今秋出版予定!!
世界思想社刊

Mailから、その1
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  • 渡邊 潤様
  • 暑中お見舞い申し上げます。
  • お元気で意欲的にお仕事を進めておいでのご様子、お慶び申します。仰るとおり、私たちが今日生きていることに関して、どう考えても楽しさと同時に怖ろしさを同時に味わうことになり、二つが混在した当惑感を免れないですね。
  • それはそれとして、先週ある日演習の学生から「チャチャチャ」とはどのような音楽だろうと質問が来たりして、1960年に文学部のトイレでこの音楽の話しをした時代を思い出しました。音楽を通しても時代を語ることは、どうやらぼくらのやらねばならないことの一つであるようですね。まして、コルトレーンや「ハイウエー66」などが、当時のぼくなどにどのように聞こえたか、などもいまや歴史となりつつあるのですね。
    2000/8/4 平野秀秋



  • 平野さん
  • いつもながらの早い反応に感謝です。
  • 音楽を歴史として語る必要性、というより語り継ぐ必要性というのを10年ほど前から強く感じ始めました。それがやっと形になってほっとしています。本当はもう二つほど章を書き足してからと思っていたのですが、中断で、難しくなりました。宿題が少し残ったという感じです。
  • それにしても平野さんの仕事ぶりもすごいですね。『大航海時代の東南アジア』下巻は楽しみです。最近は台湾やインドネシア、あるいはアフリカのロックがおもしろくて、そうなると、それぞれの国の近代化の過程が気になるといったように、音楽をきっかけに知らなかった世界に目を向けはじめているところです。もちろんユーエンの翻訳も楽しみです。
    2000/8/4 渡辺潤



  • 『アイデンティティの音楽』のご脱稿、おめでとうございます。20世紀中の出版に間に合いそうで、結構でした。BBSもちょっと覗いてみました。本の宣伝もさることながら、制作過程を部分的にせよ公開することで、世界思想社のPRとして大きな意味を持つと思います。大隅・中川両エディターに、健闘を祈るとお伝え下さい。
  • 河口湖畔とちがって京都はとにかく暑いので、生産的なことはなるべくしないで、もっぱら小説や古い映画(ビデオ)で時間を消費しています。先日、小津安二郎全集を購入しました。
    2000/8/4  井上俊



  • 井上さん
  • さっそくのご返答ありがとうございます。
  • メールの一部をHPに紹介したいと思います。
  • 大隅・中川さんたちも喜ぶでしょう。
  • 河口湖は涼しいです。日中は汗ばみますが、夜になると肌寒い感じがします。千客万来で仕事に集中というわけにはいきませんが、楽しい毎日を過ごしています。息子たちからエアコンの要請が来ましたが、我慢できないなら河口湖にどうぞと言って却下しました。去年まで我が家ではエアコンなしで京都で過ごしてきましたから、泣き言は通じません。
  • 井上さんも、どうぞ河口湖に避暑にお出かけください。
    2000/8/4 渡辺潤



