戦争体験者のライフヒストリー
<戦争体験者のライフヒストリー>



特攻青年の出陣前




1997年度の聞き取りから

 飯沢博美さん    田中徳治さん
 高砂族の人々    篠塚良雄さん



 東京経済大学にて、「生きられた近現代史」と題したゼミを開講し、その受講生の学生とともに、戦争体験者のライフヒストリーの聞き取りを始めている。戦後50年を過ぎ、過去の記憶は、急速に薄れつつあるように思える。8月の民族的鎮魂の季節も、戦争体験者の減少とともに、ぼやけてきつつあるようである。戦後40数年、東西冷戦の陰に隠れて、日本は自らの戦争責任を問うことがなかった。そして、今、過去をうやむやにしたまま清算し、責任なき軍事大国への道を再び歩もうとしている。このような時代だからこそ、私たち戦後の世代の人間は、戦争とは一体何だったのか、そこで生きるとはどういう経験だったのか、現実に生きた人々の体験に学びながら、明らかにしていく必要があるのだと思う。
 学生たちとの共同研究は、まだ始まったばかりであるが、古老の具体的な話を聞くことで、当時の生々しい生活や人々の生きられた経験の多様性に気づかされている。この個人の多様性を剥奪し、総力戦体制の一つの駒とする戦争に対して、冷静な目をもって、批判的に見据えていくわたしなりの原点を、戦争体験者のライフヒストリーにおきたいと思う。




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