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特に忙しいわけではないのですが

我が家の隣地に現れた鹿
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・毎週更新しているこのコラムは、日記(週記)のようなもので、自分にとっては、忘れてしまったことを確認するのに役立っている。記憶というのは頼りないもので、年月が経つと、旅行したのが何年だったかも不確かになっている。あやふやなのは、1年前でも変わらないから折に触れて、読みかえしている。

・4月から役職について、週末も仕事で出かけることが増えた。その分、気ままに出かけることが少なくなった。ここ2週ほど、週末は父母の会があって、数日前には甲府に出かけた。盆地の甲府はものすごい暑さで、6月末には38.9 度になった。出かけた朝も、家を出るときには22度で、甲府に着いた時には朝の10時だというのに31度だった。で、去年の今頃も、よく甲府に来たことを思い出した。ただし街中ではなく、周辺の山を歩くために通過したのである。

・去年の「写真館」では5月に「宝永山と小富士」、7月に「初夏の山歩き」を載せている。そう、去年はせっせと歩いたのだった。去年は5月の後半から歩き始めて、最初は富士山の宝永山と小富士、6月には西沢渓谷、大菩薩峠、横尾山、そして日向山に登っている。6月に登った山はすべて我が家から甲府盆地経由で行ったところである。去年のこの時期もかなり暑かったと思うが、山の上は涼しかった。

・そんな気持ちもあり、午前中の会議だけのために出校する日があって、大学からの帰り道に高速道路ではない経路をとりたくなった。中央高速を走っていていつも気になる景色がいくつかあった。機会があったら行ってみたいと思いながら、通り過ぎていたのだが、ふと思いたって、出かけることにした。

fugaku.jpg・中央高速の談合坂SAの北側には山の中腹まで集落がある。地図で見ると山の名前は不老山で、近くには北斎の富嶽36景で有名な犬目という地名もある。上野原の街を抜けたところで甲州街道から北に折れて細い曲がりくねった道を走り抜ける。高速の渋滞でよく名前の出た鶴川橋を下から見上げ、小学校や工場、そして集落が点在する道を走っていくと不老山への登山口がある。そこから急坂を登り、高速の下をくぐって南に出るとしばらくは高速道路の脇道になり、今度は高速の上をまたいで北側に出る。ちょうど談合坂SAの登りと下りの間にあるあたりだ。同じところでも、少し位置や関係が変わっただけで、景色は見慣れないものになる。へー、と思いながらさらに走ると犬目という地名が目についた。葛飾北斎の富嶽三十六景で有名な名だ。しかし、車を停めて見回したが、富士山が見えるような地形ではない。

・家に帰ってネットで調べると、この日通った道は旧甲州街道だったようだ。犬目宿があったところだが、北斎が描いた犬目峠は、現在では、場所がわかりにくくなっているらしい。しかし、富士山の雄姿が素晴らしいと書いてあるブログもあったから、今度はゆっくり歩いてみたいと思った。もうひとつ気づかなかったのだが、甲州街道の鳥沢に抜ける間に恋塚という名の地名があって一里塚があったようだ。

・旧甲州街道ということで、もう一回は高尾から上野原に抜ける陣馬街道を走ってみた。途中からものすごい夕立で、最高地点の和田峠にさしかかるヘアピンカーブが連続するあたりでは、道が川になって、水しぶきを上げながらの走行になった。狭い道で対向車があったらどうしようもないところが続いたが、幸い一台も出会うことなく峠を過ぎた。あいにくの天気で山は曇っていたから、ここも今度歩きに来てみたいと思った。考えてみれば、全然山歩きができないほど忙しいわけではない。「忙しさにかまけ、忘れてたんだ」と中山ラビの歌を思い出した。

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2011年07月04日 07:05に投稿されたエントリーのページです。

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