<発表>本から見つけた「すてきな言葉」~第2回~

[2021.01.08]

みなさんの愛読書から見つけた「すてきな言葉」を投稿する企画、第2弾です。
投稿された「すてきな言葉」をこちらのサイトと図書館1階展示コーナー(ブックウォールE) で共有しています。
投稿してくださった皆さま、ありがとうございました!

~すてきな言葉~  表示順序:学生→教職員(投稿順)

経営学部 2年  内田 充俊さん
~すてきな言葉~
「何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。」
~えらんだ理由~
夏目漱石『吾輩は猫である』の冒頭が「吾輩は猫である。名前はまだ無い」から始まることを知る人は多い。だがその巻末が溺れ死につつある猫の「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。ありがたいありがたい」で結ばれることを知る者は少ないかもしれない。小説は冒頭と結末に着目すると面白い。なぜならその二地点を移動する間で、主人公は何らかの形で変化するからだ。ちなみに本書の巻末はこう結ばれる。「何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。そして、まあ、おそらく私も間違っている」なぜ主人公の心境が変化したか。謎解き気分で、ぜひ本書を手にとって確かめてみて欲しい。
・書名:太陽の塔
・著者:森見 登美彦
・新潮文庫, 2006年 5ページより
https://opac.tku.ac.jp/detail?bbid=1000381159

職員 首から手が生えた鬼 さん
~すてきな言葉~
「神に祈ったか」
~えらんだ理由~
まだ中小企業でしかなかった(本学卒業生安城氏が社長を務めていたことでも知られる)京セラ社が飛躍のきっかけをつかむ際のエピソード。大企業からの不可能とも思える要求に対して「万策尽き果てた」と涙を流す部下に対して創業者の稲森氏が伝えた言葉。神頼みをしなさいというわけではなく、もう神様に祈ることしか出来ないほどの努力をしたのか?という問いかけ。その後の努力によりIBM社からの部品製造を受注したことで、京セラ社の製造技術に対する信用が世界中に知れ渡った。
・書名:君の思いは必ず実現する
・著者:稲盛 和夫
・財界研究所, 2010年より
https://opac.tku.ac.jp/detail?bbid=1000381161

職員 いぬじろうさん さん
~すてきな言葉~
「幸い世界は終わりませんでしたが 滅亡の危機が去ったとも言えません 私達が暮らすのは言わば 「終わりそうで終わらない でもちょっとだけ終わりそうな世界」です しかし私達はどんな時でも 毎日を過ごして いかなくてはいけません ピッツァトーストを焼いたり 散歩に出かけたりしながら それがこれからの戦いだと 私は思います。」
~えらんだ理由~
怪獣に襲われた世界で生きる人々を描くコメディです。悲壮感ゼロなのですが、人々は働いて、けんかして、ピザトーストを食っています。壊れている世の中でも人々は日常を生きようとしています。怪獣と感染症の違いこそあれ、今生きる人々が共感できること間違いなしです。
・書名:そのへんのアクタ
・著者:稲井カオル
・白泉社, 2020年 30ページより
https://www.hakusensha.co.jp/comicslist/57483/(外部サイトへリンク)

職員 本を読む人 さん
~すてきな言葉~
「たくさんの小説を読めばたくさんの人生を体験できる。そうするとたくさんの人の気持ちもわかるようになる〟」
~えらんだ理由~
本は自分の世界を広げてくれる、そんなことを再認識させてくれた、素敵な言葉です。
・書名:神様のカルテ0(zero)
・著者:夏川 草介
・小学館文庫, 2017年より
https://opac.tku.ac.jp/detail?bbid=1000381160

経営学部教員/図書館長 米山 高生 先生
~すてきな言葉~
「ピアノはちゃんと調律がしてあって音が決まっているために、堅く感ずる所があるが、筝の方が調子が自由になる。」
~えらんだ理由~
平均律のピアノを堅いと感じる感性は、現代人から失われつつある。しかし良い耳の演奏家の合奏は、洋の東西を問わず「自分の耳に都合のいい音」「自分の耳の気持ちがいい所」に音を持っていくことができる。ヴァイオリンと筝はそれができるという。盲目ゆえの感性で語られる数々の随筆は、誠に自然で得難いものだ。
・書名:新編 春の海、宮城道雄随筆集
・著者:宮城道雄著、千葉潤之助編
・岩波文庫, 43ページより
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784003116814(外部サイトへリンク)

◆経営学部教員/図書館長 米山 高生 先生
~すてきな言葉~
「一人でもいいから、心から誰かを愛することができれば、人生には救いがある。」
~えらんだ理由~
主要登場人物の青豆の言葉。この後、天吾との宿命的な展開。読みだしたら止まらない傑作。時の歪みがヤナーチェックのシンフォニエッタの冒頭の響きにマッチする。音響もこの作品の魅力のひとつ。
・書名:1Q84 Book 1 後編
・著者:村上 春樹
・新潮文庫, 2009年 93ページより
https://opac.tku.ac.jp/detail?bbid=1000101358