった前年度の19件をさらに上回り、21件に増加した。

(7)プロジェクト研究所
 プロジェクト研究所の成果については、先般行われた大学基準協会の実地視察の際にも確認があったことから、本学の学術研究および教育活動の成果を収集・蓄積・保存し、学内外に広く公開することを目的としたシステム「学術機関リポジトリ」を活用する等、効率的な公表のあり方を検討し、整備した。

(8)留学生受入れ・送り出しの強化
 日本の文化に興味を持たせ、日本への留学を促進することを目的に、2012年7月に「日本語・日本文化研修」を実施した。協定校から参加者(定員15名)を募った結果、韓国から7名、中国(マカオ)から8名、オーストラリアから2名の定員を上回る計17名の参加があった。これは、前年度同時期に予定していた「日本語・日本文化研修」を東日本大震災のためやむなく中止せざるを得なかったものの、その後、学内GP採択の協定校対象招待事業「日本語・日本文化研修」として、その代替プログラムを2012年2月に実施することができ、これに参加した学生から高い評価が得られたからであると判断している。
 中国対外経済貿易大学(協定校)とは、新規のプログラムとして、2012年4月から7月までの4カ月間、8名の短期受入学生を授業料等有料で受け入れた。半期受け入れではあったが、授業や交流チューター企画を通して交流の機会を積極的に作ることができた。
 送り出しとしては、2012年4月に「授業料免除奨学生」3名をチチェスターカレッジに派遣し、8月には米国ペース大学へ1名の学生を派遣した。それぞれ1年間の留学である。
 また、韓国培材大学、英国チチェスターカレッジへの3週間の語学研修は2012年度も例年どおり実施した。海外ゼミ研修については、11ゼミ合計178名の学生をアメリカ、中国、韓国、ベトナム等へ送り出した。2012年度に新たに参加したゼミについては、2013年度以降も継続して実施できるよう支援する。

 

2.学生支援
(1)学生支援の財政的基盤の強化
 「大学奨学基金」「スポーツ振興基金」「アドバンストプログラム推進基金」は組み入れ計画に則り進行中である。「スポーツ振興基金」は2011年度決算(基本金組み入れ計画の変更)にて計画の前倒しが決定したように2012年度に2億円の組み入れを行い、総額11億円とした。

(2)学生経済支援制度の強化
 ますます悪化する学生の経済状況を受け、2012年度より「大学奨学金」の募集定員を10名増やし、170名とした。また、奨学生の選考方法の大幅な改善として、本学での学修成果を反映できるように成績基準を厳格化し、秋選考に変更した。また奨学生としての資格チェックを厳しくし、適正な学生を支援できるよう工夫している。
 これまで、葵友会は、大学院生対象の奨学金制度を実施してきたが、2013年度実施の学部生対象の奨学金制度を加えた大幅な見直しを行った。

(3)就職支援活動の充実
 大卒求人倍率の若干の上昇を受け、東日本大震災の影響を受けた2011年度にくらべ、本学の就職状況は改善されつつあるが、個々の学生に対するキャリアカウンセリングをさらに強化し、従来からの1年次・3年次全員面談に加え、2年次全員面談を実施した。2012年度学生とのかかわり件数は、過去最高の19,150件に達した。とりわけ、秋以降の支援を強化し、4年次生のフォローガイダンスと合同企業説明会を繰り返し実施したことにより就職率の改善につながった。

大卒求人倍率・全国大学卒就職率等推移

(4)TKU進一層表彰制度の活用
 2009年度からスタートした3部門からなる様々な分野における学生活動の表彰制度であるが、資格取得部門では、今年度も公認会計士、税理士や法科大学院合格等の表彰を行った。CSC講座とも連携し、簿記等の初級資格へのチャレンジが増え、資格取得の裾野を広げる役割も果たしている。課外活動部門では、今年度も学外でのゼミ活動が成果をあげた。

(5)「東京経済大学スポーツ憲章」の定着化、学生スポーツの奨励
 スポーツ憲章の中心である教育としてのスポーツ実践を具現化するために、学内外の叡智を結集し、村山キャンパス整備計画を策定し、2013年度から着手することが決定された。指導者助成制度の改善が効果を生み始め、活性化するサークルが増えている。特別支援3サークルの特別指導者も任期3年の中間年を迎え、成果についての総括を開始した。

(6)文化会等その他の学生活動の支援
 学生会とは、年1回恒例の学長対談に加え、日常的な交流の機会を増やす努力を行っている。新入生歓迎実行委員会体制の維持についても支援を強化している。

(7)多様な学生ニーズへの対応
 多様化する入学生のうち、とりわけ支援を必要とする学生への対応強化のため、2012年4月より学生相談室のカウンセラー体制を強化し、平日は、臨床心理士の2名体制を実現し、土曜日の相談窓口も開始した。学生支援会議主催の要支援学生の対応研修会を実施し、学内の教職員の連携強化をはかった。また、学習センターの年間利用者が20,000名を超え、学習相談にとどまらない広範な学生支援を展開した。

 

3.施設・設備等の整備
(1)国分寺キャンパスの整備計画
 国分寺キャンパス第1期建設整備計画として、5号館竣工に続いて2012年10月に新図書館の建設に着手した。完成は2013年12月、利用開始は2014年4月を予定している。
 現図書館の「大倉喜八郎 進一層館」への改修については、第二次現図書館等改修作業部会の作業がすすみ、2012年度内に改修計画の詳細案の策定をほぼ確定させている。今後、基本設計・実施設計をすすめ業者選定を行うこととしている。改修工事は、当初予定通り新図書館完成後の2014年4月から2014年8月末までを予定している。
 その他の施設の改修として、年次計画のうち6号館1階~4階までの空調設備の改修(平成24年度補助金採択、5階、6階は2013年度実施予定)及び第一研究センターの空調設備の改修を行った。設備の更新については、当初予算通り、教室AV機器の更新、ネットワーク機器のリプレース(平成24年度補助金不採択)を夏季に実施した。また、事前・事後学習の促進のための授業収録・配信設備整備事業として文部科学省補助金の採択に伴い、大教室、中教室に授業自動収録システムを配備した。

