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バイクとお別れ

bike1.jpeg・長年乗り慣れたバイクを手放した。河口湖に引っ越してからあまり乗っていない。特に冬場の4カ月ぐらいは路面の積雪や凍結で動かせないから、1年に 1000kmも走らなかった。買ってから10年以上たつがまだまだしっかり走る。このまま置きっぱなしにしたのではもったいないし、バイクがかわいそうだ。そんな気持をずーっと感じていた。
・車種はホンダのトランザルプ(アルプス越)で排気量は400cc。オン・オフ兼用のタイプで、名前のしめすとおり、山道などにはぴったりのバイクだ。ドイツ・ホンダが設計した車種でもともとは650ccのエンジンを積んでいて、それを日本で400ccに作り直したものだ。一度モデルチェンジがあったが、現在では生産は中止されている。それほど売れた車種ではないから通りすがりに見かけるということもめったになかった。
・日本では人気がなかったのだろうと思ってネットで検索すると、結構マニアの頁があった。中古の車種のなかでは人気も高いようだ。売りに出そうかとも考えたが、それも面倒くさい。で、近くの人に譲ることにした。もうすぐ車検切で、タイヤなどの交換もしなければならないから、ただにして、せいぜい大事につかって、事故を起こさないようにお願いした。
・僕がバイクに乗りだしたのは大学生の時からだから、もうバイク歴は30年を越える。そのあいだに乗ったバイクは5台ほどだ。30代の後半まではそのバイクでどこにでも行っていた。40代になって車を主に使うようになってバイクはサブの乗り物になったが、それでも、京都にいる頃にはなくてはならない必需品だった。バイクは駐車場を気にする必要がないから、京都や大阪の街中に行くときには便利だった。

bike2.jpeg・河口湖に引っ越したら、野山のツーリングに使おうと思った。実際あちこちには行ったのだが、日常的に使わないとだんだん乗る機会は減ってしまう。それに冬場の寒さである。ここ1年はバッテリーが上がらないように時折湖畔を一周といった程度で、駐車しっぱなしのバイクを見るのがつらく感じさえした。去年から50肩になって右手が思うように動かないから、バイクの引き回しもままならない。何しろ200kgを越える車体なのだ。
・で、譲渡契約書を交わして持っていってもらうことにしたのだが、なくなる前に何度か乗っておこうと思って、今まで行ったことのない道に出かけることにした。行こうと思って行ってないところが2カ所ある。一つは富士山の旧登山道。もう一つは下部温泉から朝霧高原に抜ける山越えの道だ。富士山は時間がかかるし、準備も大変だから下部温泉に行くことにした。

・河口湖から下部温泉に行くには本栖湖を通って山を下る道がある。国道300号線(本栖道)で、高低差1000mをくねくねと一気に下る。下部温泉につくと源泉館を過ぎて、今度は急な登り道。かなり上がったところに数件の集落があって、それを過ぎると断崖絶壁になった。はるか下に下部川。ところどころに崖崩れがあり、工事中も数カ所。霧も出てきて雨も降り始めた。時計の高度計を見ると1400m。1時間ちょっとで1000m下って1200m 上がったことになる。で、峠のトンネル。
・休まず入ると真っ暗で霧が立ちこめているから何も見えない。ライトが照らすのはせいぜい5mほど先で、ほとんど手探り状態で真っ直ぐ進む。緊張と恐怖。しかしもう止まって後戻りするわけにはいかない。そんなに長いトンネルではないはずだが、いつまでたっても出口は見えてこない。天井からは滝のような水。対向車が来たらまちがいなく正面衝突だ。そんな不安が数分。薄明かりが見えたときには本当にほっとした。

・2時間ほどのツーリングを楽しんで、このバイクに乗るのもこれが最後と思ったら、ちょっといとおしくなった。事故も故障もなく、あちこち運んでくれてありがとう。今度は別の人を乗せて、もっともっと走ってください。さようなら。

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2003年09月08日 17:02に投稿されたエントリーのページです。

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