『7つのチャクラ』

キャロライン・メイス、三マーク出版、1998)



 この本は、これまでの交流分析やアダルト・チルドレン関連の本より、さらに神秘的であやしげな印象をもたれるかもしれない。「チャクラ」、「直観医療」、「霊性とのつながり」など、新興宗教のような雰囲気さえ漂う用語が並べられている。しかしながら、内容は決して著者をカリスマとするものではなく、自分自身のなかにあるいのちの力を引き出すための手がかりを示すものである。身体と精神の統合、魂の問題、こうした生きる上での課題は、経済、モノ、権力一辺倒の社会の中でうち捨てられてきたものである。この状態に耐えられなくなった人々がオウム真理教などの新興宗教に身をゆだねることになった。オウムの問題に向き合うということは、決して霊性を否定することではなく、自分のなかにある霊性を見つめ、回復することではないかと思う。そうでなければ、オウムに戻ろうとする人々に届くことばをもてるわけがない。今回、出獄にあたって、上祐被告が「今後は霊性を担う」という書簡を出したとき、公安やマスコミは「カリスマとなり権力を掌中にしようともくろんでいる」という解釈しかできなかった。これでは勝負は決まったも同然である。『7つのチャクラ』は、オウムに入らなくても自分のなかの霊性を高め、よりよき生を生きる道があることを示してくれている。