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無責任体制の極み

・猛暑の中、今年も8月15日が来た。戦後70年、この国はずっと敗戦ではなく終戦と言い続けてきた。負けたのなら誰かがその責任を取らなければならないが、終わったのなら、それは誰の責任でもない。そして今年の夏は、この無責任体制が戦後70年で一番突出したと言える。安倍政権は世論の大反対にもかかわらず、暴走、迷走を続けているが、その姿勢自体もまた無責任そのままである。何を言うのかずっと話題になってきた「談話」にも、主語のない、曖昧な表現ばかりが目立った。

・11日に川内原発が再稼働された。反対の世論が多数を占める中での強行である。6日の広島、8日の長崎の式典の直後であり、11日は福島の月命日だった。無責任の上に無神経な行為と言わざるを得ない。福島の状況は未だにアンダーコントロールどころではないし、避難した人たちの多くの生活も、もと通りになることはない。そもそも地震や火山の噴火がこれほどに多い国に、原発など作ってはいけなかったのに、政権や電力会社にはそんな反省は微塵もない。桜島が噴火しそうなのが、自然が下す鉄槌のように思われてしまう。

・検察審査会が勝俣元会長ほかをやっと強制起訴した。事故責任をはっきりさせるような裁判がおこなわれることを願うばかりである。裁判では福井地裁で高浜原発再稼働の差し止め命令も出た。再稼働の可否を判断する新しい規制基準自体が「緩やかすぎて合理性を欠く」ものだとして原発政策を根本から見直すよう求めた内容だった。安倍首相はその判決など無視して、川内原発について、世界で最も厳しい新規制基準をクリアしたなどとうそぶいている。

・安保法制の衆議院における強行採決もまた、世論の大反対、政権支持率の急降下、そして大学生や高校生などが自発的に始めたデモを無視してのものである。さらに理解してもらうよう努力すると言っているが、理解したからこそ反対の声が強くなってきているのである。この戦争法案は、一説では安倍が祖父岸信介の意志を継いで実現しようとするものだと言われている。しかしまた、2012年にアメリカの「安全保障研究グループ」が公表した「第三次アーミテージ・ナイ・レポート」の内容そのものだと指摘する人もいる。

・アメリカに言われるままだからこそ、国会での論議と承認前にアメリカに行って、法案を約束したのだろうか。その安倍は、「ウィキリークス」が公表した「米国安全保障局」(NSA)が日本の内閣、日銀ほか大企業の電話を盗聴していた事実について、真意を尋ねることをしただけで抗議をまったくしなかった。そんなアメポチの隷属姿勢を、中国や韓国、そして北朝鮮に対する喧嘩腰と対照させると、日本や国民を守るためなどという説明が嘘っぱちであることがよくわかるだろう。

・無責任な言動はほかにもたくさんある。新国立競技場を巡る顛末はうんざりするほどだが、ここでも責任の所在がはっきりしない。オリンピックのエンブレムの盗作騒ぎも相まって、「もうやめたら」と言いたくなってしまうが、実際、オリンピックの後に大不況に陥って、そのまま日本没落なんてことを言う人もいる。実態のないアベノミクスと、それを支えるために年金を株価の操作に注入している日銀の行動は不安感を募らせるだけだし、ソニー、パナソニック、そして東芝といった日本を代表する企業の不振や不祥事なども続いている。で、そこでも、責任の所在はうやむやだ。

・戦争法案は参議院で論戦が続いている。武器は運べないが弾薬は運べる。だから核兵器や劣化ウラン弾なども運ぶことができる。こんなとんでもない議論があり、また法案の成立前なのに、防衛省では法律を前提にした計画を作成しているといった資料が暴露されている。もうめちゃくちゃだが、それでもこの法案を成立させるつもりなのだろうか。成立を阻止して安倍政権を倒す。無責任体制には一人一人の責任ある批判の声が力を持つ。「私」という一人称で、はっきり発言をすることが大事だ。

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2015年08月17日 06:10に投稿されたエントリーのページです。

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