« 龍ヶ岳とダイヤモンド富士 | メイン | 農鳥(のうとり) »

夏が暑いと冬の雪は多い?

forest40-2.jpeg・夏が暑かった後の冬は大雪という話を聞いたことがある。それでも、12月になってもそれほど寒くはなかったし、気象庁の長期予報も今年の冬は暖冬ということだったからたかをくくっていた。そうしたら年末に続けてまとまった雪が降った。大晦日から正月にかけて大阪に行って帰ってきたら、家の前の道はすでにアイスバーンで、そのまま1カ月がたった。最低気温が-10度ほどになるこのあたりでは、積もった雪はすぐにかいてしまわなければ、日陰だと春まで残ってしまう。しかも、ここのところ、毎週日曜日に雪が降っている。だから、わが家にはスタッドレス・タイヤをつけた車しか近づけない。

forest40-3.jpeg・静かで、美しい。雪で白くなった御坂山系に夕日が照った。ストーブにあたって本を読んでいて、思わず、その美しさに見とれてしまった。この景色を知らずに夏だけやってくる別荘族は本当に宝の持ち腐れだと思う。けれども、こんな時期にやってきたら、車をこわごわ運転し、寒い部屋で震えなければならない。冷え切った家はがんがん暖房しても、暖まるのに半日以上かかってしまう。だから、雪かきをして、家が暖まった頃に帰るということになる。夏は雑草と家のメンテナンスで忙しいから、別荘を持つのは管理人をおかなければ、苦しいことのみおおかりきというのが実状なのである。

forest40-4.jpeg・雪が降ると困るのは野鳥で、行き場がなくて家のまわりをうろうろしている。知らずに近づくと、あわてて足元からばたばたと飛び立って、こちらもビックリしてしまう。雨樋に解けた水は飲めるが、餌は少ないはずで、鳥にとっては雪はつらいのかもしれない。あるいは窓にぶつかって死んでしまう鳥もいて、この冬はもう2羽が犠牲になった。雪が降ってきれいに晴れ上がると、窓ガラスには雪や空が映って、それがガラスであることに気づかなくなる。それで思いっきりぶつかってしまうのである。なかには脳しんとうの後で元気になるのもいるが、そのまま動かないものもいる。

forest40-5.jpeg・右の野鳥は「相思鳥」という。篭抜け鳥が野生化したもので、中国南部が原産だそうだ。つがいで行動する相思相愛の鳥というのが名前の所以らしい。だとすると、この死んだ鳥の相手はどうしたのだろうか。最愛のパートナーを失って寒い冬を越さなければならない。篭の中で飼われていた頃からのつがいで、一緒に逃避行をしたのか、あるいは逃げた後で出逢ったのか。死んだ鳥を写真に撮りながら、そんなことをあれこれ考えてしまった。それにしても派手な色で、腹は黄色のグラデーションで羽根にかけて鮮やかな赤になる。しかしやっぱり、このあたりには似合わない。「野鳥激突死事件」………。

forest40-1.jpeg・屋根の雪は昼間の日光で解けてぽたぽたと落ちてくる。それが氷柱になってぶら下がる。大きいほど見事で美しいが、あまり大きくならないうちにはたいて落とすことにしている。薪を取りにいったり雪かきをしたりして真下を歩くから、頭に落ちてきたらかなわない。氷柱は鋭い武器になって、しかも証拠が残らない。「氷柱殺人事件」なんてのはなかったかな、などと、またまたここでも想像たくましくしてしまった。そういえば、雪が降る前には朽ちた倒木にスギヒラタケを見つけた。食用だが、今年は猛暑のせいか毒性が強くて、当たって死んだ人が続出した。「スギヒラタケ殺人事件」………。

forest40-7.jpeg・冬を暖かく過ごすためには薪が欠かせない。だから来冬のために暮れに倒木を探して運んできた。しかし、雪に埋もれてしまったから、薪割りは春まで待たなければならない。倒木を探し、車に積んで運んできて、切って、割って、干す。その労力のご褒美が真っ赤な炎と暖かさ。がんがん焚くのではなく、酸欠状態にしてとろとろと燃やす。1本の薪が真っ赤な炭になって、ゆっくりと時間をかけて真っ白な灰になる。まるで積もったばかりの雪のようで、やっぱりじっと見とれてしまう。


forest40-6.jpeg

僕が死んだら/葬式はせず
骨も灰にして/捨ててほしい
………
僕の骨は/白くて硬い
一番熱い火で/焼いて欲しい
………
(「僕の骨」早川義夫)


About

2005年02月01日 23:32に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「龍ヶ岳とダイヤモンド富士」です。

次の投稿は「農鳥(のうとり)」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Creative Commons License
このブログは、次のライセンスで保護されています。 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス.
Powered by
Movable Type