14 「哀愁的東京」:平面作品
藤井 優一










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  ある景色を見て、ふと哀愁を感じる瞬間があります。哀愁を実感する瞬間は、何が作用しているのだろうと考えた時、過去にあった時間の流れを見たときに、哀 愁を感じているように思いました。例えば、山間に沈む夕日を見たとき、物悲しい気持ちになるのは、一日の終わりという過ぎた時間を見たからではないでしょ うか。
  東京には、哀愁を帯びた景色が多くあるように思います。それも、昼間や夜間は全くそう思わない景色が、とある瞬間になると 哀愁を帯びて 見えることがあります。夜は夜景に溶け込んで光って見える高層ビルも、ある瞬間は無機質で大きな塊に見えます。また、普段は人々で賑わう真っ赤な東京タ ワーも、近くで見ると所々が錆びていて、物悲しく見えます。そういった、普段は煌びやかに見える景色が哀愁を帯びた瞬間を写真に収められないかと考えまし た。