東京経済大学

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2015年度 第3回
コミュニケーション学部 川浦 康至 教授・学部長

自動音声の「ありがとう」はコミュニケーションなのだろうか。 コミュニケーション学部 川浦 康至 教授・学部長 自動音声の「ありがとう」はコミュニケーションなのだろうか。 コミュニケーション学部 川浦 康至 教授・学部長

Kawaura Yasuyuki
東京経済大学 コミュニケーション学部 学部長
東京学芸大学教育学部学校教育科卒業。東京都立大学人文科学研究科修士課程修了。東京都立大学人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。主な研究分野は、社会心理学、コミュニケーション論。

最近、コミュニケーションのあり方が問われることが多いですね。

 皆さんは、街中で流れる「ありがとうございました」という自動音声を聞いてどう感じますか? SNSでのやりとりに空しさを感じる瞬間はありませんか? コミュニケーションとは本来、送り手と受け手がいて、相手に伝えたり互いを理解したりするためになされるものです。でも、現状は「一見コミュニケーションしているようだが、実はコミュニケーションになっていない」ように思えてなりません。コミュニケーションが危機に瀕しているいまだからこそ、コミュニケーションを研究する意義があると思っています。

「コミュニケーション学」とは、何を学ぶ学問ですか?

 学ぶ対象は二つに分かれます。第一は、インターネットやテレビ、新聞といったメディア、広告活動や言語表現などの"コミュニケーションそのもの"です。第二は、"コミュニケーションという見方"です。心理学や社会学、文化人類学、言語学、経営学、経済学など、多様な領域で扱われているコミュニケーションを核に研究するのがコミュニケーション学です。

コミュニケーション学は、社会でどのように役立ちますか?

 私のゼミでは、「社会心理学」の観点からコミュニケーションに関わる事柄に迫ります。その際、前提とするのが「人の行動は『個人』の特性と同時に、『状況』の影響も受ける」という考え方です。例をあげましょう。すれ違いざま挨拶したのに挨拶を返されなかったとします。なんと失礼な人だろうと不快になるかもしれません。しかし、その人は急いでいて、挨拶を返す余裕がなかっただけなのかもしれません。考えごとをしていた気づかなかった可能性も考えられます。状況にも注目する見方は自分自身はもとより人間関係、社会問題まで、幅広い領域に応用できますよ。

川浦ゼミの研究テーマは、とても「日常的なこと」ですね。

 「"2015年のニッポン"という博物館にいるような気持ちで日常を観察してほしい」と、よく学生に話しています。好奇心を持ってアンテナを張っていれば、新たな発見がある。それが研究の出発点です。これまでゼミでは「名前」「誕生日」「モノ」などをテーマにしてきました。今年度は「伝わる表現」。駅名表記を例にとると、これまで「国会議事堂前」は「Kokkai-gijidomae」となっていました。これで、英語しかわからない人に伝わるでしょうか。例えば「National Diet」にしたら、と思いませんか(現在は改善済み)。このように、身の回りには、誰に何を伝えたいかがあいまいな表現がたくさんあります。コミュニケーションを通してもっと快適な社会をつくるためにどうすればいいか、この1年、みんなで考えていきます。

ゼミで鍛えられる能力は何ですか?

 「調べて書く力」です。本やインターネット、インタビュー調査など、多様な方法で調べ、それを分析し、文章にまとめる訓練を重視しています。ねらいは「多面的にものを見る力」です。社会心理学で学んだように、状況や環境に目を向け、多様な視点で物事を考える力は、社会に出てからも役立ちます。

Students'VOICE川浦ゼミで学ぶ学生の声

大倉茉莉さん(4年)
川浦ゼミは、先生の人柄のとおり、おっとり和やかな雰囲気です。15人程度という少人数で自由に意見を交わしあえる場はとても貴重だと思います。私はもともとあまり本を読む方ではなかったのですが、ゼミで自分の興味に沿って研究するようになってからは図書館で必死に調べるようになりました。高校生の皆さんには、学部の名称だけで何となく進路を決めてしまうのではなく、まず自分が本当に興味のあることを考えたうえで、学ぶ環境を選んでほしいですね。
中陳香織さん(4年)
もともとメディアの研究に興味があったのですが、次第に社会心理学に関心を持つようになり、このゼミに入りました。卒業論文では、自分自身も経験がありずっと心の中でモヤモヤしていたテーマに正面から取り組みました。卒論「がん患者が自らを受容する過程はどのようなものか」は、川浦先生の丁寧なご指導のおかげで4年間の学びの集大成として満足のいく研究になり、最優秀卒業論文賞もいただくことができました。

※学年は取材当時のものです。

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