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トンネルはできたけれど

・山梨県は山ばかりだから、かつては、どこへ行くにも峠道を越えねばならなかった。東京から甲府に行くには笹子峠、御殿場からは篭坂峠、身延方面からは本栖道、そして河口湖と甲府の間には御坂峠があって、交通の難所になっていた。現在では、どの峠にもトンネルができて、交通は便利になっている。特に中央道の笹子トンネルや東富士五湖道路の籠坂トンネルは、そこが交通の難所であったことを気づかせないほどに快適だ。

・河口湖と甲府の間には新御坂トンネル経由の137号線と精進湖トンネル経由の358号線がある。どちらも急坂でカーブも多いから、車の運転には注意が必要だが、通常の交通量には十分対処できるほどの道で、特に137号線の御坂トンネルから一宮までは数年前に片側二車線のほぼ直進の道路が開通したから、運転はずいぶん楽になった。

forest84-1.jpg ・その河口湖と甲府をつなぐ道路が若彦トンネルの開通で、もう一本増えた。トンネルは御坂山系の大石峠の下を貫いて河口湖と芦川村を結ぶもので、工事は2004年から始まった。トンネルにつながる道路も新しくなって便利さも感じたが、ダンプカーがひっきりなしに行き交い、我が家からも時折、発破音が聞こえて、危険やうるささもも感じた。そしてこの道路は、もちろん、トンネルのある地区の人たちの強い要望でできたものではなかった。県道として新しいルートを計画した県によれば、「災害時の避難ルートや物資の輸送」が一番の理由のようだ。

・トンネルの開通は3月の末だったが、それ以降、週末になると車やバイクの音がブンブンとうるさく響くようになった。多くは新しいトンネルを走ることを目的にしてくるようだ。週末の湖畔は以前から車で一杯だが、混雑は以前にも増してすごいから、滅多なことでは車で出かけないようになった。トンネルから湖畔までの道は新設されたが、湖畔道路は以前のままで、狭い箇所がいくつもある。今までなかった渋滞が起こったりもするのだが、慣れないドライバーはそんな道の真ん中を走る傾向にあって、対向車を見つけて慌ててハンドルを切って避けがちになる。しかも、同じ道を自転車を漕ぐ人も増えた。これから夏に向けて本格的なシーズンになると、渋滞や事故で大変なことになるのではと心配になってしまう。

・その若彦トンネルを何度か運転してみた。今までは精進湖まわりで一時間近くもかかっていた芦川までの道のりが、わずか五分ほどに短縮された。それはそれで便利だが、そこから先の石和や甲府までの時間は、それほど短縮できたとは思えなかった。芦川から先の道がカーブと急坂の連続で、けっして楽な運転ではないし、ルートも整備されていないから、どこへ行くにもわかりにくかった。おそらく、甲府や石和方面から若彦トンネルをめざすのは、ナビの地図が新しくなるまでは難しいだろうし、そもそも、わざわざこのルートを使う必要もないのではと感じた。

・山梨県は山国だから、その発展には道路の建設は欠かせない。そんな思いが、金丸信やその他の自民党議員を輩出してきたと言えるだろう。実際、山歩きをするために車で出かけると、ずいぶん立派な林道や農道を見つけて走ることが少なくない。若彦トンネルと県道719号線は、そんな政治道路の一つなのかもしれないが、そうだとしたら、開通したときには自民の国会議員が0になっているというのはずいぶん皮肉なことだと思った。

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2010年06月21日 07:04に投稿されたエントリーのページです。

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