『レ・ミゼラブル』

ユーゴー(岩波文庫)



 ヴィクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル』は、ミュージカルでもお馴染みの大河小説。過去に忌まわしい傷をもつジャン・バルジャンの物語。小説よりミュージカルの方がより強く印象に残っており、活字として記憶が想起できないのが不思議である。今もなお行われているミュージカルからは、島田歌穂が本場ヨーロッパの舞台に出演するなど、役者も育ち、ロングランの一つとしての地位を確立している。ミュージカルを観たのは、これもまた大学2、3年の頃。東京に出てきてよかったと思う感動だった。小説の内容としては、トルストイ、ドストエフスキーと較べて、直線的な印象を受けるが、その分、ミュージカルに見事にはまっている作品として仕上がっているのかもしれない。