(2)武蔵村山キャンパスの整備計画
 武蔵村山キャンパスの整備計画については、キャンパス整備推進本部村山キャンパス整備作業部会により、具体的改修内容について策定作業を進め、その最終答申に基づき、2013年度期中に施工開始、2014年度中の工事完了を目標として具体的な計画を確定した。

 

4.管理・運営

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(1)自己点検・評価の取り組み
 2011年度に自己点検・評価運営委員会のもとで自己点検・評価を実施し、大学基準協会へ大学評価申請を行った。今年度は、報告書の提出と実地調査へ対応した。実地調査は、2012年9月の2日間、大学役職者との意見交換のほか、施設・設備の調査、授業参観及び担当教員や学生へのインタビュー等が行われた。
 大学基準協会からは、同年12月に評価結果(案)の本学への提示があり、2013年3月28日には、評価結果が文部科学大臣に報告されるとともに「大学基準」に適合しているとの評価結果が公表された。今回指摘された事項等については、今後の学内改革に反映させるよう努めるとともに、自己点検・評価運営委員会のもとで自己点検・評価を実施し、自己点検・評価をPDCAサイクルに基づき恒常的に機能させる。2013年度には事務組織内に内部自己点検・評価担当を置き、監査室等と連携しつつ自己点検・評価活動の実質化を図ることとしている。

(2)監査機能の充実
 2011年度に監査対象とした4部署へのフォローアップ監査を行うと同時に、当該4部署を除く全ての事務部署に対するヒアリングを実施したことにより、重点監査項目を絞り込むことができた。こうしたことから、本学の内部監査は、法人及び大学における業務運営の適正化と効率化を一層促進させることを目的として実質的に機能し始めたといえる。

(3)危機管理体制の強化
 大規模災害が発生した場合に、ただちに学生及び教職員等の安否確認を行うために、個々人のメールアドレスに大学から安否確認のメールが届く「安否確認/緊急連絡システム」の運用を開始した。出来る限り多くの人にメールアドレスを登録してもらうことがこのシステムの実効性を高めることになり、学生対象として2013年度からはTKUポータルに確実に登録してもらうための機能追加を設定する予定である。今年度は7月に防災避難訓練を実施し約200名の学生の参加を得た。また、2月には自衛消防訓練を実施し、併せて安否確認システムの運用訓練を実施した。登録件数がまだ少ない状況でかつ、登録者からは5割ほどの返信にとどまっており、今後の対応に課題が残った。また、「地震・防災マニュアル」の改訂を行い、教職員出退勤基準・帰宅ルール、安否確認、地区防災センターの役割等、従来、明確になっていなかった点に関しての追加・修正を行い、3月に全教職員に配布した。

(4)コンプライアンス強化の取り組み
 研究費不正使用防止に関する条項を盛り込んだ研究活動行動規範の策定などを通じて公的資金管理にかかわる制度の強化を目指している。

(4)格付け評価の維持・向上
 2012年7月に、例年どおり、R&I社(格付け投資情報センター)によるヒアリング調査を受けた。同調査の対象は、建学の理念による学風、戦略的広報、学生募集、教学、就職支援及び財務の動向などであった。本学は、2004年度から同社による評価を受けており、2007年度まではシングルA、2008年度以降はAプラスに格上げされて現在に至っている。今回の評価結果も、10月4日にAプラス(維持)安定的と正式発表された。評価の維持・向上のために、今後は、入試制度設計の工夫や教育改革の一層の進捗が求められている。

(5)職員力の強化
 教員とともに大学運営・改革を担う職員がその能力を十分に発揮し得る仕組みづくりをめざし、新職員人事システムの構築作業を継続している。なお、2013年6月には、学長室及び学生支援部を中心とした事務組織改編を予定しており、現行秘書課を改編する総合企画課を中心に大学運営や大学改革等に関するデータ収集・分析(IR(Institutional Research)機能)を強化し、法人の事業計画の策定や学長の下に進められている「TOKYO TOP30計画」等大学の運営に資する事務体制を構築するとともに、学生支援など教職協働領域における職員の責任体制を整備する。関連してSD(スタッフ・ディベロップメント)活動についても組織的展開を図ることとしている。

 

5.地域社会との連携及び社会貢献
(1)国分寺地域
 「東京経済大学・国分寺地域連携推進協議会」事業をコアに国分寺地域における地域連携を継続するとともに、国分寺市にとどまらず多摩地域等との連携についても、学内外の要請とも関連付けながら進めており、多摩地域における産学連携の一層の推進に一定の成果を上げた。なお、本学を含む関東山梨地域の14の大学・短大による産学連携の推進を目指した取り組みが、文部科学省の「優れた大学の取り組み(GP)」の「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」に採択され、その関連で本学は、3月に多摩地域の産学連携への貢献を模索する産学連携シンポジウムを開催した。
 また、学長のもとに置かれた国分寺地域産業研究所に代わるより安定的で多様な地域連携推進のための「地域連携センター」を2013年6月に設置予定であるが、今年度末で設置期限を迎える「国分寺地域産業研究所」については、地域連携センターが設置されるまでの期間、暫定的に設置を継続することとした。

(2)武蔵村山地域
 武蔵村山地域においては、公開講座の提供、プール施設市民開放等の連携事業を継続するとともに、2012年6月に設置した武蔵村山キャンパス運営委員会を中心に、武蔵村山市からの地域連携の強化申し入れに対応し、人的な協力関係の強化やプール施設以外の校地活用プランの検討を行っている。

(3)その他
 本学は、国分寺崖線に位置する大学として自然との共生の重要性を認識し、持続可能な社会の構築に積極的に寄与することが大学の重要な役割である。新図書館においては、国分寺崖線の恵みを最大限に享受し環境と共生することを設計のコンセプトとしており、国土交通省の「住宅・建築物 省CO2先導事業」として採択された。なお、キャンパス整備工事期間中は、工事日程の事前周知や土日の工事停止など近隣への十分な配慮を行っている。

 

