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ムササビの災難

forest60-1.jpg・今年の春は天気のよい日が多かったが、降ればかならず土砂降りで、しかも強風に雷がともなった。時には台風以上の時もあって、松の大木が大きく左右に揺れ、枝が屋根につぎつぎ落ちる。バキン、ゴトンという音、それにゴーゴーという風やざわざわと騒ぐ葉音には、恐怖感さえ覚えることがあった。
・そんな日が何度かあったが、中でもとりわけすさまじい風が吹いた日の明け方のことである。ぼくはイビキをかいて夢の世界にいたから見ていないのだが、パートナーが屋根でおこったムササビの災難をカメラにしっかり記録した。

forest60-2.jpg・1階の屋根のはじっこにムササビが2匹うずくまっている。後ろの木は枝がしなり葉が裏返っていて、それを見れば、猛烈な強風だったことがわかる。カメラのフラッシュで2匹の目が光っている。風に吹き飛ばされまいとして屋根にしがみついていて、身動きがとれないようだが、今にも落ちそうなところにいる。
・わが家の屋根裏に住みついたムササビはしばらく前に追い出しに成功している。しかも1匹だったはずで、2匹ということは雌を連れて、古巣に避難しようとしてやってきたのだろうか。

forest60-3.jpg・少しからだが小さいようだから、子どものムササビなのか。そうすると、親はいったいどこにいるのか。2匹がピッタリよりそって必死になって上に進もうとしている。風がなければ軽快に屋根を走りまわり、ドンドンと足音を立てるのだが、このときばかりはそういうわけにはいかなかったようだ。
・で、風がやんでうごきだした次の瞬間に、突風が吹いて、飛ばされて落下。滑空できるほどの高さではないから、そのまま真下に落ちたようだった。

forest60-4.jpg・朝、目を覚ますと、パートナーにトイレの窓から外の下を見てごらん、といわれた。なにか茶色い毛の固まりが二つある。呼吸をしているように体が動いているが、うごきだす様子は全くない。「何?」「どうしたの?」と聞くと、ことの顛末を嬉々としてはなしてくれた。
・ムササビは夜行性だから、明るいところではうごきようがない。しかも、地面には滅多に降りないから、じっとしている以外に行動のしようがない。町役場に電話をすると、野生の生き物はケガをしていないかぎりは手を出さないのが原則だという。しかし、頼んで保護をしに来てもらうことになった。やれやれ………。
・やってきた人は、小さな段ボール箱に無造作に2匹を放り込んだ。保護したムササビは子どもで、近くの山に放すという。まだ親と一緒だったはずだから、生き延びることができないかもしれないという。飼いますか?慣れてかわいいですよ、といわれたが、遠慮しとくことにした。
・住んで7年になるが、最近おこる野生の生き物との遭遇は、はじめてのことばかりが多い。周囲の環境の異変、気候の異常なのかと思うと、その変わりようが目に見えているのが何とも恐ろしい。そういえば、今年は田植えの時期になっても農鳥があらわれない。富士山はいまだに雪がたっぷり残っている。農鳥がでない年は凶作。いまだに灯油のストーブをつけたりしているから、気象庁がいうように猛暑になるとはとても思えないのだが………。

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2007年06月10日 20:02に投稿されたエントリーのページです。

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