『見えない学校 教えない教育』

平井雷太(日本評論社、1997)



 本書の著者平井雷太は、東京都文京区在住。週4回「すくーるらくだ」という教室で子どもから大人までの生徒と向き合い、水・土・日は講演、講座などで全国を飛びまわっている。(同書より)
 この本は、教育に携わる人々には癒しの著書である。教師ががんばり、生徒にがんばりを強いるほど、学校は息苦しくなってきた。平井は、もうがんばらなくてもいいよというメッセージを、自らの体験を踏まえながら、わかりやすく語りかけてくれている。
 詩を引用しよう。
 「どうして学校に行くようになると
 勉強が嫌いになる子が増えるのだろうか?
 教えられたことしか学ぼうとしない子
 出された宿題だけをするのが勉強だと思っている子
 わからないことがあればすぐに人に聞く子
 学校で勉強しているにもかかわらず
 勉強ができなくなる子が学年がすすむにつれて
 増えていくのはどうしてなのだろうか?
 『あれもできない、これもできない』と思う子が
 どうしてこんなに増えていくのか不思議だった。…

 その結果、やるべきことを親や教師が子どもに
 『〜しなさい』と指示命令することで育つのではなく、
 親や教師が自分自身に
 『〜しなさい』と言わないタガをかけることで
 親や教師が育つ教育があることが見えてきた。…」

 教育という関係の息苦しさのなかで窒息しそうな、教師の方々や親の方々、それから学べない自分に苦しんでいる方々に、ぜひとも一読をお勧めしたい。わたしにとって、ものすごく元気の出る一冊だと思っていたところ、近々、映画になることが決定したそうである。