6.東日本大震災被害への対応

 東日本大震災被害への対応として、2011年度と同様に新入生に対し入学検定料・入学登録料免除を含む学費(授業料・教育充実費)減免の経済支援(家屋の一部損壊以上、政府指定地域からの原発事故避難、震災による失職)を行い、2年生以上については、半壊以上と原発事故避難の学生に対して2年度目の支援を行った。以上により56名の被災学生に対し、総額2,540万円の経済支援を行った。2013年度は、半壊以上と原発事故避難の学生に対して2012年度と同様の経済支援を行うことが決定している。

 

7.その他
(1)「TOKYO TOP30計画」
 「TOKYO TOP30計画」による教育品質、研究実績、学生支援、就職満足度、環境の良さ、国際性、社会貢献の7つの重点分野において首都圏有力大学としての地位を確たるものとするビジョンを公表した。今年度の対応については、各事業報告の通りであるが、これを推進する学内の機運を醸成する一環として今年度も引き続き学内GPを実施し、14件を採択し前年度同様に予備費として総額1,481万円を予算計上した(2011年度15件採択、総額1,758万円)。採択した各企画は、定期的に改革推進本部会議にて進捗状況を確認し、2年目の教職員学生の被災地復旧・復興ボランティア派遣、産官学合同の連携委員会の立ち上げとともに文部科学省による「優れた大学の取り組み(GP)」の「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」への採択、学内ライブカメラ設置によるネット上での公開など一定の成果を収めた。
 学内GPで採択された事業の内、2013年度からは被災地復旧・復興ボランティア派遣を通常予算化するなど「TOKYO TOP30計画」を戦略的に展開するために必要な予算措置を講ずることとした。

(2)父母の会、葵友会等の関係組織
 間もなく創立30周年を迎える本学父母の会は、その設立当初から、学生生活の側面支援を目的の一つとして掲げている。従来からの「修学支援奨学金」は、大学の定める「学生緊急経済支援制度」による授業料免除対象者への奨学金給付制度であるが、2011年度から実施の「資格試験検定料補助」及び「災害支援金」の2つの制度の継続とともに、今年度からは、大学生活を充実させるための友達づくりの場を提供することを目的に出身地域別学生交流会を実施するなど大学と連携した形での学生支援に取り組んでいる。
 葵友会においても2009年度入学生から、葵友会年会費の前納制度(40,000円を卒後30年間の年会費に充当)を導入したこともあり、在学生支援の強化を図るべく、2013年度実施の学部学生対象の奨学金の新設を行うこととした。また、SNSによって構築される葵友会交流システムの試験運用が開始され、今後、卒業生と在校生のみがアクセス可能な会員制として、相互の交流の有効利用のための検討を継続している。
 今のところ、大学、父母の会、葵友会の3者による合同会議の開催は、実現していないが、相互の連携体制は、密に図られている。

(3)環境方針に基づいたキャンパスづくり
 2010年の環境報告書に示された「TKUエコキャンパス宣言」に基づき、学内ではエコキャンパス推進委員会を中心に「エコキャンパス」の一層の推進に取り組んでいる。現在、建設進行中の新図書館においては、エコキャンパス宣言に則った環境設備が施される予定であり、この内容については、国土交通省補助金「住宅・建築物省CO2先導事業」に採択され、自然環境に恵まれた立地条件を最大限に活かし、自然と調和した省CO2建築としての取り組みへの先導性、周辺に立地する大学への波及性や周辺環境を取りこみ、地域住民や来訪者にも省CO2意識を啓発する点などが評価されている。2012年度より利用開始した5号館では、本学で初となる太陽光による発電を行っており、最大で毎時20kwhの発電能力を有している。2012年度は年間で26,622.2kwhの電力供給が行われ、これは:経済産業省が定めている一般家庭が使用する年間使用量(3,600kwh)の7世帯分に相当する。

(4)人権に配慮したキャンパスづくり
 2009年4月制定の「教職員のセクシュアル・ハラスメントの防止に関する規程」と「教職員のセクシュアル・ハラスメント懲戒処分規程」、学生・教職員・大学関係者対象に2009年9月に改訂版を発行した「セクシュアル・ハラスメント防止ガイドライン」及び2011年5月制定・施行の「アカデミック・ハラスメント及びパワー・ハラスメント防止ガイドライン」などの一連の規程及びガイドラインの制定により、本学の人権に配慮したキャンパスづくりは、さらに前進しており、今年度も、入学時のオリエンテーションや1年次生ゼミでのガイダンス、新任教職員へのガイダンス、人権委員会主催の管理職研修における「管理職のためのハラスメント対応」及び教職員講演会における「ハラスメント研修」などを行い啓蒙活動に努めている。

(5)ブランド力の向上
 本学の2013年度入試は、一般入試前期・後期、センター利用入試前期・後期のすべての合計志願者数が10,432名で、前年度比1,697名(14.0%)の減少となった。2010年度入試では大幅な志願者の増加があり、その影響で2011年度は、前年度比で17.6%減少となったが、2012年度の入試結果は、志願者を減らす大学が多い中、前年度比441名(3.8%)の増加で若干回復することができた。2012年度入試で志願者を増加させることのできた本学であったが、法、経済・経営などの社会科学系の首都圏の私立大学は、苦戦の傾向もあり、2013年度入試では前年度比減となった。
 今後も意欲ある多様な学生を迎え入れるための入試において、大学をあげての教育改革・入試改革をすすめ、引き続きその成果をあげるため、既に2014年度入試の入学検定料の見直しなどの入試制度改革、女子学生比率向上のための女子志願者確保などの対策を進めている。
 本学では、4年前から「2010年の創立110周年に知名度UP」の目標を掲げて就職に強いTKUブランドの確立に向けて一定の予算付けをした上で、こうした戦略的広報に取り組んでいる。今年度、TKUオリジナルブックとして高校からの資料請求に対応するため増刷発行された女子高校生キャリアガイド「ガクブック for Girls」、スマートフォンやタブレット向けアプリとして発刊した学問系統や大学選びに使えるアプリ「まんがガクブック」のほか、ウェブサイトの動画コンテンツ、ツイッター及びフェイスブック等のソーシャルメディアのコンテンツ充実・強化なども行った。今後も、「TOKYO TOP30計画」を訴求する取り組みとして、戦略的広報活動が効果的に機能するためのTKUブランドの向上を目指すこととしている。

