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ベテラン健在というアルバム

crow1.jpg・次々出るから、次々買う。で気がついたら、ベテランばかり、かなりの枚数になった。一番久しぶりと思ったのは、シェリル・クロウ。ただ、何度か聴いているうちに、どの曲も、もう何年も聴き続けているような気がしてきた。といっても、マンネリとかワンパターンというわけではない。アルバム・タイトルは "Detours"(「回り道」)。同名の曲はこれまでの人生、いろいろあって回り道しちゃった、と母親にうちあける話だ。離婚や乳ガンの手術など、たしかにいろいろあったようだ。ファッション・センスが悪いとか、恋多き女だとか、いい歳してコンサートでビキニになったとか、いろいろ揶揄されるが、彼女のアルバムはどれもよく売れて、きまってグラミーを何か受賞する。彼女はまさに、良くも悪くもアメリカ人そのものだ。

madonna3.jpg・マドンナの"Hard Candy"は下着姿のジャケットだ。シェリル・クロウより歳上なのに、この人が裸になっても、だれもけちをつけない。実際、二人を比較すると、対照的なことが多くておもしろい。野暮な田舎者と洒落た都会人、セクシーはマドンナの看板だが、最近の実生活ではシェリルの方が、奔放なのかもしれない。どちらもアルバムを出せば売れるのだが、マドンナにはグラミー賞は本当に冷たい。で、今度の二人のアルバムはどうか。"Hard Candy"はかなり売れているようだが、個人的には、"American Life"や"Confessions On A Dance Floor"を聴いたときほどの強い印象はない。

morrison4.jpg・ヴァン・モリソンも着実にアルバムを出しつづけている。タイトルは"Keep It Simple"、その名の通り、シンプルな曲作りや歌い方は、いつも通りかわらない。1年おきぐらいに新しいアルバムが出て、ぼくはそのほとんどを買っているが、どれを聴いても、その姿勢は変わっていない。彼の公式サイトを見ると、このアルバムがアメリカとカナダでよく売れているようだ。レイ・チャールズやハンク・ウィリアムス、それにジョン・リー・フッカーの霊がアルバムを漂っている。ジャズとカントリー、ブルースとフォークの究極的な融合。そんなべた褒めの新聞評もある。今さらという気もするし、やっぱりと納得したい気にもなる。

道ばたでワインを飲む 時間を潰し ありったけのおしゃべりをする
過ぎ去った日々の 儀礼の背後に 魂を見つける "Behind the Ritual"


browne.jpg ・ジャクソン・ブラウンのライブ版"Solo Acoustic, Vol. 2"は3年もたって、続きにしては間延びがした発売だ。ところが、中身もジャケットも、よく確認しなければどちらかわからないほど似ている。歌の間にきまってする長いおしゃべりは、英語がもっと聞き取れたら楽しいだろうな、と思う。けれども、CDで何度も聴いたら、覚えてしまって飽きてしまうかもしれない。男友達、女友達、仲間のミュージシャンを肴にした笑い話など、つくづく、ブラウンはおしゃべりだなと思う。そう思ってほかと比べると、フォーク・ミュージシャンはおしゃべりか無口の両極端で、真ん中がいないのではということに気がついた。もちろんヴァン・モリソンは、ライブではほとんどしゃべらない。

jd_souther1.jpg ・J.D.サウザーは地味なミュージシャンだ。ジャクソン・ブラウンやイーグルスの歌を提供していて、名前は知っていたが、どんな声や歌い方なのかはまったく知らなかった。ジャクソンブラウンのライブをAmazonでチェックしたときに、お勧めのベストアルバムを見つけたので、買ってみることにした。代表作が18曲も入って1643円。70年代から80年代にかけての録音だが、なかなか聴きごたえがあった。あたらしい人でなくても、まだまだ聴きのがしてきたミュージシャンがたくさんいる。先週紹介したグレイソン・キャップとあわせて、そんなことを再認識している。

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2008年05月11日 22:57に投稿されたエントリーのページです。

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