『セルフコントロール』

池見酉次郎・杉田峰康(創元社、1998)



 交流分析関連の図書の第二弾。池見酉次郎は、1915年生まれの心身医学の重鎮。本書は、交流分析の考え方について、心理的なアプローチにとどまらず、大脳生理学の知見も援用しながら、わかりやすく綴った本である。読者は本書を導きの糸としつつ、自己分析を深めるわけであるが、本書の自己分析の最終ゴールは「人格の本来的な部分、現実的な部分、さらに日常の行動との間に、能うかぎりの自由なコミュニケーションをうちたて、それらの統合をはかる」ことであるという。本書の面白さは、競争社会から“You are not OK!”(他者否定)のメッセージを刷りこまれている私たちが(この構えは最終的には“I am not OK!”(自己否定)にたどり着く)、他者肯定、自己肯定の構えを身につける道のりの過程で、脳についての生理学的なみかたも出てくるところである。私たちの社会の歪みが、脳をも蝕んでおり、深刻な状況を招いていること、しかしながらそこからの回復の手だても準備されていることを教えられた。