(6)学長選挙規程
 学長選挙規程は、2011年3月と5月の2度の教職員投票によっても改正に向けた合意は得られなかった。全学教授会において改正の必要がある旨承認されていることから、あらためて学部長・センター長会議で見直し案を作成し、2013年3月1日の教職員投票の結果、同一票数での取扱いや推薦委員会の廃止を主な改正内容とする規程改正が承認され、次期学長選挙は2013年4月改正施行の「学長選挙規程」及び「同施行細則」により実施することとなる。

 

Ⅱ 決算の概要
1.消費収支の概要

 学校法人会計において重視されるのが消費収支計算である。ここでは毎年度の消費収支の内容と、それらの収支均衡の状態を明らかにし、学校法人の経営状況をみる。
 消費収支計算は、帰属収入(学生生徒等納付金など)から、学校法人が教育研究活動を行うために永続的に保持しなければならない資産として位置づけられる基本金への組入額を除いた額をまず収入の基礎とする。この収入を消費収入という。一方、人件費をはじめ、1年間に消費する物品などの取得費用や業務委託や保守などの用役にかかる費用の合計を消費支出といい、これと消費収入を比較することにより消費収支が決まる。
 今年度の消費収支は、補正予算では2億59百万円の支出超過を見込んでいたが、決算では6億78百万円の収入超過となった。これは、補助金や資産運用の増収、資金運用環境の好転に伴う有価証券売却差額の計上、基本金組入額の変動、人件費と教育研究・管理経費の予算残の結果である。
 この結果、翌年度繰越消費収支差額(繰越の赤字額)は前年度までの△27億32百万円から△20億53百万円へと大幅に縮小した。
 なお、本文中でいう予算はすべて2012年度補正後予算を指す。

消費収支計算書(2012年4月1日から2013年3月31日まで)
(単位:千円)
科 目 予 算 決 算 科 目 予 算 決 算
学生生徒等納付金 6,236,466 6,238,930 人件費 4,254,143 4,229,374
手数料 313,904 271,657 教育研究経費 2,626,100 2,587,517
寄付金 78,350 85,414 管理経費 536,581 503,651
補助金 654,427 790,439 借入金等利息 33,914 33,914
資産運用収入 281,826 460,099 資産処分差額 22,815 23,025
資産売却差額 0 458,500 〔予備費〕 (17,500)
12,500
事業収入 114,710 113,685
雑収入 179,038 187,200 消費支出の部合計 7,486,053 7,377,481
帰属収入合計 7,858,721 8,605,924 当年度
消費収支差額
△ 258,845 678,359
基本金組入額
合計
△ 631,513 △ 550,084 前年度
繰越消費収支差額
△ 2,731,512 △ 2,731,512
消費収入の部
合計
7,227,208 8,055,840 翌年度
繰越消費収支差額
△ 2,990,357 △ 2,053,153

※資産売却差額の全額が有価証券売却差額である。

消費収支計算書とは・・・
収入と支出の内容及び収支の均衡を明らかにし、学校法人の経営状況が健全であることが明らかにすることのできる計算書。

 

2.帰属収入

 今年度の帰属収入は、86億6百万円となり、予算比で7億47百万円、前年度比で6億78百万円の増となった。主な項目については、以下のとおりである。

(1)学生生徒等納付金
 帰属収入の約7割を占める学生生徒等納付金は、予算比で2百万円、前年度比で49百万円の増となった。在籍学生数(各年度の5月1日現在、大学院研究生を除く)は、2011年度の6,530人から6,449人へ、納入人員は6,301人から6,252人へとそれぞれ減少した。しかしながら、2012年度入学生からの教育充実費の改定により、全体では増収となった。

(2)手数料
 手数料では入学検定料について、予算比で42百万円、前年度比で36百万円の減となった。入試志願者数が前年度比1,713人減の11,080人となったことに起因する。近年、入試志願者数について堅調な実績を残してきたが、2013年度入試については、私立大学の社会科学系学部の志願者数が減少傾向にある中で、本学も例外とはなりえなかった。

(3)寄付金
 寄付金のうち特別寄付金について、2012年秋から開始した「現図書館改修計画協賛募金」が、2012年度の予算額40百万円を超える応募があったことにより、予算比で7百万円、前年度比では51百万円の増となった。

(4)補助金
 収入割合で学生生徒等納付金に次ぐ補助金は、予算比で1億36百万円、前年度比で1億85百万円の大幅増となった。これは主には、私立大学等経常費補助のうち一般補助について、2011年度決算を基に算定される学費の学生への還元率の向上によるものであるが、2011年度は新5号館完成に伴う支出の一時的増大という特殊要因があったことに留意しなければならない。引き続き、定員超過率や教員一人当たりの学生数あるいは学生還元率等の各比率の改善に努める必要がある。
 以上のほか、文部科学省からの直接補助である研究設備整備費等補助(19百万円)、教育研究活性化設備整備事業(15百万円)、借入金の利息返済に対する利子助成(20百万円)などが補助金収入に含まれる。

(5)資産運用収入
 資産運用収入のうち資金運用については、期末にかけて資金運用環境が好転した結果、主に仕組債による利息収入の増収により、平均利回りは1.16%の見込みに対し1.90%となった。予算比で1億72百万円、前年度比51百万円の増である。
 なお、2012年度末に保有している仕組債は、期中の早期償還により、前年度の12銘柄から9銘柄へと減少した。
 債券の購入等資金運用にあたっては、専門知識を有する学外者も加えた資金運用委員会で検討し、理事会で了承された方針に則り、安全かつ効率的な運用を心がけており、仕組債についても2009年度以降購入していない。
資産運用収入のうち教室貸出などにかかる施設設備利用料は、ゲストハウス貸与料の増収により予算を上回り、資産運用収入全体では予算比で1億78百万円、前年度比で55百万円の増となった。

(6)資産売却差額
 前述の通り、期末にかけての資金運用環境の好転、特に円安の進行により、保有する仕組債3銘柄について発行体の任意による早期償還が行われた。うち2銘柄については過年度決算において減損処理を行い、帳簿上の価額を減じていた。それが満額で償還されたため、その差額の計4億59百万円を有価証券売却差額として計上した。この予算外収入が本決算における収支好転の最大の要因となった。

