「流行の洋服を着たいが友達と被るのはイヤ」「コンビニに立ち寄ると予定外の物まで買ってしまう」「ディズニーランドでは高価なお土産も平気で買う」「服を捨てると気分がスッキリして新しい服を買いたくなる」――皆さんも思い当たることがありませんか? 近藤ゼミでは、こういった我々消費者の購買行動について学ぶ消費者行動論をはじめ、流通論や広告論など、マーケティング全般を幅広く研究しています。誰もが関わりのある身近な分野ながら、意外な発見に満ちたとても面白い学問分野ですよ。
どんなテーマの場合も、仮説を立て、集めたデータに基づいて仮説が支持されたかどうかを検証する、という基本的な実証研究の流れに沿って進めます。文献を読んだり既存の学術理論を学んだりするだけではなく、自ら情報を集め考えることも大切にしているのです。
例えば、冒頭の「流行の洋服を着たいが、同じ服だと抵抗がある」という相反する消費者心理について研究したグループは、延べ300人以上の大学生にアンケート調査を行い、数値データを統計分析しました。ほかにも、ウォルマート子会社である西友の戦略について調べたグループは、競合企業を含む4社のスーパーのチラシの分析と、約20もの店舗での店頭観察を実施し、独自の研究にまとめ上げました。
どんな問題設定をするか、つまり、何をリサーチ・クエスチョンにするかによって、論文の価値が決まるといっても過言ではありません。ただ、私がテーマを指示することはほとんどありません。ゼミ生には、「何が問題なのか」「なぜそれを解明すべきなのか」を徹底的に考えてもらいます。時には方向性が決まらず迷走したり、先行研究が少なく苦労したりもしていますが、その分、専門家でも気づかないような面白い論点を見つけてくる学生もいて頼もしいですね。
ゼミでの研究は3人1グループで進めていますが、本ゼミ後も自主的に夜9時頃まで残っている班は珍しくないですし、昼休みにもしょっちゅう集まって研究に取り組んでいます。昨年度は、11月に他大学の学生も集う「日本学生経済ゼミナール関東部会」(インナー大会)、12月に年間の集大成である「経営学部ゼミ研究報告会」と続いて、かなりハードでしたが見事に乗り切っていました。
ゼミは、誰かにやらされるわけではない、主体的な学びの場です。「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、この自ら問題意識を持って学ぶ環境こそが、やりがいや充実感、成果物の質の向上につながっているのだと思います。苦労して論文を仕上げた経験も、同期や先輩・後輩、教員と築いた関係も、生涯にわたる財産になると信じています。
※掲載されている教員・学生の所属学部・職位・学年及び研究テーマ等は、取材当時のものです。