« 母の日記 | メイン | 寄る年波 »

スポーツにまつわる不可解なこと

nitidai.jpg・日大アメフト部の騒ぎは森友・加計問題とそっくりだ。なのに日大ばかりが攻められている。しらを切り続ける安倍首相には、メディアは相変わらず遠慮をしているのに、日大には手厳しい。権力を持っている者が、恋々として地位にしがみついている。下の者はことの善し悪しを判断せず、唯々諾々とそれにしたがうのみ。両者は双子のように酷似している。ただ違うのは、タックルした学生の潔い会見だ。安部に仕える政治家や官僚からは、自己の良心に従って発言する者などは、出そうにない。アメフトの関東学連という第三者機関が監督やコーチを裁いたことも、森友問題を不起訴にした検察とは大違いだ。もちろん、メディアの弱い者いじめもいい加減にしろと言いたくなる。とは言え、日大が、学長よりは理事長が実権を握っていて、教員よりは職員や体育会の方が力が強いことを、改めて知らされた。こんな大学に勤めなくて良かったとつくづく思う。

honda1.jpg・スポーツにまつわるおかしな出来事は、ほかにもいくつもある。もうすぐサッカーのワールド・カップが始まるが、監督のハリル・ホジッチが更迭された。その理由は最近の敗戦ではなく、代表選手との間でコミュニケーション不足があったというものだった。選手の中には疑義を呈する者もいて、一体、誰との間にコミュニケーションが不足していたのかはっきりしないままの解任だった。監督批判をサッカー協会に直訴したのは、代表から外されがちだったベテランだったともいわれている。あるいは有名選手を外したのでは、代表試合の中継の視聴率が下がってしまうといった、メディアやスポンサーの圧力なども聞こえてきた。なるほど、名のあるベテランがそろって代表に選ばれて、成長著しい若手が外された。ブラジルでさんざんだったビッグ3だか4に今度もまた頼るのだから、これでは興ざめで、応援する気にもなれない。

ichiro1.jpg・イチロー選手が選手登録から外れて、今年はプレイできなくなった。ただし解雇ではなく生涯契約をして、来年以降は選手登録が出来るという。今年もチームに帯同して、練習には参加してロッカーも持てるが、ベンチには入れないようだ。イチローはこの契約に感謝しているが、今ひとつよくわからない。事実上の引退で、来年開幕戦を日本でやるから、その時の目玉にするつもりだとも言われている。レギュラーが故障してキャンプ中に契約したけれども、その選手が戻ってきて空きがなくなった。とは言っても、即解雇は出来ないから、それらしく格好だけつけた。そんなものではないかと思う。五十歳まで現役でという希望はどこにいったのだろうか。

iniesta.jpg・ヴィッセル神戸がバルセロナのイニエスタを獲得した。「すごい、楽しみだ」という声がメディアには溢れている。しかしこれもしっくりこない。年俸が32億円だというが、これは神戸の全選手の年俸を上回っている。しかも彼のバルセロナでの年俸は10億円だったというから、破格というほかはない。さらに、イニエスタはゲームメーカーであってストライカーではない。味方の選手を使って点を取らせることには秀でているが、それに対応できるメッシやスアレスのような選手が神戸にいるわけではない。宝の持ち腐れがいいところだろう。もっとも神戸の親会社は楽天だから、広告費と思えば高くないのかもしれない。何しろ楽天はバルセロナのユニフォームに「RAKUTEN」とつけるのに四年間で260億円も払っているのである。

tochinosin.jpg・最後は大相撲。貴乃花問題でうんざりするほどメディアを賑わしていたのに、弟子の暴力事件が発覚した途端に沈静化してしまった。横綱の引退まで引き起こしながら、あれは一体何だったのかと思う。土俵に女を上がらせないといった態度についても、その説明には釈然としないものがある。日本の国技、伝統、あるいは神事だからなどといった理由をあげるが、相撲は本来興業であって、見世物に近いものだった。スポーツとして近代化させるために、国や神や伝統を借りたのだから、今度は男女同権や性差をなくすという現代的な流れに対応するのが賢明だろうと思う。こんな不祥事が続いて、僕は大相撲を見なくなった。ただし前から好きだった栃ノ心が急に力をつけて大関になった。その一番だけはネットでチェックしている。

ohtani1.jpg・こんな不祥事や不可解な事が続発する昨今のスポーツだが、それだけに余計に大谷選手の活躍と彼の野球に対する姿勢が救いになる。開幕時の華やかな活躍に比べると落ちついてきているが、その実力は見ていても頼もしく思う。ニューヨークでは激しいブーイングを受け、さっぱり打てなかったし、登板も回避したが、メッキがはげたわけではないし、大事に使われていることが改めてわかった。浮かれたメディアに惑わされることなく、充実したシーズンを過ごして欲しいと思う。何しろ分業が当たり前になったメジャー・リーグに登場した、投げて、撃って、走れるオール・ラウンドでツー・ウェイのプレイヤーなのだから。

About

2018年06月04日 06:41に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「母の日記」です。

次の投稿は「寄る年波」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Creative Commons License
このブログは、次のライセンスで保護されています。 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス.
Powered by
Movable Type