(7)雑収入
 雑収入のうち私立大学退職金財団交付金収入については、2012年度退職金に対する交付金を計上している。その他の雑収入については、本学研究者に対して交付される文部科学省科学研究費補助金のうち、大学への経費として交付される間接経費によって増収となった。

 帰属収入、学生生徒等納付金及び学生数の過去10年間の推移は、下表・下図のとおりである。

帰属収入、学生生徒等納付金、学生数 の推移
(金額の単位:百万円)
年度 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
帰属収入 8,503 8,199 8,274 8,148 8,412 7,966 7,924 7,878 7,928 8,606
学生生徒等納付金 6,813 6,495 6,265 5,952 5,891 5,961 6,008 6,141 6,189 6,239
学生数 (人) 7,636 7,326 6,900 6,402 6,247 6,272 6,334 6,481 6,530 6,449

帰属収入、学生生徒等納付金、 学生数 の推移

 

3.基本金組入れ
 学校法人会計独特の考え方である基本金は、学校法人が教育研究活動を行うために永続的に保持しなければならない資産とされており、第1号から第4号までに分類される。そのうち、第1号基本金は固定資産の取得や除却によって増減し、学校法人設立当初から設定される資産であり、学校法人に不可欠の資産である。第2号基本金は新たな校舎の建築など将来の固定資産取得のために積み立てられる資産である。第3号基本金は大学奨学基金など基金として保持しその運用によって事業を行うための資産である。第2号基本金、第3号基本金ともに基本金組入計画を前提としており、恣意的な組入れないしは取崩しは認められていない。最後に第4号基本金は恒常的に保持することが義務付けられた資金であり、およそ1カ月の経常経費と同額が設定される。
 以上のうち、第1号から第3号までの基本金について、2012年度はそれぞれ増減があり、結果としておよそ5億50百万円を組入れた。この額が帰属収入から差し引かれることとなる。なお、第4号基本金に変動はない。
 以下が各基本金の増減の内容である。 

(1)第1号基本金組入れ
 (主な増加要因)
 国分寺キャンパス第1期建設整備計画に伴う基本金組入れは、2012年度については新図書館建設費用のうち当年度支出分である建設仮勘定5億68百万の計上のみとなる。
 そのほか新規取得分として、1号館照明改修工事(25百万円)、6号館空調換気改修工事(第1期、2億2百万円)、第一研究センター空調改修工事(17百万円)、村山校舎中央監視装置(9百万円)、6号館電飾看板(4百万円)、TKU_NETリプレース機器(48百万円)、図書の購入(92百万円)などについて組入れを行った。
(主な減少要因)
 国分寺キャンパス第1期建設整備計画との関連で、国分寺校地の一部を道路敷地として国分寺市に寄付することとなった(23㎡、314千円)。その他、2012年度中に除却した1号館照明、6号館などの空調設備、村山校舎中央監視装置等の建物の当初取得価額計4億35百万円のほか、旧3号館に設置されていた機器備品の除却により1億76百万円、その他の廃棄・使用不能となった機器備品の除却により1億91百万円を、それぞれ取り崩した。
 これらの組入れと取り崩しの結果、第1号基本金の組入額は3億2百万円となった。
 なお、2012年度に取り壊した旧3号館建物の取得価額4億89百万円については、新図書館の完成する2013年度に基本金から取り崩すこととなる。

(2)第2号基本金組入れ
 理事会において策定された、国分寺キャンパス第1期建設整備計画(総額58億円)にかかる43億円の新校舎建設資金計画が2012年度の4億円の組入れをもって終了した。
 2012年度は新図書館建設費用のうち当年度支出分として5億68百万円を第1号基本金へ振り替えた結果、第2号基本金は1億68百万円の取崩しとなった。2012年度末の残高は24億83百万円である。

第2号基本金の推移
(単位:百万円)
年度 2008 2009 2010 2011 2012
組入れ 400 400 400 400 400
第1号へ振替   △ 65 △ 367 △ 817 △ 568
残高 2,700 3,035 3,068 2,651 2,483
(3)第3号基本金組入れ
 「大学奨学基金」「スポーツ振興基金」「アドバンストプログラム推進基金」の3つの基金計画があり、「大学奨学基金」については、2009年度から10年間、計画的に1億円ずつ組入れることとし、最終的には22億25百万円を確保する。「スポーツ振興基金」については、2012年度の2億円の組入れによって総額11億円となり、組入れ計画は終了した。「アドバンストプログラム推進基金」については、2012年度中に計画の前倒しが決定され、2012年度に1億円、2013年度に3億円を組み入れる。総額10億円に変更はない。
 上記の計画による組入れのほか、寄付金による組入れも含め、2012年度の組入れ合計は4億16百万円となり、その他の基金と合わせて、第3号基本金の総額は38億1百万円となった。
 第3号基本金の残高の推移は、下表のとおりである。

第3号基本金の推移
(単位:百万円)
年度 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
金額 557 678 887 1,393 1,896 2,402 2,709 3,068 3,385 3,801

 

4.消費支出

 消費支出合計は73億77百万円となり、予算比で1億9百万円、前年度比で20億38百万円の減となった。主な項目については、以下のとおりである。

(1)人件費
 最近10年間の人件費比率(帰属収入に占める人件費の比率)は、継続的な削減努力により50%台半ばの水準から近年は50%前後の水準に低下傾向にある。2011年度は退職給与引当金計上基準の変更により一時的に比率が上昇したものの今年度決算では49.1%まで低下した。予算比で25百万円、前年度比では16億98百万円の減である。
 ただし今年度決算においては帰属収入が増大しているため相対的に人件費比率が低下していることにも留意する必要がある。
 人件費比率の10年間の推移は、下表のとおりである。

