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高速料金の迷走

・高速料金が変わるのか、変わらないのか、民主党の方針が揺れている。無料化を目指すと言いながら、今度の改定では実質値上げになる場合があって、そのことに異論を唱える議員が民主党内にも数多くいたからだ。

・高速道路が有料なのは、建設費用を利用者に負担させるためで、徴収し終われば、その道路は無料になる。その原則は、高速道路の建設が始まったときからできていたのだが、自民党は新たな道路建設に回すためにと料金を徴収し続けてきた。民主党は高速道路の新たな建設はしないことを原則にして、高速道路の無料化を、党の方針として打ち出してマニフェストに盛り込んだのだが、その原則が揺らいでいるのである。

・僕は通勤に高速道路を利用している。だから無料になれば大助かりなのだが、そうなればいいとは必ずしも思わない。混んで渋滞してしまったのでは、時間の予測がたたなくなってしまうからだ。とは言え、通常の料金のあまりの高さには、ずっと不満を持ちつづけてきたから、小泉政権の時に導入された通勤時間帯の割引には大いに賛成をした。

・たとえば、中央高速の河口湖インターから国立・府中インターまでは2500円の料金を取られる。しかし、通勤時間帯(朝は6時から9時、夕方は5時から8時)に利用すれば、八王子以西は半額になるから、1550円になる。往復利用だと5000円が3100円になって1900円の負担減だから、通勤にかかる費用はずいぶん軽減された。さらに、八王子〜国立・府中間の利用をやめればもう600円減になるから、往復では1900円ですむことになる。一時的にガソリンが急騰したとき以降、20分ほど余計にかかるのを我慢して、八王子から大学までは下道を通ることが多くなった。また、ETC利用者にはポイントにより割り引きもある。

・国交省が打ち出した新制度は普通車の上限を全日2000円にするというものだが、通勤や深夜といった割引やポイント制度が廃止されるから、大都市近郊で短区間を利用する人には、かなりの値上げになってしまう。僕の場合で言えば河口湖〜八王子は1900円になり、別料金の八王子〜国立・府中間をあわせた2500円をまた払わなければならないことになって、以前の高額な状態にもどってしまうのである。もっとも、河口湖〜大月間は実験的に無料化されるからその分は安くなって600円の割引になるから、片道で350円、往復だと700円の値上げということになる。

・高速道路料金についての民主党の迷走は、新たな高速道路建設の費用を捻出する必要が生じて、それを無料化の原則のなかに無理矢理押し込もうとしたところに原因がある。しかし、新たな道路が必要かどうかといった問題、平日の上限をなぜ、2000円にするのかといった疑問など、よくわからないことがあまりにも多い改定だと言わざるを得ない。長年利用してきた者の感覚からすれば、全日、すべての車種で料金を半額にして、深夜や早朝の割引やポイント制度を残すのが、一番無理のない、不満も少ないやり方なのではないだろうかという気がする。

・先日はじめて、土日を利用して京都まで車を走らせてきた。本来なら1万円ほどする片道料金が1000円で済むからずいぶん得した気分にはなったが、それが好ましい料金だとは感じなかった。これだとガソリン代をあわせても新幹線の料金よりも安いから、複数で乗れば断然安くなって、あちこち走り回って得した気分を味わいたくなってしまう。エネルギーの無駄な消費を奨励する政策だと言われても仕方がないものだろう。

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2010年05月24日 06:31に投稿されたエントリーのページです。

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