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U2とStereophonics

U2 "Songs of Experience
Stereophonics "Scream above The Sounds"

u2-1.jpg・U2のニュー・アルバムは3年ぶりである。タイトルは"Songs of Experience"。前作が"Songs of Innocence"で、対になるアルバムのようだ。U2のオフィシャル・サイトによれば、イギリスの詩人「ウィリアム・ブレイクによる詩集『無垢と経験の歌(原題:The Songs of Innocence and of Experience)』からインスピレーションを受けている。」ということだ。ブレイクは18世紀から19世紀にかけた生きた人だが、現代の詩人や作家、そしてロックミュージシャンに与えた影響がかなり強いといわれている。

・『無垢の歌』から3年経って、やっと連作になる『経験の歌』の発表ということになる。ジャケットはボノとジャッジの子ども達のようだ。前作について僕は、それ以前の作品に比べて印象が薄いと書いた。それは今度のアルバムでも一緒だ。悪くはないが、後に強烈に残るものがない。バンドを結成して40年もたてば、若いときのようなエネルギーはなくなる。そんなところかもしれない。もっとも、ブレイクの詩は「自分が死んだかのように書いたもの」と言われている。だから、収められた歌には、家族や友人、ファン、そして自分自身に宛てた手紙に形を取ったものが多いようだ。

・とは言え、このアルバムでU2が引退するわけではない。すでに新作を機に世界中を回るツアーが企画されている。ボノはパラダイス文書に名前が載って、「脱税」の疑いがかけられている。アフリカの貧困問題に積極的にかかわっているが、他方で巨万の富を手にし、ホテルを経営したり、投資活動もしている。そういったことに対して偽善者呼ばわりする批判も多い。しかし、U2とは長年のつきあいだから、僕はすべてを受け入れて、これからも注目し続けようと思っている。

stereophonics6.jpg・ステレオフォニックスの"Scream above The Sounds"は10作目のアルバムだ。デビューしてから、ほぼ2年に一枚新作を出し続けていることになる。南ウェールズの小さな村クムアナン出身の4人組で、メンバーはすでに40歳代になっている。その前作のアルバム・タイトルは"Keep the Village Alive"だった。特にその村についての歌は見当たらないから、初心を忘れないといった気持ちの表明だったのかもしれない。ヘビーなロックだが、どのアルバムもどことなくもの悲しげで、歌にはストーリーがある。それはこのアルバムでも同じだった。

・で、新作もなかなかいい。2015年の「パリ同時多発事件」の直後に作られた歌、グループを脱退し、まもなく死んだ仲間のことを歌った曲など、リーダーのケリー・ジョーンズが作る歌は、素直でわかりやすい。


俺たちの名前が知られる前
俺たちは燃えていた
俺たちの名前が知られる前
俺たちには欲望があった
俺たちの名前が知られる前
俺はおまえを失った (Before Anyone Knew Our Name)

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2017年12月18日 06:48に投稿されたエントリーのページです。

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