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Q:約20年の間に
東京ドーム260個分の
面積が消失した
生態系とは
何でしょう?

全学共通教育センター 大久保奈弥准教授

東経大教員QUIZ

 
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A:日本のサンゴ礁生態系です。いま、サンゴを含む海洋生物の多くが荒廃の危機にさらされています。

日本では、1970年頃から1991年までの間に、東京ドーム260個分の面積のサンゴ礁生態系が消失してしまいました。いま、世界中で、サンゴを含む海洋生物は荒廃の危機にさらされており、2050年までにサンゴ礁生態系の95%が破壊されるという予測もあります。そこで、サンゴ礁生態系の再生のために、日本各地で取り組まれてきたのが「サンゴの移植」です。

米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設が進められている名護市辺野古の大浦湾でも、開発の"免罪符"のようにサンゴの移植が行われています。しかし実際は、サンゴの移植だけでサンゴ礁生態系を復元することは出来ません。

例えば、沖縄県の「サンゴ礁保全再生事業報告書」によれば、県内のある海域では5年間に移植した7.9万本のサンゴの9割が既に死亡しているそうです。そもそも、移植によって再生しようとしたサンゴ礁は約3ha、那覇空港滑走路増設事業で破壊される面積は約160haであることからも、人為的な復元が到底不可能であることが分かるでしょう。

私の活動には「研究」「保全」の2本柱があります。「研究」を通して、新たな発見をしたり新技術を生み出したりすることは重要です。でも、それだけでは生態系を守ることはできません。生態系を「保全」するためには、利害関係者と対峙し政策転換や法規制の整備を促す、自然の経済的価値を生かした産業を提案する、一般の人たちに正しい知識を伝えるといった、多様なアプローチが必要なのです。これからも私は、様々な人・団体と協力しながら、「研究」と「保全」の両方に精力的に取り組んでいくつもりです。