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最後まで嘘の安倍政権

・安倍首相がとうとう辞めた。日本がどんどんひどくなる、そう思い続けた8年だった。彼の政治手法は「やってる感」の演出と、「嘘」と「隠蔽」だったが、辞めた理由も「嘘」だったようだ。本人は潰瘍性大腸炎の再発と説明したが、検査をした慶応大学病院の診断書は公表されていないし、担当医師の記者会見もなかった。もっと軽いストレス性胃腸炎だったというニュースもある。病院に診察に行くための車列がテレビで報道されたが、これは事前に情報が流されたからだろう。重大事であるかのような印象操作は、今まで彼がやってきたメディアの使い方でおなじみのものだった。

・安倍が辞任を発表すると、自民党の長老たちが後継を菅にしようと動き出した。秋田の農家の生まれで、上京して苦学して政治家になったという経歴がテレビで繰り返し流されて、次の首相に誰がいいかというアンケートで菅がトップになった。それまではほとんど名前が挙がってこなかったのにである。驚いたことに、世論調査では、安倍政権を評価する人が7割にもなり、政権支持率が倍増して6割になった。病気を抱えてご苦労様といった気持ちからなのかもしれないが、政権とメディアによる情報操作にまんまと騙されたとしか言いようがない結果である。

・総裁選挙に出ている石破茂は所信表明演説で「権力とメディアが癒着したら国は滅びる。」と言った。今回の動きを捉えての発言だと思う。自民党の動きは何より、石破だけは総理にさせたくないという安倍の意向に沿った結果である。何しろ石破は、自分が首相になったら「森友」も「加計」も「桜を見る会」も再調査をすると公言しているのである。せっかく手なづけた検察が動いて、投獄でもされたらたまらない。こんな恐れからの行動だと言われても仕方がないのである。

・安倍の恩師である成蹊大学名誉教授の加藤節が「AERA」でのインタビュー記事で安倍批判をしている。彼は、立憲主義を否定して閣議決定だけで解釈改憲をおこなったこと、それを可能にするために内閣法制局長官の首をすげ替えたこと、司法や検察の人事に介入して三権分立の破壊を招いたこと、政権全体に無責任体制を敷衍させ、何があっても責任をとらなかったことなどをあげ、そのようにして長期政権を可能にさせた結果、現在の政治状況が’病理現象化してしまったのだと指摘している。

・また学生時代の安倍を記憶していないと前置きした上で、政治家としての彼の行動をチャイルディッシュだと言っている。国会での品のないヤジ、他者批判を自己に向けられない狭量さ、気に入った側近の重用、そして勉強不足などだが、それは彼だけでなく、2世、3世議員に共通した特徴でもある。漢字の読み間違えも数知れずだが、政治家であるなら、もう一回初心に帰って丸山真男の本を読みなさいと言っていることには、思わず噴き出し、大いに共感した。

・政権や自民党の支持率が跳ね上がったことで、菅政権誕生直後に衆議院を解散させるという動きが出てきたようだ。嘘や隠蔽で作り上げた印象や情報操作は、すぐに化けの皮が剥がれかねない。だから、次々に新手を編み出して、都合の悪いことから目を背けさせて忘れさせる。菅は自らの政権を安倍の継承で行くといっている。同じ手法を使って選挙に勝てば、ワンポイントではなく長期の目も見えてくる。首相就任と同時に解散が真実味を帯びる所以である。あるいは、やっぱりワンポイントで安倍の再登板なんて話も聞こえてきた。空恐ろしい話だが、まんざらうがった見方ではないだろう。

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2020年09月14日 06:47に投稿されたエントリーのページです。

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