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オリンピックはやっぱりやめましょう

・猛暑の中で行わなければならないオリンピックのために、2年限定でサマータイムを導入しようといった計画が出ています。2時間早起きしたって焼け石に水だと思いますから、策を講じたことを示したいだけなのではと勘ぐりたくなります。そのために変えなければならない事柄を考えると、たかがオリンピックのために、何を考えているのでしょうか。オリンピックが終わったらまた元に戻すというのですから、ご都合主義もいい加減にしろと言いたくなります。10月にとは言わないまでも、酷暑を理由に1ヶ月ずらして欲しいとIOCに言えばいいだけの話だと思うのですが、政権には、そんな気はまったくなさそうです。東京の夏は温暖で過ごしやすいなんて嘘をついたから、今さら言いだせないのでしょうか。

・大会中のボランティアについても、おかしな提案がいくつも出されています。ボランティアとは自発的にすることであって、ただで働くことを意味しないのですが、無給であるだけでなく、食事も交通費も宿泊費も自腹でというのですから、必要な人数を確保するのが難しいのは、わかりきったことでした。ところが文科省は大学や専門学校の学生の参加を促すために、授業や試験日程の繰り上げや祝日授業の実施を言い出しています。5月のゴールデンウィークに授業をやるなどと、いち早く対応した大学も出始めました。これでは参加を強制するようなものですから、「ボランティア」といったことばは使えないことになります。

・大学の授業は文科省の強い指導で年間30回を必ずやらなければならなくなりました。さまざまな理由で休講をすることが当たり前に認められていたのですが、今では休講したら必ず補講をすることが義務づけられています。ところがオリンピックに限っては、授業回数に読みかえても良いなどと言い出すのですから、開いた口がふさがらない話だと思いました。その文科省は入試疑惑や受託収賄容疑などが次々問題になって批判の的になっています。ひどい所だと思いますが、他方で森加計問題でリークが相次いだことに対する政権の報復だといった指摘も出されています。

・テレビのニュースは連日トップニュースで、命に関わる危険な暑さだと警鐘を鳴らしています。日中にスポーツなどもってのほかだと思いますが、高校野球では相変わらず熱戦、熱闘、そして感動などといって煽っています。視聴率や部数を気にしてのことだと思いますが、オリンピックも甲子園も、新聞やテレビはほとんど暑さを問題にしていません。メディアの多くはオリンピックを協賛する立場にいますから、開催を危惧するような問題提起は出来ないのでしょう。

olympic4.jpg・中でも、オリンピックに一番関わっているのは電通だと言われています。『電通巨大利権』(サイゾー)の著者である本間龍によれば、「招致活動からロゴの選定、スポンサーの獲得、放映中のテレビ・ラジオのCM等の広告宣伝活動、全国で開催される五輪関係行事、五輪本番での管理・進行・演出等、文字通り全部に電通が1社独占で介在」しているのです。招致活動における嘘の指南(福島原発はアンダーコントロールや東京の夏は温暖)やIOC委員への賄賂疑惑、ロゴ選定のいかがわしさや盗作問題、スポンサーの獲得(4000億円と言われているが詳細は非公開)、そして10万人のただ働きに文科省に圧力等々、この会社がオリンピックについてやってきたことには、うさんくさいことが多すぎるのです。

・電通は安倍首相や政権の演出にも深くかかわっていて、憲法改悪の国民投票が現実化する際にも、テレビや新聞等でのキャンペーン活動を任されていると聞いています。金に糸目をつけずに嘘八百のテレビCMを流されたら、投票が賛成多数になる危険性は十分にあるのです。広告料はメディアにとってのどから手が出るほど欲しいものですから、中身がどうであろうと、平気で垂れ流すことでしょう。

・オリンピックはすでにスポーツの祭典などではありません。巨額な金が動く巨大イベントで、「オリンピック憲章」に書かれていることとは似ても似つかないものに変質しています。政権は招致理由に経済効果を上げましたが、無理がたたって、開催後には経済不況がやってくると指摘する経済学者も少なくありません。オリンピックを間近に見たいなどといったナイーブな発想で期待していると、猛暑以上に恐ろしいことがやってくるかもしれません。今からでも、やっぱりやめましょう、といった声を上げる必要があると思います。大会を返上した場合の違約金は1000億円だそうです。高いと思われるかも知れませんが、役に立つかどうかわからない「イージス・アショア」1基にも満たないのです。


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2018年08月13日 05:54に投稿されたエントリーのページです。

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