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長田弘『アメリカの心の歌』岩波新書

osada.jpg・最初からアメリカの歌が好きだった。で、今でもアメリカの歌が好きだ。歌謡曲はほとんど聴かない。シャンソンもカンツォーネもロシア民謡も好きではない。最近はやりのワールド音楽なども、あまりぴんと来ない。クラシック音楽は子供の頃から嫌悪している。決してアメリカだけ、アメリカ人だけが好きだというわけではない。なのに音楽だけは、アメリカのものしか受け入れない。一体どうしてなのか。これは、ぼくにとっての一つの大きなテーマだ。

・『アメリカの心の歌』はそんなぼくにとってもなお、知らない音楽やミュージシャンがアメリカにいることを教えてくれた。「少年時代から非行を繰りかえし、塀の内と外を往復しながら成長」したディヴィッド・アラン・コー。ピーター・ラファージはディランが歌う『バラッド・オブ・アイラ・ヘイズ』の作者であることしか知らなかった。トム・T・ホール、マール・ハガード、ジョン・プライン、グラム・パーソンズ。誰もが本当にいい。ますますアメリカの歌が好きになってしまいそうな気がした。「アメリカは私にとって………音(サウンド)………匂い(スメル)………感触(タッチ」)(ウェイロン・ジェニングス)

・「歌というのは、つまりうたい方だ。うたい方というのは、つまり歌うたいの個性だ。個性というのは、つまりは人生に対する態度だ。そして、人生に対する態度がすなわち歌である秘密をどうにかして伝えようとしてきたのは、シンガー・ソングライターの歌だった。」
・アメリカの歌に共通した伝統。確かにそうだ。でもぼくがアメリカ音楽しか聴かない理由は、たぶんそれだけではないだろう。(1996年11月30日)

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1996年11月30日 21:47に投稿されたエントリーのページです。

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