« モリソンとノップラー | メイン | suzumoku"キュビズム"他 »

パティ・スミスのコンサート

パティ・スミス(東京渋谷オーチャードホール:1月24日)

pattilive.jpg・パティ・スミスのコンサートに出かけた。2回目だが前回は1997年だから15年ぶりということになる。当日のチケットが残っていると聞いて、急遽行くことにした。2000席ほどの会場でどのくらい埋まるのか気になったが、7割ぐらいは入っていた。

・パティはパンクの女王と形容されるが、僕は最良の女性ロック・ミュージシャンだと思っている。ミュージシャンである以前にビートニクの流れを受け継ぐ詩人であり、政治や社会に対して痛烈な発言をするプロテスト・シンガーだが、ステージでのパフォーマンスそのものもまた、ロック・ミュージシャンとして最高だと思うからだ。

・今回のツアーは仙台から始めている。東京で2回の後、名古屋、金沢、大阪、広島、福岡と10日間で8回の公演が予定されている。僕より二つ年上なのにこんなハードなスケジュールがこなせるのだろうかと心配になったが、ステージは元気いっぱいだった。オーチャード・ホールは一昨年のキース・ジャレット以来二回目だが、ロックでもやっぱり音響がいいのがすぐわかった。

・仙台についての即興的な歌から始まって、去年出たアルバム"Banga"からの曲が続いた。和太鼓奏者が紹介されて’Fujisan'が演奏されると、もうアリーナは総立ちで、パティに応えて手を振り上げる者、踊り出す者などで盛り上がった。ツナミのことや原発事故のことを歌ったが、開演前にはカンパの呼びかけもしていて、途中で抽選をして一人にプレゼントを渡したりもした。ちょっと興ざめの気がしないでもなかったが、仙台から始めて広島でもやるというツアーには、彼女のなりの意図や思いもあって、それはそれでわかる気もした。

・後半はライブではおなじみの曲が続き、ラストは 'Power to the People' で、アンコールは 'Gloria' だった。' Power to the People' は88年のアルバム "Dream of Life"で 'Gloria'は75年のデビュー作の "Horses"で発表された歌だ。もう37年になるし、もともとはヴァン・モリソンの曲だが、歌詞は彼女なりに変えていて、彼女の変わらない姿勢を表明する内容になっている。


Patti-Smith-Horses.jpg
キリストは誰かの罪を背負って死んだ
でも私じゃない
私の罪は私自身
それは私が背負うものだ
人は私に気をつけろと言う
でも私は気にしない
そのことばは私には
規則と規律と一緒だから

・コンサートの翌日にあった官邸デモにパティが来るという噂が流れたようだ。実際には現れなかったが、「行きたかった」ということばと「ファッキン・ニュークリア!」というメッセージが届いたそうだ。原発にファックなどしたくはないから、この場合は「くそったれ!原発」か、いや「放射能たれ!原発」だろう。

About

2013年01月28日 07:41に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「モリソンとノップラー」です。

次の投稿は「suzumoku"キュビズム"他」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Creative Commons License
このブログは、次のライセンスで保護されています。 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス.
Powered by
Movable Type