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ヤング、クラプトン、そしてブラウン

Neil Young "A Letter Home"
Eric Clapton "The Breeze (An Appreciation Of JJ Cale)"
"Looking Into You, A Tribute to Jackson Browne"

・ニール・ヤングのCDは復刻版や古いコンサートの掘り起こしだけでなく、新作も出され続けている。mpg3の音質の悪さに文句をつけたりと、音楽活動には積極的だが、最近、長年連れ添ったペギー・ヤングと離婚したというニュースも耳にした。彼女はヤングのバック・コーラスをつとめてきたし、障害児の学校「ブリッジ・スクール」を設立して、その運営資金集めに夫婦そろって活動してきていた。だから、これからどうなるのか、ちょっと心配になってしまった。

aletterhome.jpg・その彼が今年出した"A Letter Home"は全曲がカバー曲で、ボブ・ディラン「北国の少女」、ブルース・スプリングスティーン「マイ・ホームタウン」、フィル・オークス「チェンジズ」、ウィリー・ネルソン「クレイジー」「オン・ザ・ロード・アゲイン」、ゴードン・ライトフット「朝の雨」、バート・ヤンシュ「死の針」など、フォークやカントリーの古典とも呼べる歌が収録されている。
・音質にこだわるヤングがこのアルバムで試みているのは、ギターとハモニカだけで、スタジオというよりは普通の部屋でマイク一本で録音したものをデジタル化せずにレコードにするということらしい。もちろん僕はそれをCDで聴いているのだが、確かに何も足さないし引きもしない音で、目の前でマイクも使わずに唄っているような気になった。彼にはクレイジーホースを率いて大音響を響かせる一面もあるが、僕はやっぱり、一人だけでギターをつま弾きながら唄うヤングが好きだ。

thebreeze.jpg ・エリック・クラプトンの"The Breeze"は昨年なくなったJ.J.ケイルの追悼アルバムで、彼の他にマーク・ノップラー、ウィリー・ネルソン、トム・ペティ、ジョン・メイヤーなどが参加している。全曲ケイルの作品だが、ネットで調べると、カバーというよりはオリジナルを忠実に再現するようにというクラプトンの注文があったようだ。ちなみにアルバムに描かれたケイルの肖像画はクラプトンのアルバムジャケット(「ピルグリム」)を手がけた漫画家の貞本義行の作である。
・J.J.ケイルは地味なミュージシャンだが、彼の曲は多くの人にカバーされていて、クラプトンも「アフター・ミッドナイト」や「コケイン」をヒットさせている。で、二人で作ったアルバム"The Road to Escondido"もある。タイトルにあるエスコンディドはサンディエゴ近くのケイルの家の地名で、クラプトン自身もここにマンションを所有していたことがあったようだ。2008年に出されたこのアルバムは、その年のグラミーでブルースアルバム賞をもらっている。

lookingintoyou.jpg ・もう一枚はジャクソン・ブラウンの曲を集めたトリビュートで、J.D.サウザーやドン・ヘンリーといった近しい人の他にスプリングスティーンなども参加している。CD2枚組で23曲が収録され、どれもがおなじみの曲だが、ブラウン自身が歌うものより印象が薄いと感じてしまった。ディランほどにはあくが強くないのに、やっぱり彼の作品は彼の声や歌い方でなければだめなのかもしれない。もっとも、ニール・ヤングは前記したアルバムはもちろん、他の人の歌でも自分の世界にしてしまう。その好例は9.11直後にテレビで唄ったジョン・レノンの「イマジン」だった。
・最近では、まだ現役で活動している人のトリビュートも珍しくなくなった。影響を受けた人、親交のある人の作品をカバーする、カバーしあうことが流行っているのかもしれない。それだけ、歳とったミュージシャンが増えたということだろうか。

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2014年09月08日 16:51に投稿されたエントリーのページです。

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