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2006年09月29日

美瑛町から越後妻有へ

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 今年は,8月末に越後妻有トリエンナーレの見学を目的にしたゼミ合宿を行ない,9月上旬には,ゼミ生有志とともに北海道美瑛町の自然の家へ。美瑛町は,絵に描いたような北海道が実感できる,耕地がうねうねと続く美しい丘の町だが,自然の家がある二股地区は,ちょうど,丘に挟まれた谷間にあたる。廃校になった小学校を再利用した宿舎は,まだまだ立派な建物。なのだけど,過疎化は進行しているということか。
 この自然の家の中には,学校時代の名残や記念品がいっぱいあるのだけど,そこで目に留まったのが,模造紙?に描かれた,このエリアの「大きな地図」。2種類あって,どちらも,フリーハンドで道路を描いて,その線の両脇に,世帯名が入ったネームカードが貼り付けてあるという代物。正確な制作年は覚えてないが,やはり,古い方が,より多くの世帯名が入っていた。比較的簡単な地図なんだけど,自らの地域を再認識するためか,しっかりガラス張りのウィンドウの中に保存されている。
 そもそも,自然の家にやってきたのには,物見遊山の気分も多分にあるのだけど,この美瑛町で我々アート系?ゼミが活動できる分野はないか,という考えもあってのこと。それで,この地図作成というリサーチ活動に注目した。
 すでに,地図作成系のアート&リサーチ活動としては,北九州のgallery SOAPを中心に,毛利嘉孝と宮川敬一らsecond planetが行なっているRE/MAP Projectが知られている。地域の地図作成というのは,まさに,小学校の授業などで経験済みかも知れないけれど,そうした行為は,地域の社会関係や歴史などを再認識する,もしくは,再構成する出発点となる可能性はありそうだ。
 それで思い出したのは,先月見てきた越後妻有トリエンナーレ。震災を経た今回は,地域の特産品を企画して,そのプランを民家の中で展示したり,その記憶を探るかのように,地域の皆さんの所蔵写真を集めて見せたりと,そんな作品が多かったが,どうも,なかなか地域の社会関係が見えてこない,その場限りの企画,という印象の展示が多かった。建築やアート系大学・専門学校の専攻や研究室単位での参加も多く,それなりに組織的な活動ができたはずだろうに。まあ,結果を語るんだったら,せめて3年後に,ってことか。

2006年10月01日

秋葉原のアトリエと無線LAN

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 去年から続いていた横浜馬車道駅そばの期間限定アトリエ・マンション北仲White&Brickがこの10月に終了。というわけで,次の拠点を探した結果が,秋葉原の格安事務所。以前のスペースはある種の文化事業として維持されており,「超」格安だったので,これからは家賃程度の利益活動もやってみたいし,以前より,光熱費に加えてネットワークの維持費なんかも安く押さえたいところ。
 それで,明日からの活動を前に,無線LANの信号状態を測定に出かけてきた。というのも,自宅の近所で,あのlivedoor Wirelessのアンテナを発見して以来,これくらいマメにアクセスポイントを設置しているのならけっこうイケルかも,と思っていたからだ。だって,サーバでも立てない限り無線LANで十分だし,何より,月額525円の利用料は,これまた格安。とはいえ,Livedoorのサイトで確認したところ,新アトリエから最寄のアクセスポイントまでは,ちょいと難しい距離のよう。そこで無線LAN機能も備える電話機W-ZERO3でテストすることに。
 結果は,ビミョーに無理っぽい感じ。ただ,ちょいと歩いた先では,どうにか信号を捕らえることができたので,しっかりアンテナを内蔵したノートパソコンだったら上手く行くんじゃないか,と思わせる感触ではあった。
 屋外に無線LAN網を作り上げるという,このlivedoor Wireless的発想は,2002年に1週間ほどストリーミング活動を行なった名古屋の大須地区の電気屋さんが,当時実験的にやっていたが,その後,Skypeなんかも登場しているので,そうなると,インターネット網なのか電話回線なのかも分からない代物になってくる。ちょうど,LogitecからSkype専用端末も発売されたので,ちょっと面白い展開かも。
 ただし,そのLogitecの端末,単に無線LANでSkypeの電話機能が利用できるだけみたいで,いまどき普通の携帯だって,音楽プレイヤーやPDA機能を持っていることを考えると,きっと次があるだろうと思わせる感じ。そういう前に,W-ZERO3にSkypeをインストールすりゃいいんじゃん。で,すでに試みてはいるんだが,まともに動かないんだな,コレが。ホント,何でもできそうで何にもできないね,この電話機は。

