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サウンドトラックから知ったミュージシャン

"me before you"
Ed Sheeran "Divide" "X"

・昼食後の午後のひととき、うつらうつらしながらテレビを見る。面白いものがなければアマゾンのプライムビデオをさがしたりもする。退職後の悠々自適の生活。で、『ホビット』の次に目にとまったのは『世界一キライなあなたに』だった。
・富豪の家に生まれ、自らも実業家として活躍していたハンサムでスポーツ万能の青年が、交通事故に遭って下半身不随になる。その世話をする仕事に就いたのは労働者階級の貧しい家庭に育った女性。人生に絶望している彼は彼女を無視し、冷たくあしらうが、彼女は意地悪されながらも、明るくけなげに世話をする。やがて二人は心を通わせあうようになるのだが、彼は安楽死を選択することになる。

me.jpg・安楽死と自殺幇助といった問題をテーマにした映画だが、それだけに映画のタイトルの陳腐さが気になった。原題は“me before you" で世界中でベストセラーになった原作の邦訳には『ミー・ビフォア・ユーきみと選んだ明日』というすなおな題がついている。よくできた映画だと思ったが、挿入されている歌に気になるものがいくつかあって、原作ではなくサウンドトラックのCDを買うことにした。

・CDには知っているミュージシャンはいなかったが、その中でエド・シーランが歌う“photograph”という名の曲が一番いいと思った。ネットで調べてみると、つい最近見たばかりの『ホビット』の挿入歌 “I see fire”も歌っている。2012年にイギリスの音楽賞で男性ソロ部門と新人賞を取っていて、2016年にはグラミー賞の年間最優秀楽曲賞も取っている。日本にも「フジロック」などで来ているようだ。今年の秋にコンサートをやるようだが武道館も大阪城ホールもソールドアウトだという。全然知らなかった。

ed1.jpg ・エド・シーランは1991年生まれだからまだ26歳だ。これまで3枚のアルバムを出していて、そのタイトルは"+” “x” “÷”と意味深でシンプルである。経歴を調べると、ストリートやライブハウスでかなりの経験を積んでいるようだ。YouTubeにはたくさんのビデオがある。挿入歌だった“photograph”は、彼が生まれた頃からよちよち歩きの時、そして少年時代や最近までの写真やビデオで作られている。かわいがられて素直に育った様子がよくわかる。ピアノなども早くから習っていたようだ。撮ったのはお母さんだろうか。

・彼の歌は自分の経験を素直に表現したものが多いという。そうだとすると、育った家庭は必ずしも幸福なものではなかったのではないか。“Runaway”の歌詞には、次のような一節がある。
ed2.jpg

僕はずっと知っていた
親父が夜9時に起きて酒を飲み
一晩中いなくなることを
彼がどこで倒れていようと知りたくはなかった
僕がしたいのはあなたと逃げることだった

・多芸多才で、ラップもやれば、R&B風の歌も歌う。生ギター一本でも説得力がある。そんなところが受けているのかもしれない。それは、最近この欄で取りあげたライリー・ウォーカーやダミアン・ライスなどにも共通した特徴でもある。幼い頃からいろいろな音楽スタイルに馴染んで、すべてを自分のものにした。今はそんな人が活躍する時代なのかもしれない。

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2017年07月24日 06:26に投稿されたエントリーのページです。

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