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"Legends of Irish Folk"

ireland6.jpg・ダブリンの宿は有名なトリニティ・カレッジの近くにあって、学生寮を夏休みの間だけホテルにしているところだった。だからホテルには当然あるべきものがない。ただ、繁華街のど真ん中にあるから便利さは一番だ。その学生寮から出て1分も歩かないところに大きなホール(Gaiety Theatre)がある。そこでアイリッシュ・フォークのコンサートをやっていることに気がついた。夜の8時からで、どうしようか考えていると、切符を買いませんか?と言ってくる人がいた。急に都合が悪くなったようだ。チケットはすでに売り切れているというから、売り場で本物かどうかチェックして買うことにした。
・このあたりはクラフトン通りという。観光用に再開発され、ブティックやレストラン、あるいはパブが並んでいるところだ。ストリート・パフォーマンスも多種多様で、観光客たちであふれかえっている。

ireland7.jpg・最初はもの珍しくあちこちぶらぶらしていたが、しばらくすると人混みに疲れうんざりしてきた。いかにも作られたという雰囲気で、きれいで華やかだが、その分、嘘くさい。昨日のコークの小便臭いパブが懐かしくなった。ダブリンはコークに比べたら人口も倍以上だが開発のスピードもまた恐ろしく早いようだ。都心には路面電車が開通したばかりだし、空港までの高速道路も建設中だ。しかし、最初から堅いことは言わずに、今日は観光客になって、夕食はジェームス・ジョイスが通ったというパブに入り、鮭のサラダとアイリッシュ・シチューを食べ、ビールはギネスを飲んだ。シチューは肉とニンジン、タマネギ、それと大きなジャガイモがごっそり入って、塩と胡椒だけの味つけのきわめて素朴なものだが、なかなかおいしかった。イギリス人もアイルランド人も、本当にたくさんジャガイモを食べる。おとといはコークで頭をとっただけで丸ごと蒸した鯛のような魚を食べたが、やっぱりその下にはマッシュしたジャガイモがごっそりのっていた。



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ireland10.jpg・で、メイン・イベントのコンサート。出演者のほとんどを僕は知らなかったが、アイルランドではよく知られた大御所たちばかりだったようだ。そして歌われた歌も、誰もが知っているものばかりのようで、最初から会場では手拍子や足拍子がおこり、ハミングやことばでの合唱がつづいた。客の大半はたぶん僕よりも年上の人たちで、いかにも懐かしそうに聴いていた。そのうちの何曲かは僕にもわかったが、それはヴァン・モリソンやシニード・オコーナー、あるいはチーフタンズやアルタンで知っているものばかりで、歌の感じは必ずしも一緒ではなかった。しかし、アイリッシュ・シチューのように素朴な感じがして、とても親しみを感じた。10年、20年、あるいは50年、100年前の歌が今でも歌われていて、若い世代もアレンジを変えて歌い継いでいる。アイルランドの音楽は一度消えかかったが、うまく復活したということが、よくわかった気がした。
・出演したミュージシャンは4人で、その年齢を足すと300歳を超えるという。とてもそうは見えない若々しいパフォーマンスだった。日本では考えられないことだが、僕はこのステージをごらんの通りフラッシュをたいて撮った。文句を言われるのではと冷や冷やだったが、何の注意もされなかった。偶然とはいえ、すばらしいコンサートに出会えて最高の経験だった。




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2005年09月06日 23:58に投稿されたエントリーのページです。

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