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大谷翔平選手に

・大谷翔平選手の今シーズンは5月中旬に復帰して、9月中旬に終わるというものでした。成績は打率.286、18本塁打、62打点、12盗塁。悪くはないですが、少し物足りなさを感じました。何しろぼくにとって彼の出現は、野茂英雄以来に興奮する出来事で、去年も今年も彼の出場する試合のほとんどを見てきたのです。きっかけは何といっても去年のアニメマンガを思わせるような華々しい活躍でした。肘の靱帯損傷で投手としては不満足なシーズンでしたが、「ビッグ・フライ・オオタニサン!」とアナウンサーが叫ぶホームランは圧巻でした。今年は打者に専念するということで、その登場を首を長くして待っていたのです。

・今年はぜひ、彼の打つ姿を生で見たい。そう思ってアメリカ旅行を計画して、シアトルで試合を見ることができました。残念ながらホームランは出ず、エラーばかりで3度出塁という結果でしたが、準備運動をするところからじっくり見た満足できる経験でした。そして彼はこの後、6月だけで9本ものホームランを打って、この調子では30本以上打てるのではと思わせる活躍をしたのです。

・ところが、オールスター明けからさっぱりホームランが打てなくなって、7月は3本、8月1本、そして9月が2本という尻すぼみの結果になってしまいました。打球に角度がつかないとか、データを読まれて弱点を突かれているとかいろいろ解説されましたが、9月中旬に突然、左膝の二分膝蓋(しつがい)骨の手術で今シーズンは終わりというニュースが流れて、体調が万全ではなかったことを知らされました。ホームランが出ないことに、「しっかりしろよ」などとぶつぶつ言いながら見ていた自分を反省するニュースでした。

・故障カ所は先天的なもので、スポーツ選手が過剰な負担をかけると痛みが出るというもののようです。2月のキャンプから自覚していたと報道されましたが、日ハムの栗山監督によれば、以前から出ていた症状だったようです。すでに手術は終わっていて、投手としても打者としても来年はキャンプから普通に練習できるということです。そうなると二刀流での大活躍を期待したくなるのですが、彼は日ハム時代から毎年のように負傷をしていて、シーズン通して出場できた年はなかったようですから、投打に渡る華々しい活躍を期待するのはよくないなと思うようになりました。

・彼は投手として160kmを越える速球を投げるところが一番の魅力です。しかし、メジャーリーグでは速球投手の多くが、今年も靱帯の負傷でトミー・ジョン手術をしています。靱帯は鍛えることができない部分ですから、速球が負担になるわけですから、何キロ出たと言って大騒ぎするのはよくないことだなとつくづく思い知らされました。同じことはホームランについても言えます。フライボール革命で、打者は大振りしてボールを高く打ち上げることに精出しています。自打球で足の骨を折る選手も増えているようです。

・ホームランは派手ですが、犠打の少ないメジャーの試合がさらに大味なものに感じられるようになりました。イチローの活躍で、一時スモール・ベースボールがはやりましたが、今はとにかくホームランということになっています、一方で、大振りすれば空振りにもなるわけで、三振の数も増えています。そんな傾向は、見ていてつまらない試合を増やしていると思います。出塁すれば次の打者は決まってバントといった高校野球や日本のプロ野球もあまりに型どおりですが、もう少し多様な戦術があってもいいように思います。

・ところでエンジェルスは今年も5割に充たない成績でした。エース格のスキャッグスが薬物摂取が理由で急死しましたし、補強した選手がことごとく不調だったこと、マイナーから上がった選手が期待通りに成長しなかったことなど、原因はいくつもありました。おかしな投手交代をする監督や、補強策に失敗したGMの責任などを並べると、エンジェルスを強いチームにするためには、しなければならないことがたくさんあると思います。タラウトと大谷二人だけでは来年もまた、厳しいシーズンになるでしょう。

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2019年09月23日 05:52に投稿されたエントリーのページです。

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