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アムネスティ『Human Rights Concerts 1986-1998』

amnesty.jpg・ロック音楽とアムネスティの関係にはずいぶん長い歴史がある。その活動の記録が何種類ものCDやDVDになって発売された。収録されているのは1986年から1998年までのものである。僕はその中の一つを買ったが、若いスプリングスティーンやスティング、ルー・リード、ジャクソン・ブラウン、シニード・オコーナー、ジョニ・ミッチェル、アラニス・モリセット、トレーシー・チャップマン、そしてU2などの元気のいい歌を聴いて、20年、30年前の音楽状況を思い出してしまった。

アムネスティは軍事政権下のポルトガルで逮捕され、7年間も投獄された二人の学生を支援する目的で1961年に結成された。「アムネスティ」には「恩赦」の意味があり、国際法に則って死刑の廃止、人権擁護、難民救済、良心の囚人の支援などの活動をしてきた。現在ではその活動はさらに広範囲になり、女性の権利、子どもの権利、難民と移民の権利、テロとの戦いにおける人権侵害、そして企業の社会的責任などに及んでいる。1977年にはノーベル平和賞、78年に国連人権章を受賞した。

・アムネスティ主催した"Human Rights Concerts"は1986年にアメリカの6都市で開催された。その後88年には世界中を回るツアーに発展し、日本でも東京ドームで公演が行われ、1990年、そして1998年と続けられた。今回発売されたCDやDVDは、86年のニュージャージー、88年のブエノスアイレス、90年のサンチアゴ、98年のパリの単独のものと、その中からピック・アップされたものである。当然ながら、この売り上げはアムネスティの活動資金に使われる。

journal2-126-1.jpg・以前にこのコラムでも取り上げたことがあるが、アムネスティの50周年を記念してボブ・ディランのトリビュート・アルバムが出された。『自由の鐘』(Chimes of Freedom)と題された4枚組のアルバムで、80組のミュージシャン達がディランの曲をカバーしていた。今回のCDにはディラン自身は登場しない。このコンサートにはまったく出なかったのかもしれないが、アンコールでみんなが歌うのは「自由の鐘」であり、また「我、釈放さるべき」(I Shall be Releasd)だった。どちらにしても、アムネスティのテーマ・ソングとしてはぴったりすぎるぐらいの歌だから、彼がいなくても、最後はこの曲以外にはないのだろうと思う。

・そのディランが3月末から日本でツアーをやるようだ。見に行きたい気もするが、スタンディングのZeppだから迷っている。コンサートは東京で6回、札幌で2回、名古屋で3回、そして大阪で3回行われる。73歳になったが、ディランはけっして過去の人ではなく、12年に新しいアルバムを出している。今世紀に入ってから出したアルバムには"Love & Theft"(2001)、"Modern Times"(2006)、"Together through Life"(2009)、"Christmas in the Heart"(2009)があり、そのほかに、伝記映画の "I'm not There"やドキュメントの "No Direction Home"、あるいはいくつもの海賊版シリーズが出されてきた。だから同世代ばかりではなく、若い人たちにも多くのファンがいるのだろうと思う。

・アムネスティのコンサートに登場したミュージシャンの中でルー・リードは昨年死んでしまったが、スティングやスプリングスティーンは、最近新しいアルバムを出している。古い歌も懐かしくていいけど、新しい歌も聴きたい。このアルバムに登場するミュージシャン全員に対する思いである。

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2014年01月13日 08:13に投稿されたエントリーのページです。

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