« この国の行き先 | メイン | 久しぶりのロンドンとパリ »

拝啓安倍総理大臣様

・あなたは戦後最悪で最低の総理大臣です。それは未来の歴史的評価を待つまでもなく、明らかなことだと思います。「集団的自衛権」「秘密保護法」「TPP」「消費税増税」「年金の減額」「介護保険制度の改悪」「残業手当の廃止」、そして「憲法の軽視」と、この2年足らずの間にあなたが強行に進めた政策は、どれも、今後の日本の行き先にとって不安の多い、大きな変更を迫るものばかりです。ところが、こういった大きな変更について、正面から正直にではなく、抜け道を探し、国民を欺くことをくりかえしてきています。

・そもそも、これらの政策は、選挙では争点にしなかったものばかりなのですが、あなたは国会において、選挙で選ばれた私には、自分の考える政策を遂行する権利があると豪語しました。その中には、憲法を改正するのも自分の権限だといった「立憲主義」を否定する発言もあったのです。そんな暴走ぶりに対してメディアが正面から批判しないのは、NHKの人事に明らかなように、批判を抑える手立てを労してきているからに他ありません。

・これほど強腰でいられるのは、国会の「ねじれ」が解消して、衆参共に圧倒的な議席をもっているからでしょう。その与党多数の国会がまったく軽視されて、内閣や私的諮問機関の段階で、重要な政策が決まってしまう現状を見せられると、「ねじれ」の効用に改めて気づかされてしまいました。その意味では、あなたはすでに独裁者だということができるでしょう。そんなあなたの最近の言動に接するたびに、僕はジョージ・オーウェルの『1984年』に出てくる独裁者ビッグブラザーの次のスローガンを思い浮かべます。


戦争は平和(War is peace)、自由は奴隷(Freedom is slavery)、無知は力(Ignorance is strength)

・あなたは「集団的自衛権」の根拠として「積極的平和主義」をあげました。平和を実現するためには、それを侵す危険に武力をもって積極的に対処する必要があるという意味ですが、それはまさに「戦争は平和」のスローガンが意味するところです。「集団的自衛権」は具体的にはアメリカがどこかと戦争をはじめて、日本に支援を求めた時に、そこに自衛隊を参加させることができるという権利です。今までは「ヴェトナム戦争」にしても「湾岸戦争」にしても、日本は憲法を理由に参加を断ってきましたし、イラクやアフガニスタン侵攻に際しても、大きな議論の上で、武力行使をしない後方支援として参加してきました。

・あなたは今、このハードルを取り除いて、戦争に参加できる「ふつうの国」にしようとしているのです。しかし、これまでアメリカが行ってきた戦争がどんな結果をもたらしたか、現在のイラクやアフガニスタンの現状などを見てみれば、その多くが愚行であったことは明らかです。しかし、日本はアメリカの属国ですから、アメリカから「集団的自衛権」の行使の要請があれば、他国に介入して侵攻するアメリカの方針そのものを批判したり、要請を拒否することはできないでしょう。

・あなたが法制化した、あるいはしようとしている政策の多くは、国民が当然の権利として持つ「自由」を抑え、行動を検閲し、なおかつ「自由という奴隷状態から解放してやるのだ」とうそぶくたぐいのものばかりです。「秘密保護法」が国民の「知る権利」や「表現の自由」を強く制限することは明らかです。しかも、政治家に任せて、知らない方が、黙っている方が楽なんですといわんばかりの態度ですが、これはまさに「無知は力」そのものでしょう。

・また逆に、「自由」にするのだと言って、逆に国民を縛り、路頭に迷わして奴隷状態にすることをいとわない姿勢も露骨です。一部の者たちばかりが豊かになり、多くの人たちは収入が減って、年金も健康保険も介護保険も頼りないものにさせられてきています。株価高と円安を維持すれば、後は何をやっても政権は安泰だと思っているのでしょうか。

・あなたの政治手法は一言でいえば「欺き」です。その最たるものはオリンピック誘致のためにブラジルまで出かけて公言した「福島第一原発は完全に制御できている」という嘘でしょう。あるいは「集団的自衛権」の根拠として説明した、有事の際に日本人の母子の乗った米軍の軍艦を護衛するといった荒唐無稽な話など、あなたの使う手口には「欺き」が満ちあふれています。

・そんな嘘でいつまでも国民をだまし続けることができると高をくくっているとしたら、あまりに国民を馬鹿にした態度だと言うほかはありません。あなたが今築こうとしているのは明らかに「砂上の楼閣」です。僕は早く大波に崩されたらいいと思いますが、そのために私たちが被る被害の大きさを考えると、空恐ろしい不安や怒りがこみ上げてきます。戦前の日本を取り戻して、もう一度破滅の道を歩くことなどは、断じて許してはいけないことなのです。

About

2014年07月07日 06:42に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「この国の行き先」です。

次の投稿は「久しぶりのロンドンとパリ」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Creative Commons License
このブログは、次のライセンスで保護されています。 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス.
Powered by
Movable Type