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うわっ、大講義

・今年度から「コミュニケーション論」を担当することになった。全学の学生がとれる科目で、受講生が多かったから、二つに分割して、その一つをぼくがやることになったのである。コミュニケーション学部での「現代文化論」も引き続き担当するから、負担増で、渋々引きうけたのだが、講義初日に教室に行ってびっくりした。

・4階にある教室に向かって階段を上っていくと、学生が大勢たむろしている。「何で?」と聞くと、教室に入れないという。「何の授業?」と聞くと「コミ論」という返事。思わず「ウソー!」ということばが出てしまった。多いから二つに分けたんだから、まさか、そんなはずはないと思ったのだが、 400人以上収用できる教室に一杯の学生がいる。もうどうしようもないから、すぐに学務課にいって事情を話して、もっと大きな教室に移動することにした。

・運良く、学内で一番大きな教室があいていたが、そこでもまだ立ち見が出る。いったい何人いるのか、空恐ろしくなった。授業で配るつもりで用意した資料は250 枚しかない。4人掛けの机に2枚ずつといって配布したが、当然、後ろの学生にまでは行き届かない。「来週また配ります」といって、とりあえず、予定した授業内容や成績などについてのオリエンテーションをやった。終わった時には汗びっしょりで、もうぐったり。

・僕にとって、こんな数の学生を相手に講義するのは初めての経験だ。ずいぶん前に関西の大学で400人程度の講義を非常勤でやったことはある。その時どうだったか、などと思いだしても、まるで思い出せないほど昔のことだ。どうしようかと考えても途方に暮れるばかりで、いろいろ考え始めたら、ひどく憂鬱な気持になってしまった。予定したことを大きく変更しなければならない。毎回配る予定の資料をどうするか。そもそも、授業内容は変えなくていいのか。授業中に何度か、講義に関連した小テストをするつもりだったのだが、それはどうするか。第一、試験はどうするのか。その採点に、いったいどのくらいの時間がかかるのか。

・とりあえず、ティーチング・アシスタント(TA)を至急申し込んだ。今年は院生の入学者がすくなくて、TAを希望しても見つからない人が何人もいるようだ。僕のところにいる院生は毎年ひっぱりだこなのだが、幸い、やるつもりのなかったK君にお願いしてやってもらうことにした。結局受講生は650人で、B4一枚の資料を作ると、厚さが10cmほどにもなった。それを授業の始めに配るだけでも10分はかかる。資料の印刷と授業開始時の配布、それに小テストの回収と名簿へのチェック、ついでに良くできた、おもしろい内容のものも抜き取ってもらったりと、大助かりだ。

・講義をして気づいたのは、ざわざわしている教室を静かにして話を始めても、全員の目をこちらに向けつづけさせるのは大変だということ。だから、できるだけ単純でわかりやすい話から始めて、ポイントになるところは、ここは大事だよと言って、何度も繰りかえす必要がある。資料に書くのは話の骨格だけで、学生はメモをとる必要があるのだが、こちらの話に応じて手を動かしている学生は多くはない。だから板書も少しやって、メモすることも促さなければならない。

・しかも、最近の学生に90分間緊張感を持続させること自体が難しい。そこで、ビデオを時折見せて、気分を変えたり、大変だが小テストも何度かやって、聞いていないと書けないという緊張感ももたせることにした。当然、講義内容は、予定の半分ほどに減ることになった。もっと知りたい、考えたい人は教科書や参考書を読むように、とその都度いうつもりだが、さて何割の学生が自主的に勉強するのだろうか。

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2008年05月25日 20:05に投稿されたエントリーのページです。

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