森の生活

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2003年11月10日

紅葉のにぎわい

紅葉真っ盛りで、河口湖畔には人がいっぱいだ。河口湖美術館から久保田一竹美術館にかけての通りには、真っ赤に色づいて長持ちのする木が植えてある(何かはわからない)。夜にはライト・アップもするから、大学からの帰りに通ると綺麗だが、ぞろぞろ歩く人が結構いるから驚いてしまう。屋台なども出て、夏休みとゴールデン・ウィークにつぐにぎわいだ。
山中湖でペンションを経営する友人のところに、時々倒木を拾いに行っている。春からぼちぼち運んできたが、まだまだたくさんある。急がないと雪が降ったらまた来年の春になってしまう。とは言え、山中湖までは片道30kmもあるし、天気のいい平日にかぎられるから、ほんとにたまにということになる。

先日久しぶりに出かけると、友人が、「最近では河口湖の方が人気で山中湖はさっぱりだ」と言った。山中湖に来ても、行くところがない、することがない。そう言うお客さんが多いらしい。たしかに、山中湖は昔からの別荘地で、ホテルは少ないし観光名所もない。だからこそ、富士山や湖を見てゆっくり時間を過ごしたい人には人気だったはずで、団体客でにぎわう河口湖とは客層が違うのは昔からなのだが、最近はそうでもないらしい。何かすること、出かける場所を用意してもらわないと、何をしていいのかわからない、どこに行ったらいいのかわからない、時間がつぶせない。そんな訪問者が増えてきたらしい。

河口湖町はもうすぐ富士河口湖町に変わる。近隣の勝山村、足和田村、上九一色村と合併するのだ。新しい役場もできて新しい出発という雰囲気だが、町長はこれまでにも町の活性化に積極的だった。野外のコンサートホール(ステラ・シアター)を作って、イベントの企画にも熱心だし、湖畔にラベンダーを植えて7月の「ラベンダー祭」も定着させた。「河口湖美術館」のある北岸には「オルゴール美術館」「久保田一竹美術館」、木の花美術館、円形劇場、それに「猿回し劇場」などがあって、観光客でいつでもにぎわう場所になってきたし、紅葉する樹木をライトアップもして紅葉祭もはじめた。

もちろん、釣り客も多い。入漁料収入で駐車場やトイレの施設も整備している。湖岸にサイクルロードを作っているから、湖畔をサイクリングしたり、ジョギングしたりする人も増えるだろう。奥河口湖にはトンネルを二つ工事中で、車の往来も便利になりそうだ。「富士急ハイランド」や天神山スキー場も山中湖よりは河口湖からの方が近いし、高速道路や電車の交通の便も河口湖の方が断然いい。富士河口湖町になって富士五湖のうちの四湖は同じ町に含まれることになったから、これからは西湖や精進湖、それに本栖湖の活性化もはかるのかもしれない。そうなると、山中湖だけがますます孤立することになる。

もっとも住人としては、観光客が増えるのはけっしてのぞましいことではない。交通渋滞は起きるし、人の多さにうんざりするし、あとにはゴミがいっぱいのこる。静かな山中湖の方がずっといい。ぼくも家探しをしたときに、そのことを考えた。環境としては山中湖だと思った。ただ、海抜が300mも高い山中湖は冬の寒さも一層厳しくて、永住の場所としてはちょっとつらい。自衛隊の演習場も近くて大砲の音がしょっちゅうする。だから河口湖にした。その判断は間違っていなかったと思うが、それにしても、最近の人の動きは極端だ。
紅葉の季節が終わると河口湖も閑散とする。湖畔のライトアップや寒中の花火大会などイベントに工夫はしているが、春先までは静かな季節になる。外で長時間過ごすのには寒すぎるし、車もスノー・タイヤが必要になる。旅館や観光施設にとっては、あるいは町の財政にとっては、冬の閑散期に客を呼ぶのが次の課題だが、住人としては冬だけは静かなままであってほしいと思う。


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