  • お知らせありがとうございます。ご本、楽しみにしています。
  • 今日、ちょうど海野弘さんの新刊のカリフォルニアシリーズの2巻目の『ハリウッド幻影工場』を読了したところです。グリーンアロー出版から刊行の始まったこのシリーズはご存知ですか?六巻本になる予定で、もちろん全巻、海野弘さんの書き下ろしです。5巻目が『西海岸の波と音』で、ビーチボーイズ、ウエストコーストジャズ、サイケデリック、ニューエイジに至るカリフォルニアサウンドを取り上げるらしいので楽しみにしているところです。そんなところに来た、渡辺先生のお知らせだったので、ちょっと、シンクロするものを感じています。
  • ハリウッド幻影工場は映画についての本でしたが、なかにステーヴン・ポール・ミラーの『70年代ナウ』から、60年代は音楽が先端であり、70年代は映画がより先端的だったという分析を引いていて、ちょっと、このことを考えようとしたいたのですが、どうも、60年代の方が実体験が薄いせいか、うまく考えられません。
  • その後、80年代前半のMTVでは、映画へのノスタルジーというか、コンプレックスが感じられるビデオクリップやそういうクリップになりやすい曲が多かった気がするんですが、その後、90年代には逆にビデオクリップのような映画が増え、デビッドフィンチャーとか、日本ならサザンのクリップを取っていた岩井監督のように、ビデオクリップから映画へ行く才能が現れ、今や映画のサントラが音楽シーンをリードするっていう状況があるってことなら、実感的によくわかるんですが。
  • アイデンティテイの音楽という書名も興味あります。今のDJやリミクサーが主役となる音楽は、アイデンティテイの音楽とはいえない気がするし。それから、しばらく前に読んだイーノの『ア イヤー』では、購入した人の元で、毎回違うように育つ音楽プログラムを商品化したいという話が出てくるんですが、それもまた、アイデンティテイの音楽とはいえそうになくて、それから、テクノも違うような気がするし、そんなこんなで読む前からあれこれ考え膨らんでいます。
  • できれば、bk1の新刊事前予約で予約して買ってみたいです。
  • んじゃ、また

    2000/8/4 上保文則



  • 上保さん
  • お久しぶりです。
  • 長い感想ありがとうございました。事後承諾をお願いしますが、メールの内容をHPに掲載しました。
  • 60年代が音楽で70年代が映画、そして80年代のTVという指摘には全く同感です。90年代は、もうぐちゃぐちゃですね。音楽(ロック)にとって映画はともかく、TVとの和解は大きな変容の瞬間でした。60年代の音楽にとって、テレビは宣伝に利用はしても、馬鹿にするしかない対象でしたから。
  • とはいえ、こういう認識はアメリカやイギリス、そして日本などに限られたもので、ロックは70年代にも、80年代にも、そして90年代にも世界のあちこちで時代の音楽として再生し続けてきたのも事実です。70年代のパンクやレゲエ、80年代のラップは、そこからメジャーな音楽になったものですし、80年代の後半からは共産圏、90年代に入ってからはアジアやアフリカ。もちろん、フェミニズムとロックなどもあります。
  • これまで書いてきたものに付け加えたのは、何よりそんな問題でした。
  • 上保さん、これからもBBSに顔を出して、おもしろい発言をしてください。
  • 本の宣伝と言うつもりではじめましたが、うまく広がれば、HPやBBSの使い方の実験になるのではないかとも思っています。
  • それでは。
    2000/8/4 渡辺潤



  • お久しぶりです、田中勇輔です。この度は本を出版されるそうで、それも音楽物なんですね、出版されれば是非買わせていただ来ます。(仕事にフィードバックできると思いますし・・・。)
  • それにしても新刊専用のページまで立ち上げたりして、随分気合が入ってますね、BBSを拝見させていただきましたが、とても参加出来そうも無いのでロムすることにします、(それだけで十分興味深いBBSです)
  • 音楽の意味について書かれていらっしゃるそうですが、それには大変興味があります、ですが実際販売の現場で働いると、音楽の意味は重要ではありません。  売り手である私たちは、商売をやっているので意味云々というより売上を伸ばすことに主眼を置かざるを得ません、当然よく売れるミーハーな商品を沢山仕入れます。しかし売り手は音楽好きばかりなので、売れ筋とは関係なく昔のものでも、新しいものでもいい音楽をお客さんに紹介(少々趣味が入っていますが)しているのですが、悲しいかな売れません。
  • ヒットチャートを賑わす音楽の購買層に多いのですが、CDの置いてある場所を探さずに「○○のCDどこにあんのぉ?」(傾向として、すいませんの前置きも無く自分の用件を切り出してくるお客さんが多いです)と聞いてくるお客さんがいます。よく売れるCDですから、面出ししたりして目立つように置いてあるにもかかわらずです。「欲しいCDやったらまず探せよ!」と言いたい気持ちをぐっとこらえ、CDを棚まで取りに行きます。
  • 現在売れている音楽の多くは「意味」以外の要素で売れています、例えばテレビです、テレビCMの影響力は絶大で個人的にこんなCD買う人いるのかな、と思っていたら途端に売上が伸びたりします。CMだけではなくてドラマや音楽番組の影響も購買行動に大きく影響します。
  • 「意味」というのは自分で考えなければ生まれてこない、能動的な行為だと思います。しかし現在の音楽(とくにヒットチャートを賑わしている音楽)は非常に受動的に捕らえられていると思います。(自分の欲しいCDを探さない人もいるくらいですから)逆のことを言えばこれだけ「意味」の無い音楽だからこそ売れているんでしょうけれども・・・。
    2000/8/5 田中勇輔



