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伴大納言絵巻展

 11月5日まで出光美術館で開催中の「国宝 伴大納言絵巻展」に行ってきた。この春には,第1巻の有名な応天門炎上のシーンが公開されていたが,今回は,3巻全てを公開するという大盤振舞い。それに,米粒みたいに小さい(というのは言い過ぎだけど)登場人物を,壁面いっぱいに拡大したプリントがあったりで,それも一見の価値アリ。画集なんかで単に黒い着物と思っていたものが,シースルーの模様があって,下の生地の色まで描いてあるというのがハッキリ確認できたりする。
 平日の午後というのに,第1巻の始まる前には,しっかり行列ができていた。絵巻物というのは時間芸術の作品だから,鑑賞するには,それなりに時間がかかる。1枚1枚フレームで切られた絵画とはまったく異なる代物なので,これは覚悟して出かける必要がある。
 ただし,陳列ケースの前を,ロープ(リボン)で区切っておいて,「お急ぎの方は,その後ろからどうぞご鑑賞ください」というのは,いただけない。それじゃ,距離がありすぎで,けっきょく,待ち時間を我慢しても行列に並ぶほうを選択するという悪循環になる。わざわざ区画を切らなくっても,通常,「ゆっくり鑑賞する最前列」と「急いで見たい後列」というスタイル,確立しているものだと思うのだ。やはり,この春に開催された京都の国立博物館での「大絵巻物展」でも,会期途中からこのロープ(リボン)で最前列の区画を独立させる方法が導入されていたが,まったく余計なおせっかいで,観客の渋滞を悪化させる結果になっただけだと思う。
 ついでに,この夏に国立博物館で開催された「若冲展」では,何度も観客に移動を促すアナウンスをやっていたようだけど,そんなの,鑑賞する人によって,じっくり見たい場所というのは異なるんだから,一律にどんどん移動させるだなんて,間違いでしょ。早く移動したけりゃ,前の観客を追い越して行けばいいだけのこと。観客のほうも,管理のされ過ぎに慣れていて,順番に移動しろと言わんばかりに,無言で後ろから体当たりしてくる輩もいたりで,いやもう散々。
 で,肝心の作品についてまったく触れていないんだが,そりゃもう高畑勲の「十二世紀のアニメーション」などでも持ち上げられている通り。一つ一つの画面の構成から,物語的な展開を作り上げる脚本力というか,どれをとっても,魅力的な存在。先日のNHK新日曜美術館で学芸員が「この先,なかなか公開できないだろう」なんて口走っていたから,これは見ておくべき。ただし,この後最終週の10月31日以降にならないと,オリジナル3点は出てこないので(それまでは,1点のみオリジナルで,残り2点はレプリカが展示される),最後の週に大混雑でも行くべき!?

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2006年10月19日 10:16に投稿されたエントリーのページです。

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