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モントリオール便り

・夏休みを利用してカナダとアメリカを旅行中です。主として古い友人たちを訪ねる旅で、今はモントリオールにいます。成田を出てモントリオールに着くまで、途中でトロントで乗り換えて13時間、いつものことながら、エコノミーではくたびれて遠いなーと思いましたが、着いてしまえば、昼夜が完全に逆の世界ですから、遠くまで来たなーとも思いました。

journal5-93.jpg・モントリオールの夏は快適です、日差しは強いですが風は涼しく、朝晩は寒いほどで、日本の猛暑とはまるで違う気候です。こちらに来てまず気づいたのは、自転車に乗っている人が多いことでした。市内各地に貸し自転車(パブリック・バイク・システム)があって、市内に 300カ所設置されたどこの駐輪場でも借りられるし、どこにでも返すことができます。料金は一日5ドル、時間でも区切られていて、30分以内に返せば無料になるようです。自転車にはICがついていて、全車の状況がチェックされているということでした。
・もちろん、自前の自転車を使う人も多いです。朝早く散歩をすると、ジョギングをする人、サイクリングをする人、そして自転車で通勤する人をたくさん見かけます。道路には専用レーンも数多く設けられていて、街中の移動を自転車ですることに、市も市民も歓迎していることがよくわかります。

・滞在している友人たちももちろん、自転車を使っています。そのほかに自動車も使いますが、個人ではなく共同で利用していて、使いたいときに借りに行くのです。都市で生活する人にとって自動車は、必ずしもいつでも必要なものではありませんから、極めて合理的な仕組みだと思いました。

・友人宅は大きな公園に面しています。週末には大勢の人が出かけてきて、フリスビーをやったり、キャッチボールをしたり。中にはバーベキュー・パーティをしているグループもたくさんいました。その公園の周りをジョギングする人、自転車に乗る人など、思い思いに楽しんでいる様子を見て、どこか日本と違う感じがしました。

・その理由を考えていて気づいたのは、公共の場の使い方、公共性という観念の持ち方の違いです。ゴミを持ち帰る、お互いの距離感を気にかける、必要があれば挨拶をし、声をかけあって場を共有する。当たり前のルールですが、しっかり浸透していることがよくわかりました。河口湖では、バーベキューをしたら、食べ残しばかりか道具まで捨てて帰るといった光景をよく見かけます。釣り人がのこした針があちこちに散らかっていたりもしますから、いつも不愉快になることが多かったのですが、改めて、日本人の公共心のなさがよくわかりました。

・モントリオールは移民の多い街です。ケベック州ですからフランス語が第一公用語で、カナダの他の街とは違いますが、街を歩くと、リトルイタリー、チャイナタウンのほかに、ユダヤ人街、ポルトガル人街があって、ベトナム、インド、パキスタン、アフガニスタン、トルコなど、さまざまな国の人が混在して暮らしていることがよくわかります。異質な人たちがトラブルを起こさずに生活していくためにはどうしたらいいか。そんな意識が公共性を育むのかもしれません。

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2010年08月08日 21:54に投稿されたエントリーのページです。

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