『不逞者』

宮崎学(角川書店、1998)



 本書の著者宮崎学は、ひたすら過激で、根源的なもの書きである。戦後史の裏舞台を描いた『不逞者』を読むと、著者の人間洞察のふかさと、気っぷのいい、お利口さん社会に対する開き直った構えがひしひしと伝わってくる。この本に出てくる人物は、まさに生きている。読み進めるうちに、主人公の万年や金が、あたかも自分の知っている人物であるかのように身近に感じられてくるのだ。わたしの評などより、ぜひとも『不逞者』を読んでほしい。『不逞者』を買うのをちょっとためらう人は、下をクリックして、「キツネ目の男」宮崎学のホームページを散策してほしい。圧倒される。私は今までひたすらまじめに書評を書いてきたが、著者のHPや関連ページにつなぐというハイパーメディアの根源的な力を忘れていた。これからはつなぐことでもっと楽をしよう。

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