消費収支における人件費の推移
(単位:百万円)
年度 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
人件費 4,729 4,197 4,408 4,118 4,038 3,950 4,247 3,940 5,927 4,229
帰属収入 8,503 8,199 8,274 8,148 8,412 7,966 7,924 7,878 7,928 8,606
人件費比率(%) 55.6 51.2 53.3 50.5 48.0 49.6 53.6 50.0 74.8 49.1
(2)教育研究経費・管理経費
 教育研究経費と管理経費の合計額は、予算比で72百万円の減、前年度比で38百万円の増となった。
  • (予算比での主な減額要因)
  • ・アドバンストプログラムでの採用者数が見込みを下回ったことや緊急経済支援にかかる奨学金が見込みを下回ったことなどによる奨学費の減(12百万円)
  • ・受験生からの入試資料請求の減少や、メール便の見直し等による通信費の減(7百万円)
  • ・紀要の発行号数が予定より少なくなったことや図書館の製本費を図書支出に振り替えたことなどによる印刷製本費の減(10百万円)
  • ・新教学情報システムサーバの更新及びTKU_NET大規模リプレースにかかる保守契約開始月の変更などによる修繕費の減(15百万円)
  • ・2012年5月に取り壊した旧3号館の資産管理システムに登録した取り壊し時期の差異から生じる減価償却額の減(11百万円)。
 教育研究経費は、予算比で39百万円の減、前年度比では73百万円の増となった。前年度比で増額となった理由は、2012年1月に竣工した新5号館の減価償却額が年間分計上されたためである。帰属収入に対する教育研究経費比率は30.1%であり、予算見込みの33.4%並びに前年度の31.7%を下回った。本来であれば上昇すべきところであるが、帰属収入が増加したため低下する結果となった。
 一方、管理経費は、予算比で33百万円、前年度比で35百万円の減となり、帰属収入に対する管理経費比率は前年度の6.8%から5.9%へと低下した。

(3)予備費
 予備費として計上した30百万円のうち、学内GPなどにかかる費用として教育研究経費の消耗品費に8百万円、同旅費交通費に2百万円、同委託費に9百50万円使用し、当該科目の予算額に振り替えたほか、管理経費の広告費の予算額に10百50万円を振り替えた。

 

5.資金収支計算書

 資金収支計算では、主に1年間の教育研究活動にどれほどの資金の出入りがあったか、また、いつでも引き出せる現金(支払資金)の動きはどうであったかをみる。現金の動き(キャッシュフロー)に着目するため、消費収支計算では扱われない(1年間の消費収支として認識しない)前受金収入や資産運用支出などが計上される一方、現金の移動を伴わない現物寄付や減価償却などは資金収支計算からは除外される。
 資金収支の結果、次年度繰越支払資金、すなわち翌年度に繰り越す現金は65億40百万円となった。
 なお、予備費として計上した30百万円のうち、設備関係支出の教育研究用機器備品に14百万使用し、当該科目の予算額に振り替えた。

資金収支計算書(2012年4月1日から2013年3月31日まで)
(単位:千円)
科   目 予 算 決 算 科   目 予 算 決 算
学生生徒等納付金収入 6,236,466 6,238,930 人件費支出 4,296,009 4,271,834
手数料収入 313,904 271,657 教育研究経費支出 1,938,059 1,910,005
寄付金収入 75,350 81,355 管理経費支出 522,488 489,559
補助金収入 654,427 790,439 借入金等利息支出 33,914 33,914
資産運用収入 281,826 460,099 借入金等返済支出 49,990 49,990
資産売却収入 1,704,563 2,914,680 施設関係支出 828,995 828,981
事業収入 114,710 113,685 設備関係支出 228,785 232,427
雑収入 179,038 187,200 資産運用支出 3,540,113 2,538,328
借入金等収入 2,002,070 2,264,203 その他の支出 317,693 335,663
その他の収入 1,040,641 1,041,538 (予備費) (14,000)
16,000
資金収入調整勘定 △ 2,292,011 △ 2,318,318
前年度繰越支払資金 4,916,996 4,916,996 資金支出調整勘定 △ 41,190 △ 268,338
収入の部合計 15,227,980 16,962,464 次年度繰越支払資金 3,497,124 6,540,101
  支出の部合計 15,227,980 16,962,464
資金収支計算書とは・・・
その年度のすべての資金の収入・支出の内容を明らかにし、支払資金の一部始終が明らかになる計算書であり、消費収支計算書にない、施設設備投資額が含まれている。

 

6.貸借対照表

 貸借対照表では、毎年度末の資産・負債・基本金・消費収支差額の内容と残高を示すことで、学校法人の財政状況をストックの観点から明らかにする。また保有する資産とその資金提供元を明らかにすることで、その学校法人の財政状況が健全であるかどうかが分かる。
 資産は負債と自己資金によって賄われている。当然、自己資金の比率が高い方がよいが、自己資金とは基本金と消費収支差額の合計のことを指すため、消費収支差額がマイナス(累積赤字)の場合、自己資金を消費収支差額が食いつぶす形になる。

(1)資産の部
 資産の部の合計額は395億44百万円となり、前年度比では12億7百万円の増となった。
 固定資産のうち有形固定資産では、基本金組入れの項でふれたように、土地が減少しているほか、1号館照明や6号館空調換気設備の改修工事などによる建物、新図書館本体の建築費用としての建設仮勘定などがそれぞれ増加する一方、減価償却や除却により減少した結果が表示されている。有形固定資産全体では前年度比で3億51百万円の増加である。
 その他の固定資産では、有価証券が9億57百万円減少しているが、これは主に満期償還及び早期償還によるものである。退職給与引当特定資産は、負債の部の退職給与引当金と、第2号基本金引当特定資産と第3号基本金引当資産は基本金の部の当該する基本金と、それぞれ同額を計上している。
 流動資産のうち現金預金が16億23百万円増加しているが、これは2012年度の有価証券購入支出予算(25億円)について理事会方針をふまえた運用方針に則った結果予算残が発生(18億円)したことや、有価証券の早期償還によって現金が増加したことなどによる。
 資金運用の原資となる運用可能資産は、その他の固定資産から電話加入権と大倉学芸振興会引当特定資産を除いた146億3百万円と、流動資産のうちの現金預金65億40百万円とを合わせた211億43百万円となった。

