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尾瀬ヶ原を歩いた

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・尾瀬はずっと行ってみたいと思っていたところだ。理由はやっぱりあの歌だろう。♪夏が来れば思いだす/遥かな尾瀬遠い空♪ところが、今年はいつまでも梅雨空で、最初の予定はキャンセルした。神津島に続いて二度目の中止で、今年はもうどこにも行けないかと思っていたのだが、天気予報を見ると、何とか雨は避けられそう。で、ペンションの予約をしなおして、思い切って出かけることにした。

photo52-2.jpg ・出がけはやっぱりどんより曇り空。中央道から圏央道にはいるあたりから真っ黒い雲がたれ込めて、イヤーな空模様だったが、関越道で北上するにつれて青空が見えてくる。高速を降りて下道を走る頃には、日差しがきつくてまぶしくらいになった。さい先良しで、とりあえずは「吹割りの滝」の見物から。沼田街道は通称「日本ロマンチック街道」と言うようだ。もうちょっとましな名前をつけたらどうか、などとぶつぶつ言いながら、尾瀬の入り口に着いた。

photo52-3.jpg ・時間はもうすでに1時を過ぎていたが、行けるところまでと、富士見下で車を止めて、富士見峠をめざす。今は尾瀬に入るルートはいくつもあるが、もともとはここだけだったようだ。林道をだらだら登っていくと、降りてくるハイカーが3組と富士見山荘の車と出会った。ブナ、ミズナラ、ダケカンバ、それに巨大な朴の木と広葉樹の豊かな森が続く。富士見峠まで行けば尾瀬ヶ原が望めたのだが、いかんせん歩き出したのが遅すぎた。3時になったところで引き返すことにした。ウグイスが鳴き通しで、しかもなかなかの美声だった。
・宿は丸沼高原にあるロッジ「ネイチャー莫」。オーナーは周辺の山、動物や植物を熟知したネイチャー・ガイドで、当日も尾瀬笠ヶ岳をガイドして歩いてきたと言う。いろいろ話を聞いて、明日の尾瀬沼が一層楽しみになった。

photo52-4.jpg ・尾瀬沼をめざして7時半に出発。オーナーは今日もガイドで至仏山に登るという。鳩待峠まで車を駐車させて歩きはじめた。駐車場は昨日は8 時で満杯になったらしい。今日はまだ余裕があるが、それにしてもすごい人だ。尾瀬ヶ原のはじまりの山の鼻までは下り道だが全部木道が敷かれている。尾瀬から戻ってくる人もたくさんいて、「おはよう」「こんにちは」がだんだん面倒になった。たまに会うから声をかけたくなるんで、この混雑では「儀礼的無関心」の方がいいかも、などと思う。
・山の鼻に着くと、これぞ尾瀬という眺めが見えた。歩荷(ぼっか)と呼ばれる荷担ぎの人もいて、「重さはどのくらい?」と聞くと「今日は 110キロぐらい」と言った。食べ物や飲み物をこんなふうにして運ぶのかと思っていたら、空をヘリコプターがしきりに飛んでいる。大きな荷物を運んでいて、それなら歩荷なんて必要ないのでは?と不思議な気がした。
・木道の両脇にはさまざまな高山植物が咲き、ハチやチョウチョが飛んでいる。途中に何度も交差する川や池には魚も見えた。遠くには至仏山と燧ヶ岳も望めるほどの好天で、本当に久しぶりの青空だったようだ。







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photo52-11.jpg・尾瀬ヶ原は山の鼻から牛首、竜宮、そして見晴まで続き、そこから尾瀬沼に至るが、竜宮まで来ておにぎりを食べたところで引き返すことにした。鳩待峠から7.5キロで、ゆっくり来たから3時間半ほどかかった。この行程を戻ることを考えると、ここまでが限界かなと思った。くたびれていたが、帰り道は登りにもかかわらず2時間で鳩待峠に戻った。15キロを6時間ほどで歩いたことになる。ここのところ毎日、河口湖や西湖でサイクリングをしていたから、足には自信があったが、それでも、最後は棒のようになってしまった。
・ロッジに帰って、オーナーとまた、尾瀬の話をした。写した植物の写真を見せると、すぐに名前を教えてくれた。聞けば同年代で、大学も京都だったという。学科は違うが僕の後輩で、卒業後に尾瀬の山小屋に就職?したようだ。ただ歩くだけでなく、何倍も、尾瀬のことがわかったし、また是非来たいと思わされた。
・尾瀬の自然は極力残さなければいけないが、こういう自然を是非、大勢の人に体験してほしい。そのジレンマをずっとかかえながらガイドをしてきたと言う。ロッジをはじめて20年。何度も歩いている周辺の山々に、飽きるどころかますます魅せられている。こんな生き方をしてきた人がいるんだと思うと、ちょっと羨ましくなった。

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2009年08月09日 23:55に投稿されたエントリーのページです。

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