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税金のかけ方、使い方

・期限付きのガソリン税がなくなって、負担がずいぶん軽減された。大学が始まって、毎週50Lほど使うから、1Lで25円安くなると、1200〜1300円ほども違う。とは言え、法案が衆議院で通れば、来月にはまた、もとにもどって、高いガソリンを買わなければならなくなる。道路を際限なく造るための税金なら当然、大反対だが、一般財源にするのも賛成という気にはならない。一般財源が必要なら消費税の税率を上げればいいのであって、批判の起こりにくいところ、既成事実として定着したところからとり続けようという発想が気にくわない。

・もっとも、ガソリンに税金をつけることに反対というわけでもない。無駄な消費を押さえるため、徴収した税金を環境保全などに使うことを明確にするのならば、僕は賛成だ。実際、EU諸国では、そういった名目でガソリンには高額な税金がかけられている。どこより、それをして欲しいのは、ガソリンを湯水のごとく使ってきたアメリカだが、日本だって、ガソリンに環境税として1Lあたり50円でも100円でもかけたらいい。無駄な走行をしなくなるし、コンビニとスーパーだけなら車はいらない、と思う人も増えるだろう。

・健康保険の制度が大きく変更されて、後期高齢者などという名称をつけられた75歳以上の人たちの負担が増えた。中には少額の年金から徴収されている人もあって、ぎりぎりの生活を余儀なくされたり、病院に行くことを控えたりする人もたくさんいるようだ。お年寄りを若い世代が支える形態を自己負担の割合を増やす方向で変更する。その趣旨自体に反対はしないが、健康保険の財源を確保する手段は、もっと他にもあるはずである。

・僕はタバコを吸う。大体1日一箱だから、月に1万円ほどの出費になっている。海外旅行をすると、多くの国でタバコが高額で売られていることに気がつく。一箱1000円なんてところも珍しくない。最初にそのことに気づいてびっくりしたのは、もう20年近くも前にカナダに行ったときだった。で、たばこ税は禁煙運動の高まりとともに多くの国に採りいれられてきたが、日本では、そんな議論すら起こらない。おそらくJTが強く反対するからだろう。

・僕は健康保険の財源としてタバコに高額な税金をかけたらいいと思う。一箱1000円。それでは吸えないというならやめればいいだけの話だ。そんなに高くしたらタバコを吸う人がいなくなるかというと、決してそんなことはないという気がする。実際、一箱1000円以上もするタバコを、ロンドンでもパリでもニューヨークでも、多くの人が吸っていたからだ。一日の食費を100円,200円と切り詰めて生活しなければならない高齢者からではなく、一箱のタバコに負担してもらう。それは極めて、理にかなった方法だと思う。

・で、タバコ代が月3万円にもなったら、僕はどうするか。実は今禁煙を実行しはじめている。海外旅行をするとどうしても、吸えない場所や時間が増えて、我慢せざるを得なくなる。そのことを何度か経験して、吸わなければ吸わないでいい、ということを自覚した。それにここのところ、原因不明の咳に悩まされていて、自然にタバコに手が伸びなくなった。「絶対吸わない!」というのではなく、吸いたくなったら吸ってもいいと思ってはじめて1週間が過ぎた。日に数本吸うことが今でもあるが、それはニコチンの禁断症状と言うより、口や手が寂しいといった欲求からくるようだ。

・他にも、必要な財源を確保する税金はある。高額な商品に10%でも20%でもあるいはもっと多くの消費税をかけることだ。おそらくそれに強く反対するのは消費者ではなく、生産者や小売業者だ。高くて買えないというなら買わなければいい。第一、日本で一番売れるブランド品などは、税金を何倍にもして、もっと高額にした方がかえって喜ばれるのかもしれない。自動車だって、高級車にはもっと税金をかけてもいいが、これもメーカーの反対が強いのだろう。

・もっとも、税収入を増やす前に、いい加減な使い方をしていないかどうか、もっともっと厳しいチェックが必要だ。既得権をいいことにいい加減な使い方をしているところは、おそらく社保庁や国交省にかぎらないはずで、呆れるような実体がポロポロとリークされて明らかになっている。

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2008年04月20日 20:49に投稿されたエントリーのページです。

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