2006年10月19日

龍勢を見た

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 10月8日(日)に,秩父市吉田町の龍勢を見てきた。龍勢(りゅうせい)というのは,手製のロケットを発射する,吉田町椋神社のちょっと変わったお祭り。で,ロケットが発射される,タダそれだけなんだが,面白い。当然,発射に失敗する「機体」もあるわけだが,だからこそ,数百メートルを一気に上昇する姿を見ると,「おお~,すげー,やっほー...」などと奇声を発して妙に感動したりする。有料の桟敷席では,携帯コンロで焼きそばやおでんをつくりながら,お酒を酌み交わす姿があっちにもこっちにも。歩道でも,レジャーシートで陣取った面々がずらりと並んで,おにぎりやいなりずしを頬張って,長い1日を楽しもうという魂胆。
 この地域には,いくつものロケット製作集団があって,毎年,10月の第2日曜日には,朝9時から夕方5時過ぎまで,15分おきに発射が繰り返される。映画「October Sky」の世界が,毎年繰り返されているというか。そればかりか,各グループごとにお囃子集団や口上を歌い上げる「弁士」まで登場するので,この一発にかける気合は相当なもの。そもそも,この椋神社,あの秩父事件蜂起の場所なので,ちょいと深読みしてしまいそうなんだが,そうでなくとも,すでに,江戸時代には火薬を使っていたとの記述があるらしいので,刀狩の後,士農工商なんていってた時にも,ドカーンとやってたってことでしょ?すごいね。

伴大納言絵巻展

 11月5日まで出光美術館で開催中の「国宝 伴大納言絵巻展」に行ってきた。この春には,第1巻の有名な応天門炎上のシーンが公開されていたが,今回は,3巻全てを公開するという大盤振舞い。それに,米粒みたいに小さい(というのは言い過ぎだけど)登場人物を,壁面いっぱいに拡大したプリントがあったりで,それも一見の価値アリ。画集なんかで単に黒い着物と思っていたものが,シースルーの模様があって,下の生地の色まで描いてあるというのがハッキリ確認できたりする。
 平日の午後というのに,第1巻の始まる前には,しっかり行列ができていた。絵巻物というのは時間芸術の作品だから,鑑賞するには,それなりに時間がかかる。1枚1枚フレームで切られた絵画とはまったく異なる代物なので,これは覚悟して出かける必要がある。
 ただし,陳列ケースの前を,ロープ(リボン)で区切っておいて,「お急ぎの方は,その後ろからどうぞご鑑賞ください」というのは,いただけない。それじゃ,距離がありすぎで,けっきょく,待ち時間を我慢しても行列に並ぶほうを選択するという悪循環になる。わざわざ区画を切らなくっても,通常,「ゆっくり鑑賞する最前列」と「急いで見たい後列」というスタイル,確立しているものだと思うのだ。やはり,この春に開催された京都の国立博物館での「大絵巻物展」でも,会期途中からこのロープ(リボン)で最前列の区画を独立させる方法が導入されていたが,まったく余計なおせっかいで,観客の渋滞を悪化させる結果になっただけだと思う。
 ついでに,この夏に国立博物館で開催された「若冲展」では,何度も観客に移動を促すアナウンスをやっていたようだけど,そんなの,鑑賞する人によって,じっくり見たい場所というのは異なるんだから,一律にどんどん移動させるだなんて,間違いでしょ。早く移動したけりゃ,前の観客を追い越して行けばいいだけのこと。観客のほうも,管理のされ過ぎに慣れていて,順番に移動しろと言わんばかりに,無言で後ろから体当たりしてくる輩もいたりで,いやもう散々。
 で,肝心の作品についてまったく触れていないんだが,そりゃもう高畑勲の「十二世紀のアニメーション」などでも持ち上げられている通り。一つ一つの画面の構成から,物語的な展開を作り上げる脚本力というか,どれをとっても,魅力的な存在。先日のNHK新日曜美術館で学芸員が「この先,なかなか公開できないだろう」なんて口走っていたから,これは見ておくべき。ただし,この後最終週の10月31日以降にならないと,オリジナル3点は出てこないので(それまでは,1点のみオリジナルで,残り2点はレプリカが展示される),最後の週に大混雑でも行くべき!?

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