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森の生き物たち

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・畑に作物ができはじめると、猿やイノシシがそれを狙ってやってくるようになる。だからどの畑にも、荒らされないための工夫が施されている。それでも、森に近いところの畑は荒らされてしまうようだ。と言って、森や山に食べ物がないわけではない。僕の家のまわりにも、桑の実や野いちごがなって、それをヨーグルトに入れて食べたりもしてきている。今年も桑の実がなって、少し食べたのだが、食べ頃の時に猿がやってきた。畑の野菜も含めて、どこに何があるかをよく知っているのである。

・仕事に出かけるために朝家を出て車のところに行くと、突然木の上から猿が数匹飛び降りてきて、山の方に走っていた。突然のことで驚いたが、見上げると、まだ数匹猿が桑の木にいて、慌てて車に乗り込むと、大柄な一匹が、こちらを睨み、逆毛立てて威嚇をしてきた。睨み返したのが悪かったのか、あるいはもう一匹、木の上に残った小猿に目をやったせいなのか、突然車に向かって飛びかかってきて、運転席の窓に体当たりをした。

・車のエンジンをかけて、もう一度その猿を睨みつけると、また威嚇をして体当たりをしてきた。おそらく小猿を守ることに懸命なのだと思って、そのまま走り出したが、猿たちはその後も桑の木に登って実を食べて帰ったようだ。猿が家にやってきたのははじめてではないし、道を歩いていて遭遇することも何度かあった。だから、このときの猿の行動にはびっくりしたのだが、不意に近距離に接近したら危ないということを改めて思い知らされた。そう言えば、熊に襲われたニュースに共通しているのは、やはり、接近しすぎた場合であるようだ。

・時折、鳥が家の窓にぶつかって、死んでしまったり、気を失ったりして落ちていることがある。週に一度の買い物をして帰ったときに、カラスが1羽うずくまっているのを見つけた。死んでいるのかと目を凝らすと、少し動いているようだった。その時はそのままにしておいたのだが、しばらくして庭に出ると、そのカラスが別の場所に移動をして、やっぱりじっとうずくまっていた。で、しばらく観察していたのだが、家にぶつかって羽でも傷つけたのか飛べないようだった。カラスは少しずつ歩いて、庭の木によじ登ろうと試みては、下に落ちたりしていたが、そのうちに庭の外に出て見えなくなった。数日後に、そのあたりの草刈りをしたが、黒い羽が散乱していたから、死んで何かに食べられてしまったのかもしれない。

・その他にも、この季節には珍しく、何度かネズミが家の中を徘徊した。イギリスで買ったギロチン式のネズミ取りを仕掛けたが、いまだに捕まってはいない。家のまわりをうろつく黒猫がいて、見かけると追い払うことにしている。ネズミよけにもならないのだから、居着いてもらうわけにはいかないのだ。近所の別荘の住人が猫を連れてきて、それが我が家の庭やバルコニーを徘徊してもいる。飼い猫は追い払っても慣れたもので、悠々としているから余計に邪魔くさく感じてしまう。

・ところで以前にも書いたが、近所に引っ越してきたブリーダーの家からは、相変わらず犬の鳴き声がやかましく聞こえてくる。それに風向きによってはひどい悪臭も漂ってくる。外にまったく出さないから犬の姿は見たことがないのだが、その存在にはひどく悩まされている。ブリーダーが起こす問題は時折ニュースにもなるが、事件にならなければ取り締まる法律はほとんどないのが日本の現状で、ペットについては全くの後進国であることを痛感させられている。

・家の中に閉じ込められたままの犬たちは、猿が来ても吠えるわけではない。吠えるのは、おそらく飼い主が、運動不足を解消させるために何かをやらせているからだ。そんな幽閉された様子を想像するとと、野生の猿の威厳に満ちた行動がいっそう際立って思い出されてくる。

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2010年08月02日 08:20に投稿されたエントリーのページです。

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