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おかしな世の中ですね

・機密だったパナマ文書が漏らされ、「タックス・ヘイブン」(租税回避地)を利用して資産隠しをしていた著名な政治家や大企業等々の名が明らかにされました。合法な行為とは言え、本来ならば収めなければならない税負担を軽減させるためにできている制度ですから、倫理的な意味では非難されて当然だと言えるでしょう。何しろ今の世界は、わずか67人の大富豪が所有する資産が、世界人口の下半分の36億人分と同じだというのですから。

・だからこそ、アメリカの大統領選挙で無名だったサンダースが多くの支持を得ているのですし、トランプ人気も不満の憂さ晴らしが理由だといわれています。EUでも不公正を非難して大規模なデモが繰り返されています。このような富の偏在といった状況は日本でも同様で、「一億総中流」と言われた社会は,もうとっくに崩れています。斜陽の国なのに富める者がますます金持ちになる。日本にもサンダースが現れてほしいのですが、出るのはトンデモ政治家の不祥事ばかりです。

・斜陽の国日本の中で東京だけが財政的には豊かなようです。知事の公私混同は目に余りますし,そのせこさはうんざりするばかりですが、マスコミの桝添たたきにも違和感を覚えます。石原元知事はもっとひどかったのに,なぜ騒がなかったのでしょうか?甘利はどうしたの?安倍首相の外遊を無駄遣いとして問題にしないのはなぜ?そもそも自民党議員の相次いだ不祥事はどうなってしまったの?自民党を叩くと「中立公正」を欠くと批判されると自粛をしているとしか思えないのですが、どうでしょうか。

・伊勢志摩サミットの際にオバマ米大統領が広島を訪れることが決定しました。ただし原爆投下について謝罪はしないし、被爆者とも会わないようです。核廃絶のメッセージもしないでしょう。アメリカが主張しているのは核の不拡散であって廃絶ではないからです。アメリカの大統領が広島に来る。意味はそこにしかないのですが、安倍首相は「歴史的な出来事」として大騒ぎをして、参議院選挙で圧勝するシナリオを作ろうとしています。ついでに衆議院選挙もと思っているのかもしれません。そうなると改憲が現実味を帯びてきます。

・メディアの報道の自由度ランキングで、日本はさらに落ちて72位になりました。また国連による「表現の自由」についても訪日調査が行われました。政府によるメディアへの圧力が,海外から危惧されているのは明らかですが、そのことをメディア自体が問題にしないのはどうしてでしょうか。聞き取り調査をしたデビッド・ケイ(カリフォルニア大学教授)は、停波発言をした高市総務相が聞き取りに応じなかったことを遺憾としましたが、日本のメディアの問題として,閉鎖的な記者クラブの存在や放送法自体を問題視しました。

・政府の圧力に逆らえないのは大手新聞社やテレビ局が持つ既得権を手放したくないからだという指摘は新しいものではないですが、「外国特派員協会」主催で行われたケイの会見は,新聞もテレビもほとんど無視を決めこみました。メディアの危機はまさに自業自得というほかありません。

・もっとおかしいのはオリンピックです。「おもてなし」ではなく「表なしの裏ばかり」。アンダーコントロールの大嘘からはじまって、国立競技場の設計やり直し、エンブレムの選び直し、そして今度は賄賂です。電通が関与しているというニュースは、海外からは聞こえてきても,日本のマスコミはまったく触れません。予算も増えるばかりで、開催しても,その後には大不況が待っていると指摘する人もいます。ここまでけちがついたら返上した方がいいと思います。

・おかしな世の中になったものだとつくづく思います。しかも、おかしいことをおかしいと言うのがはばかられるような風潮が蔓延しています。安保法制を国会で違憲と断罪した小林節が「国民の怒りの声」という政治団体を作って参院選に立候補すると宣言しました。参議院選の野党共闘が進まないことに業を煮やしての行動のようです。さて、日本のサンダースになりうるのかどうか。

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2016年05月16日 08:24に投稿されたエントリーのページです。

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