(2)負債の部
 固定負債の長期借入金と流動負債の短期借入金の合計額18億円の内訳は、新5号館建設費用として日本私立学校振興・共済事業団から借り入れた15億円と、創立100周年記念事業による借入金の残高3億円である。新5号館にかかる借入金は2年の据置き期間の後、2013年度より元本の返済が始まり、2020年度までの8年間で完済する予定である。創立100周年記念事業にかわる借入金は2018年度に完済する。
 退職給与引当金は退職金の期末要支給額の100%を算出の基礎としている。その数字について、本学が加盟している私立大学退職金財団に対する掛金の累積額と交付金の累積額との調整額を加減した額が退職給与引当金である。
 なお、総資産に対する前受金を除いた総負債比率は、借入金返済により、前年度の14.5%から13.7%へと低下している。

(3)基本金の部
 すでに消費収支の概要でふれたとおり、それぞれの基本金組入額と同額が増減している。全体では5億50百万円増加している。

(4)消費収支差額の部
 2012年度決算における黒字6億78百万円によって前年度までの繰越赤字27億32百万円は20億53百万まで改善する。しかし、基本金の部と消費収支差額の部からなる自己資金に対しては、依然としてマイナスに作用する赤字要因である。

貸借対照表(2013年3月31日)
(単位:千円)
資 産 の 部 負 債 の 部
科   目 本年度末 前年度末 科   目 本年度末 前年度末
固定資産 32,804,358 33,205,261 固定負債 4,626,858 4,909,353
有形固定資産 18,187,125 17,836,458   長期借入金 1,562,450 1,799,940
  土地 2,056,742 2,057,056 長期未払金 3,686 6,231
建物 8,866,585 9,150,042 退職給与引当金 3,060,722 3,103,182
構築物 455,006 503,033 流動負債 3,054,485 2,793,205
教育研究機器備品 523,617 494,656   短期借入金 237,490 49,990
その他の機器備品 18,740 22,672 未払金 264,693 317,693
図書 5,444,716 5,355,348 前受金 2,264,204 2,128,464
車両 240 360 預り金 288,098 297,058
建設仮勘定 821,479 253,291 負債の部合計 7,681,343 7,702,558
その他の固定資産 14,617,233 15,368,803
  電話加入権 3,781 3,781 基 本 金 の 部
有価証券 5,257,640 6,214,650 科   目 本年度末 前年度末
退職給与引当特定資産 3,060,722 3,103,182 第1号基本金 27,105,351 26,803,279
大倉学芸振興会引当特定資産 10,780 10,889 第2号基本金 2,482,859 2,651,047
瀧本記念奨学金引当特定資産 0 3 第3号基本金 3,801,451 3,385,251
第2号基本金引当特定資産 2,482,859 2,651,047 第4号基本金 526,000 526,000
第3号基本金引当資産 3,801,451 3,385,251 基本金の部合計 33,915,661 33,365,577
流動資産 6,739,493 5,131,362
  現金預金 6,540,101 4,916,996 消費収支差額の部
未収入金 189,854 206,621 科   目 本年度末 前年度末
短期貸付金 0 997 翌年度繰越消費支出超過額 2,053,153 2,731,512
前払金 9,509 6,688 消費収支差額の部合計 △ 2,053,153 △ 2,731,512
立替金 29 60  
資産の部合計 39,543,851 38,336,623 負債の部、基本金の部及び消費収支差額の部合計 39,543,851 38,336,623
貸借対照表とは・・・
決算日における資産や負債、基本金及び消費収支差額の内容が明示されており、学校法人の財務状況が明らかになる。


借入金残高の推移

 1997年、1998年に創立100周年記念事業のための借入れ(24億6000万円)、2010年度に国分寺キャンパス第1期建設整備計画のための借入れ(15億円)を行い、2011年度末の残高は18億50百万円となっている。

消費収支計算書関係比率の推移

※各比率の説明(↑高いほどよい ↓低いほどよい)
↓人件費比率     =人件費/帰属収入
帰属収入のうちどれほど人件費に使用しているか。50%台が目標。
↑教育研究経費比率  =教育研究経費/帰属収入
帰属収入をどれほど教育研究に使用しているか。30%台が目標。
↑帰属収支差額比率  =(帰属収入-消費支出)/帰属収入
この比率が大きくなるほど自己資金の充実度が高いことを示す。
10%が目標。余裕がないと基本金組入れに無理が生じることも。
-学生生徒等納付金比率=学生生徒等納付金/帰属収入
学費収入への依存度。一概にどれほどの比率がよいとはいえない。
-基本金組入率    =基本金組入額/帰属収入
帰属収支差額比率と同率でないと収支均衡にはならない。
10%程度が理想的といわれている。

 

Ⅲ 学校法人の概要
1.設置する学校・学部・学科及び入学定員・学生数の状況
(1)設置する学校  東京経済大学
    学校の所在地:
  1. 東京都国分寺市南町1丁目7番34号 国分寺キャンパス 敷地面積59,131.00㎡
  2. 東京都武蔵村山市学園5丁目22番1号 武蔵村山キャンパス 敷地面積78,438.05㎡
  3. (2013年3月31日現在)
(2)大学院・学部・学科及び入学定員、学生数の状況

大学院(2012年5月1日現在)*研究生は除く
(単位:人)
研究科 修士課程 博士課程
入学定員 収容定員 在学生数 入学定員 収容定員 在学生数
経済学研究科 10 20 13 5 15 6
経営学研究科 10 20 14 3 9 0
コミュニケーション学研究科 20 40 14 5 15 5
現代法学研究科 10 20 4
合  計 50 100 45 13 39 11
学部(2012年5月1日現在)
(単位:人)
学部 学科 入学定員 収容定員 在学生数
経済学部 経済学科 300 1,200 2,072
国際経済学科 155 620
経営学部 経営学科 325 1,250 2,240
流通マーケティング学科 160 700
コミュニケーション学部 コミュニケーション学科 200 860 937
現代法学部 現代法学科 250 1,040 1,144
合計   1,390 5,670 6,393
*21世紀教養プログラム生(50名)は各学部に分かれて在籍している。

 

