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笠雲と犬と牛

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・去年と同様、今年も雪は少ない。というより、まともには一度も降っていなかった。ところが、センター試験や学年末試験の監督で3日ほど東京にいる間に、やっと降った。東京泊まりで正解と思ったが、降っているところが見られなかったのはちょっと残念。くたびれ果てて帰ってくると、家のまわりは白銀の世界。「癒される〜」などと言いたくはないが、深呼吸を大きくして、白い息を吐き出すと、ぼーっとしていた頭がすっきりした。
・今年は雪が少ないだけでなく、寒くない。原油の値上がりで心配していたが、消費量は去年の半分程度ですんでいる。灯油がだぶついているせいか、だいぶやすくなってきた。1L63円。それでも数年前にくらべたら5割増し以上の値段だ。ガソリンも値下がりしてハイオクで1L130円。用事がなくてもドライブでもしようかという気になってきた。

forest57-2.jpg・天気予報は良くなかったが、空は真っ青で、朝霧高原から富士宮まで出かけた。目的は新しくできた盲導犬の訓練センター富士ハーネスで、オウム真理教の富士山本部の跡地にできたばかりのところだ。見学の時間までしばらくあったので、付近を富士山に向かって歩いた。牧場や養鶏場があって、養鶏場の入り口には車のタイヤを洗浄する大きな水たまりがつくられている。鳥インフルエンザのニュースがあったばかりで、リアリティがあった。檜の森を抜けると大きな富士山。大沢崩れがすごい。これを見ると、富士山が崩壊していることがよくわかる。頂上には笠雲がかかり、見る間に姿を変えていく。もうすぐ天気は下り坂、という知らせだ。

forest57-3.jpg・行ってみようと思ったのは映画の「クィール」を見たからだが、それ以前から、ラブラドールが気になっていた。従順なのか、まさお君のようにやんちゃなのか。ポートランドのアトム君のように賢いのか。センターのガイドをしてくれた「クッキー」は少しやんちゃで盲導犬にはなれなかったそうだ。生まれたばかりの子犬がいたが、盲導犬になれるのは2割ぐらい、10歳を過ぎると引退をして余生を過ごす。大きな施設だが、ここから育つ盲導犬の数は将来的にも、それほど多いわけではない。訓練した犬は無償で貸し出される。ボランティアに支えられているが、一頭に使われるお金は相当になるはずだ。そんなことを考えながら、寄付の箱に1000円だけ入れた。

forest57-4.jpg・帰りに朝霧高原の牧場で、放牧されている乳牛を見つけた。近づくと、牛たちが一斉に走り寄ってきた。後ろには笠雲をかぶった富士山。ここはオウムのサティアンがあったところの近くだ。跡地は上九一色村が買い上げて「ガリバー村」という遊園地にしたが、客足が伸びずに閉鎖された。町村合併で「上九一色」の名が消え、ここまでが富士河口湖町。人口の割に面積の広い町になった。
・富士山が世界遺産の候補に残っている。ただし自然の部門ではなく文化だという。自然遺産で手を挙げたときに、ゴミの問題で落選したからだ。推薦理由は、昔から日本人にとってはなじみのある象徴的な風景で、信仰の対象であり、歌などにも歌われ続けているということである。
・世界遺産の指定は保護が目的だが、同時に観光の呼び物にするという矛盾した面をあわせもっている。富士河口湖町の町長は世界遺産指定地域から富士五湖をはずせという要求をしている。合併して、これから観光地として整備したい計画ができなくなるからだ。地元でもっと議論を重ねないと、決まってから問題が起こる可能性大だ。客は集めたいが、来れば環境は悪化する。何しろ観光客のマナーの悪さにはあきれることが多い。

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2007年01月29日 09:06に投稿されたエントリーのページです。

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