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久しぶりのロンドンとパリ

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trip14-1.jpg・ロンドンとパリは6年ぶりです。ロンドンについての第一印象は、にぎやかで街がきれいになったというものでした。オリンピックをやったことが理由だと思います。パリまでユーロスターを使うためにパンクラス駅の近くのホテルに泊まったこともあるかもしれません。週末だったということもあるでしょう。パブやカフェは夕方から客で溢れていて、ずいぶんにぎやかでした。

・今回の旅の目的は、出版予定の『レジャー・スタディーズ』のために、観光地を訪れることと博物館や美術館(どちらも英語ではミュージアム)を見学することにあるので、ロンドンでは大英博物館とチャールズ・ディケンズ博物館に行き、今までは避けてきたロンドン橋やロンドン・タワー、そしてグリニッジ天文台に出かけました。大英博物館は一日では見きれないほどの展示物ですが、ものすごい数の人で、フランス語やイタリア語、そしてドイツ語などが聞こえてくるほど、外国からの客でごった返していました。
trip14-6.JPG・同じような情景はロンドン橋でもありましたし、ディケンズ博物館でも、途中から中国語を話す団体客が押し寄せて、静かだった小さな建物がにぎやかに(うるさく)なって、執筆していたという書斎でディケンズの物語を思い浮かべるという空想が、たちまち壊されてしまいました。

・泊まったホテルからディケンズ博物館、それから大英博物館まで歩き、その後もソーホー地区やカーナビー・ストリートまで足を伸ばして、またホテルまで歩いて帰りました。全部で10km近く歩いたのでずいぶん疲れましたが、途中で休んだ公園や広場には、家族連れの人たちがたくさんいて、ロンドンに住む人たちの日常生活を垣間見た気がしました。特に目立ったのは、子ども連れの父親で、育メンなどということばを使う必要がないほど、当たり前の行動のように感じられました。
trip14-2.jpg ・二日目は地下鉄の一日券を買って、グリニッジ天文台まで行きましたが、グリニッジ駅から天文台までは小高い丘を数キロ登るような道を歩きました。ここはロンドンの東にあって、かつては港湾施設や倉庫などがテムズ川沿いに並ぶ地域でした。しかし再開発が進んで、高層ビルがいくつも建ち並び、大きなショッピングモールができて、丘の上の天文台から見える景色は、ここ数年でずいぶん変わったものになったのだと思いました。

・丘を下ってまた地下鉄に乗り、今度はオリンピックのメイン会場があるストラドフォードに移動しました。駅を降りて驚いたのは、インドやイスラム、それにアジアの人たちが多いことと、ここにも大きなショッピングモールがあって、人で賑わっていたことでした。ロンドンの東地区はかつては労働者の住む地区で、旅行者には近づきにくい場所でしたが、みごとなほどの様変わりでした。もっとも、再開発については多くの反対運動があったのも事実です。
trip14-3.jpg・パリで出かけたのはまずエッフェル塔です。モンパルナス駅近くのホテルでチェックインを済ませた後、塔を目ざして歩きました。浮浪者が多く、しかも老若男女さまざまで、子どもにまでお金をせびられて、ロンドンとはずいぶん違うという印象をまず持ちました。浮浪者の多くが大型の犬を連れているのも、前回にはなかったことでしたが、犬の糞ばかりが目立った道は、今回は割ときれいでした。犬と一緒にいるのは自分の身を守るためなのかな、と思いました。

・エッフェル塔はやっぱりものすごい人で、塔の上に上がるエレベーターはもちろん、歩いて登る階段を待っている人も長蛇の列ができていました。で、上がるのは諦めたのですが、「パリのもっともいい景色はエッフェル塔からのものだ」という皮肉な気分を追認できなかったのは残念でした。観光客が集まるところと全くいないところの落差は、ロンドンだけでなくパリでもはっきり感じられました。

trip14-4.jpg ・パリ二日目は市立美術館とオルセー美術館に出かけました。無料の市立美術館は閑散としていましたが、デュフィやシャガール、それにモジリアーニなど、見応えのある作品がかなりありました。オルセー美術館が所蔵する印象派の絵画は、もちろん、桁外れにすごいものでした。マネ、モネ、ルノアール、ゴッホ、ゴーギャン等々とじっと見ていたい作品がずいぶん多かったのですが、何しろここも人が多くて、立ち止まらずに回遊という感じでした。

・帰りに乗った地下鉄の駅で弦楽奏のパフォーマンスに出会いました。そう言えば、前回と比較して地下鉄でも街中でも、ストリート・パフォーマンスが少なくなったと感じました。
trip14-5.JPG ・三日目はセーヌ川からサン・マルタン運河を遡上する船に乗りました。4.5キロほどで高低差が25mの行程に2時間半もかけるという、何とものんびりしたものでした。閘門ごとに水位を調節するのですが、最初のうちは珍しかったものの、途中からはあきてしまって、「またか」という感じになりました。珍しいと感じたのは道行く人も同様のようで、川岸や橋の上から手を振る人がたくさんいて、そのたびに、こちらも手を振りましたが、それもやっぱり途中から面倒くさくなってしまいました。

・夜はパリで働いている友だちの娘さん達と食事をしました。二人ともがんばっているし、楽しんでいるというのが印象的で、内向き志向で空気ばかり読んでいる最近の大学生とは対照的だと思いました。旅はこれからボルドー、バイヨンヌ、そしてスペインとまだまだ続きます。

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2014年08月04日 05:06に投稿されたエントリーのページです。

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