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薄汚い政権の末路

・一ヶ月前のこの欄で「政権が倒れない不思議」を書いた。倒れるのも時間の問題と思っていたのだが、未だに安倍政権が続いている。森友問題で、ないといっていた公文書が朝日新聞によって明らかにされたのが三月の初めで、その追求が収まらないうちに加計問題でも、ないはずの公文書が愛媛県から出た。岡山理大が獣医学部を今治市に新設するのに、愛媛県と今治市の職員が官邸に呼ばれて、事前のアドバイスを受けたという件である。しかし、農水省や文科省でも証拠が見つかったというのに、官邸は未だに、その事実を認めていない。

・森友問題は国有地をほとんど無償で売却したのではという疑念である。ありもしないゴミをあるように見せかけて、その分を減額したのだが、そんな事をやった理由は、籠池夫妻が首相と夫人に強い繋がりがあったからである。首相がしらを切って、事実なら首相も議員も辞めると言ったから、官僚たちは、そのつじつまを合わせるために奔走し、嘘で塗り固めざるをえなくなったのである。その過程で自殺者が出たというのに、首相は知らぬ存ぜぬを貫いている。

・一方の加計問題も、本質は一緒だ。首相と加計氏が親しい関係にあって、首相の権限を使って大学の新設を認可しようとした。ここでも国費はもちろん、県や市のお金がつぎ込まれている。そして官僚たちが、そのインチキを隠蔽しようと右往左往したのである。もちろん、二つの事例について、首相の指図や意向がどの程度あったのかについて、確たる証拠はない。しかし、なぜという動機を考えた時に、その中心に首相がいた事は、火を見るよりも明らかである。

・国会中継を見ていて腹が立ち、また信じられない気がしたのは、自分が関与しているという確たる証拠がないをくりかえして、時に麻生財務大臣と薄笑いを浮かべて雑談する安倍首相の態度である。これほどの不祥事があって、すでに一年以上も国会が紛糾しているのに、首相や大臣としての責任を取ることをしない。その無責任さは、救いがたいほどである。政治家としての矜持がないどころか、平然と嘘をついて、周囲が慌てふためいているのに平気な顔というのには、その人間性を疑ってしまう。

・こんな政権に対して、与党からは辞任を求める声が出てこない。官僚からも公然と反旗を翻す人は出ていない。しかし、ないはずの文書が次々と出てくるのは、各省で政権に不満を持ち、状況を変えようとする人たちが出始めているからだろう。そのことは、何より防衛省で明らかである。日本の官僚組織が根底から揺らぎ始めている。そんな危機意識を持っている人は少なくないはずだし、そうでなければ、国家の組織自体が破綻しかねない事態なのである。

・ところが、財務省の次官がテレビ局の女性記者に食事の席で「手を縛っていい、胸触っていい」といって口説いたことが週刊誌で暴露されて辞任した。しかもその対応がひどくて、かえって問題を大きくさせてしまっている。セクハラについて、大きな問題として取りあげないことや、その被害者への対応がまた新たなハラスメントになりかねないことなどが、伊藤詩織さんのケースで明らかになった。"#me too!"が世界中で、男たちの横暴さを告発しているが、日本では、そのことにあまりに鈍感すぎる。そんな風潮の好例だった。そもそも、財務省が危機的状況にあるのに、そのトップが、取材する記者相手にこんな戯れ言をやっていることに、強い不信感をもってしまう。

・そんな状況にあるのに、安倍首相はトランプ米大統領と会うために夫人連れでアメリカに行った。トランプとはゴルフをやりながらの会談だったようだが、彼にとって支持率を挽回する材料は、何も手にすることが出来なかったようである。トランプもまた不祥事やスキャンダルまみれで、批判に曝されているが、彼の支持率は30%からなかなか下がらない。岩盤のように固い支持者がいるからだと言われている。

・安部はどうか。いっこうに下がらなかった支持率が30%を切り始めた。こんな薄汚い政権を未だに支持する人が3割もいることに驚くが、さすがに岩盤の支持層に割れ目が生まれてきた。この政権は一体何時まで続くのか。自民党総裁の任期までとか、国会が終わった時とか言われている。冗談じゃない。即刻止めさせるべきだ。しかし、そんな怒りが国中に湧き起こらないのが、また何とも不思議だし,心許ない。

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2018年04月23日 07:16に投稿されたエントリーのページです。

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