  • 田中君
  • さっそくの返答ありがとうございます。
  • 君の意見は有効です。何せ商品としての音楽が売れる場にいるのですから。とても参加できそうもないなどと言わずに、消費者の行動を教えてください。
  • 音楽が意味のあるものとして聴かれていないのは、昔からのことです。ただし、一方では、さまざまなテーマや主張を込めた歌、あるいは新しい表現方法などを工夫した音楽などもあって、それをぼくは「アイデンティティの音楽」と呼んでいるわけです。文学や映画と同様に批評の対象になる作品やミュージシャンも多数生まれていて、そういうものへの関心を同世代には忘れてほしくないし、若い世代には見つけてほしいと思っているのです。しかしあなたが言うように、特に日本では音楽はますます商品としてだけの価値しかないようになってきている気がします。
  • ぼくが出す本は、そんな現状に対する批判の書で、マイノリティの声ですが、一人でも多くの人の目に留まればいいと思っています。
  • それでは。
    2000/8/5 渡辺潤



  • 脱稿おめでとうございます。
  • 以前パティの話題でメールのお返事を頂いたMIKIです。こちらもその後サイト作成に取り掛かり、お知らせしなくては、と考えておりましたが、先生のようなすばらしいサイトを手がけている方にお見せするのはなんだか気が引けてしまい、、、。
  • でも、出版のお知らせを頂きありがとうございました。内容を知り、とても興味を持 ちました。(私の読み違えでなければ)20世紀の、特に若者文化を、メディア、(その中でも音楽=ROCK)を切り口として総括する・・・という事、、、。実に今までに無い、価値ある文献であると期待致しております。
  • 目次を拝見しましても、すばらしい内容です。個人的にはアートとロック(おそらくアンディ・ウォホール、メイプルソープあたりですか)の項と、女性アーティストに対しての位置付けがどのようなものであるかに惹かれます。
  • 出版が楽しみです。
    2000/8/5 MIKI



  • MIKIさん
  • 反応があって、とてもうれしいです。
  • アートについては、ウォーホルの話も書きましたが、主題はイギリスの労働者階級の若者たちについてです。つまり、戦後の先進国の特徴として大学生の急増という現象があったのですが、大学を増やすことはあまりしなかったイギリスでは、進学希望の若者をアート・スクールという大学兼専門学校に行かせました。そこから、アートとビジネスを結びつける道が生まれてきて、広告やデザイン、あるいはメディアに人材が供給されることになったわけです。「ポップ・アート」といったニュー・ウェーブの背景というか基盤です。
  • ロック・ミュージシャンはビートルズやローリングストーンズ以来、この学校に在籍していた者がほとんどです。音楽を教える学校であったわけではないのですが、次々と新鮮な感覚をももった人材が育っていきました。もっとも、誰もが授業にはほとんどでない劣等生だったようです。ジョン・レノンが絵を描いていたのはご存じでしょう?
  • 「アイデンティティの音楽」は音楽論や芸術論を主題にしたものではありません。ロックという音楽が生まれてきた社会的な背景について、あるいは20世紀という時代との関係について書いたものです。その意味では内容は地味だと思いますが、あなたの関心とは十分にクロスするのではないでしょうか。なお、ジェンダーについては、本当はもっと展開したかったのですが、時間切れで、簡単なものになってしまいました。ぼくにとっては宿題ですので、どうぞ話題提供者になってBBSに参加してください。
    2000/8/5 渡辺潤



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