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夏は来なかった

forest27-1.jpeg・八月もあと一週間でおしまいというときになってやっと暑さが訪れた。僕は暑さは大の苦手だが、それでも今年のように肌寒いほどの日が続くと、夏はもっと暑くなければと、ちょっと寂しさも感じていた。もっとも、天気が悪いあいだの気温は東京とほとんど一緒だったから、例年にない冷夏を実感したのは東京に住む人たちだったのかもしれない。
・今年の河口湖の8月の気温は最高が25度程度で、最低は15〜6度。過ごしやすい気温だが、雨ばかりでじめじめしているから、けっして快適ではなかった。それがここ数日、青空が見えはじめて、気温も30度前後にまで上がるようになった。静かにしていてもじっとりと汗をかく。長年京都に住んできたから、そんな感じにならないと夏になった気がしない。

forest27-2.jpeg・子どもが来たから尾花沢産の大きなスイカを買った。播州の素麺も食べた。珈琲も冷やして飲んだ。急いでやらないと夏はまたすぐに逃げていってしまう。そんな感じで、貴重な暑さを味わった。もっとも、去年は堪能した桃が今年はおいしくない。甘くないし、置いておくと熟さずに腐り始めてしまう。雨ばかりで気温が上がらないのだから、無理もないと思うが、生産者にとっては死活問題だろう。そういえば、近くの田んぼは稲穂をつけはじめているが、背丈が低いし、米がつまっていそうもない。
・最近になってニュースが、今年の冷夏が外米を食べた年以来であることに注目して、不作を問題にしはじめている。しかし、今年の天気の不順さは春先からのもので、植木屋さんなどはこんな事はなかったとその時から言っていた。前回のこのコラムでも書いたが、今年の梅雨は連休明けからはじまっていたのに、気象庁はなかなか梅雨入り宣言をしなかったし、今年の夏は例年通りと予想した。おまけに8月のはじめに数日晴れると慌てて梅雨明け宣言である。でお盆の期間はまた肌寒い雨。別に例年通りに区切れ目をつけることはないと思うが、そうしないといけない決まりでもあるのだろうか。

forest27-3.jpeg・この涼しい夏もまた、僕はその大半を家で過ごした。今年こそ野茂の試合を見にロスに行こうと考えたりしていたのだが、翻訳の校正があったし、肉体論(メディアとしてのからだ)の締め切りも気になった。編者の池井望さんからは夏休みにはいるとすぐに、「原稿の方よろしく」という確認メールが入ったのに、ほとんど何も書くことが決まっていない。米国に行って野球を見て、原稿書けませんでしたでは、大目玉を食らってしまう。そんなことが気になったのだ。
・「行けばいいじゃない。一週間ぐらい遊んだって、関係ないでしょ」とパートナーに言われたが、気になるものは気になる。30代の頃とちがってどうも冴えない。ひとりでに浮かんでくるといった感覚がなくなって、むりやり絞り出すという感じがここ数年続いている。才能が涸れたかスランプか、あるいは読書量の減少のためのなか。大学の忙しさのせいにしたくなるが、半分隠遁者のような生活をしはじめて、あれこれ考えることに興味を感じなくなったのかもしれない。

forest27-4.jpeg・もっともこのHPのコラムは毎週欠かさず掲載していて、ちょっと考えただけですぐできてしまう。この文章も、そろそろ書こうかとパソコンの前に坐って1時間ちょっとでここまで来ているのだ。短くて気ままな文章を書いていると、長くて練ったものが書きにくくなるのかもしれない。だったら、このコラムをしばらくやめてみようか、とふと考えたりもする。
・とは言え、原稿は7割程度のところまで何とか進んできた。からだをメディアとして考える。清潔さや健康を過剰に意識する最近の傾向について、からだと衣服の関係について、はだかや性について、病気について、心とからだと感情の関係について考えているが、池井さんからは表層的すぎるとクレームがつくのではと、ちょっと心配している。学生の論文指導ではきついことをズケズケいうが、いわれるのはやっぱり気になるし、へこんでしまう。8月末までには終わらせたいがうまくいくかどうか。

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2003年08月25日 23:10に投稿されたエントリーのページです。

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