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確定申告の書類がこない

・例年なら、税務署から確定申告用の書類が送られてくるはずなのに、今年はこない。もう2月になって確定申告の時期も近づいているからおかしいな、と思っていた。用事で出かけたパートナーが役場によって確認すると、すでに発送済みのはずだといって、そのリストを見せてくれたそうだ。そうすると、リストに名前がない。理由は、去年還付請求をしているからだという。パートナーは、一瞬耳を疑ったといって帰ってきた。もちろん、それをしたのは役場ではない。税務署の判断で、役場には、そういったリストが届いていただけである。
・還付請求をしたら翌年は申告書を送らないという判断は、何を意図しているのだろうか。素直に考えれば、とれる人にはすこしはサービスするけれども、とれない、あるいは返す人には、そんなことやる必要がない。必要なら、じぶんで勝手にやれということだろう。まさしく役所的発想で、それは年金などでもよくとりざたされることだ。未払いがあって、いざもらう時になって額が少ないことに気づくといったケースで、なぜ、事前に知らせることができないのか、不思議に思っていた。
・役人は公僕で、国民や住民に公的なサービスをすることを職業にしている人のことだ。しかし、こういった発想は相変わらず皆無なのが現状だろう。だいたい税金は納めるものだとされている。神社に奉納などと一緒で、これは礼を尽くして差し上げるという意味で、税金の趣旨とは相容れないことばのはずである。税金は納めるものではなく、預けるもので、行政はそれを国民の生活のために代行してつかうことを仕事にしているのである。その自覚がないから、無駄づかいをしたり、利権や汚職がまかり通る。

・去年、還付請求をしたのは、思わぬ副収入があったからだ。ぼくの書いた文章は、時々大学の入試問題につかわれることがある。それは連絡があってだいたい承知していたのだが、その問題が、受験参考書や問題集、あるいは予備校の教科書などにもつかわれていて、出版社によっては版を重ねて何年も発行しつづけたものもあったようだ。文化庁の指導で、それに使用料を払わなければならないことになって、あちこちの出版社や予備校から、無断で使用してきたことのお詫びと、使用料を支払うという連絡がやってきた。
・馬鹿にならない額の思わぬ副収入で、ちょっとうれしくなったが、しかし、著作権などお構いなしで無断借用が慣例化していたことには、釈然としないものを感じた。で、必要経費をできるだけ申告して、源泉徴収された分を取りかえそうと思ったのである。必要経費は普通2割程度とされているが、実際に収入以上につかったのなら、全額計上したってかまわない。そう認められていることを、以前に同僚からアドバイスされたのだが、そんなことも、申告書には書いてない。
・一昨年はたまたま、海外旅行にもっていこうとPowerBookを買った。本やCDも研究費では落としきれない額を毎年つかっている。しかも国内研修の年で、例年以上に領収書がたまっていた。それを副収入に見あう金額分に必要経費として計上して添付して、ほぼ全額還付するよう申告した。そのことが税務署にはお気に召さなかったのだろう。お返しに申告書の送付はしてやらないとなったわけである。しかし、やることが何ともせこい。

・今年から定率減税がなくなって、税負担はかなり増える。景気が上向いても、税負担を軽減されるのは企業ばかりだ。銀行などはないに等しい利子で金を集め、融資して結構な収益をあげているのに、税を免除されていたりもする。国や自治体の財政は、税以上の支出をつづけて、どこも膨大な借金を抱えている。国民から納めさせるのではなく、お預かりして、大事につかう。そういう気持ちがないからこういうことになる。一事が万事。確定申告の書類を送ってやらないという発想からみえてくるものは、けっして些細なことではないのである。

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2007年02月12日 07:47に投稿されたエントリーのページです。

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