2.役員・評議員・教職員の概要
(1)役員(2012年6月1日現在)
理事長 岩本  繁
理事(学長) 久木田重和
常務理事(学生支援等担当) 安川 隆司
常務理事(広報・教学等担当) 中  光政
常務理事(財務担当) 飯村 敏光
常務理事(事務局・総務担当) 船木  明
理事 武脇  誠
理事 川浦 康至
理事 加治  章
理事 後藤鍈四郎
理事 鈴木 健二
理事 大平 惠吾
理事 河西 千廣
理事 小村  武
理事 小山敬次郎
理事 田中 章義
以上16人
監事  菅原 寛貴
監事 八木 茂樹 
以上2人
(2)評議員(2012年6月1日現在)
山田 洋生(議長) 奥山 正司(副議長)  
飯田 克己 池田 裕司 潮来 克士
伊藤 治雄 今田  肇 右澤 信一
浦田智恵子 榎島 景子 大出 良知
岡村 敏彦 海田 恭敬 金谷 和幸
川田 龍平 木村  純 國吉 昌良
黒坂 東五 近藤 浩之 堺  憲一
坂井 文衛 佐藤 知美 佐藤 和夫
島田  茂 志村  実 新見 邦由
鈴木 敏行 須藤 誉人 髙橋  悟
瀧本嘉一郎 竹内 秀一 田中 紀之
千田 啓子 経沢  守 馬場 章夫
浜野 隆典 浜野 忠司 早瀬 秀一
松田 周三 向井 一郎 山根 睦嘉
吉井 博明    
※評議員数は、以上42人の評議員に理事16人を加え、合計58人である。


(3)教職員数(2012年4月1日現在)※学長含む
学部 専任教員 特任講師 客員教授 兼任講師 職員
教授 准教授 専任講師 小計
経済学部 27 13 7 47 4 0 57  
経営学部 31 11 4 46 4 0 86
コミュニケーション学部 18 5 2 25 3 2 21
現代法学部 21 7 0 28 3 1 35
合計 97 36 13 146 14 3 199 127

 

Ⅳ 理念、目的、教育目標

(1)理念
 建学の理念である「進一層」の気概を持ち、「責任と信用」を重んじ、実践的な知力を身につけてグロ-バル社会で活躍する人材の育成をはかる。「専門学術の真摯な研究」を通じて社会に貢献する。100年を越えた伝統と経験を踏まえ、時代と社会の要請に積極的に応えて絶えざる自己改革を推進し、地域と社会に開かれた大学を目指す。

(2)目的
  大学の理念をふまえて、5つの目的を設定する。
  1. 進取の精神
    グローバル社会で活躍する、進取の精神に富んだ人材の育成をはかり、絶えざる自己改革を目指す。常に自己点検を行い、第三者の評価をも受けて、改革を推進する。
  2. 実学と外国語の重視
    創立以来受け継がれてきた「実学と外国語の重視」の伝統をさらに発展させ、実践的な知力のある、社会で活躍できる人材の育成をはかる。
  3. 総合的判断力を持ち、責任と信用を重んずる人材の育成
    幅広い教養と専門的な知力に裏付けられた総合的な判断力に加えて「責任と信用」の重要性を自覚した、「世界に通用する人材」の育成をはかる。
  4. 社会の知的センターとしての貢献
    「専門学術の真摯な研究」の発展に一層努力し、蓄積された研究成果を社会へ還元することを目指す。
  5. 開かれた大学、学生とともにある大学
    創立の理念の一つである「意欲ある社会人青少年の教育」を現代的に継承して、地域や社会、世界に開かれた大学を目指す。学生一人ひとりの立場にたって、学生生活を支援し、学習環境の不断の改善に努める。

(3)教育目標
 前世紀の最後の四半世紀から21世紀にかけて、グローバル化、高度情報化、環境問題の深刻化、少子・高齢化など、社会は大きく変化し、一層複雑化している。規制緩和等の推進に伴って、経済社会システムの変革も進んでいる。このような現代社会で活躍できる人材の育成を可能とする教育システムを構築し、一層の教育改革の推進をはかる。そのため、本学の理念及び目的を踏まえて、7つの教育目標を掲げる。

  1. 独自な学部教育の追求と総合的、学際的な教育の展開
    経済学部、経営学部、コミュニケ-ション学部、現代法学部の独自性を活かし各学部の特色ある教育の徹底をはかる。同時に、学部横断的なカリキュラムを通じて、社会と時代の要請に応じるため、総合的、学際的な教育を行う。
  2. 職業人に必要な知識・思考法と実践的な知力の涵養
    地球規模の現代的諸問題を的確に認識するための知識・能力及び社会科学の専門的知識・思考法を身につけた、グロ-バル社会で活躍する人材を育成する。社会で通用する学力・能力、とくに日本語・外国語のコミュニケーション能力、コンピュータリテラシーを学生が身につける教育を展開する。インターンシップ教育などによって実践的感覚を練磨し、理論と実践の統合をはかる。
  3. 学生の志向を反映した教育の展開、学生一人ひとりの学習意欲・学力に応じた能力開発
    授業評価などを通じて学生の志向が反映する教育を展開し、学生一人ひとりの学習意欲、学力に応じた能力開発を行う。このため、習熟度別教育、個別学習支援体制、学習奨励制度等の一層の充実をはかる。
  4. 責任と信用を重んじた健全な市民精神の涵養
    経済社会システムの変革に伴って、21世紀には、一人ひとりの自立と社会運営への参画の要請が強まる。市民、職業人に必要とされる、責任と信用を重んじた健全な市民精神が身につく教育を展開する。
  5. 職業意識の涵養とキャリア形成支援の充実
    社会で生きるために職業に就き、働くことの意味を自覚し、さらに職業人として活躍するための力を修得できるような教育を推進する。これらの目標達成のため、授業における教育の展開はもとより、卒業生組織、地域社会、他の教育機関等との連携を推進する。
  6. 学習意欲、学力のある学生の確保
    教育効果を高め、次世代の人材を育成するために、学習意欲・学力の優れた入学志願者を多く集め、質の高い学生を確保する。そのため、教育システムを魅力あるものにし、工夫を凝らした入試制度を実施する。
  7. 専門職業人の育成、学術研究の担い手育成のための大学院教育の強化
    複雑多様化する現代社会で活躍できる専門職業人育成の場としての大学院の強化をはかり、学術研究の担い手をつくり出すための大学院教育を拡充する。卒業生を含む職業人、留学生に開かれた大学院を目指す。

大学紹介