キャリアデザインプログラムの大きな特長は、キャリア教育です。ここでいうキャリア教育とは、就職活動対策のノウハウだけを意味するものではありません。むしろ、本プログラムのキャリア教育は、生涯を通じて学び続け、自分の将来を切り拓いていくための基礎力を身につけることに焦点を当てています。そして、生涯、学び続ける力は学問的な学びを通して育成できるものであり、それが本来の大学の在り方です。
具体的には、1年次から「キャリアデザイン・ワークショップ」を開講します。少人数の参加型の授業で学生が主体的に自分のキャリアを考える力を身につけるように促すとともに、リーダーシップ、協調性、コミュニケーション力など社会人として必要なスキルを養っていきます。
また、これと並行して学内志塾「大倉進一層キャリア塾」を設けます。ここでは多彩な分野で活躍する卒業生らをゲストに招き、グループワークやディスカッションを行います。通常、学生は就職活動を始めてから企業や仕事の実際を知ることになります。しかし、早い段階で企業や社会の実際を知ることができれば、その仕事に就くにはどんな力が必要なのか、その力はどうしたら養えるのかを考えて学んでいけます。また、自分に足りない力に気づき、それを学びに反映させることもでき、選択肢が広がるはずです。
キャリアデザインプログラムのキャリア教育は、学問と仕事・職業との結びつきを意識させ、学びへの動機付けができると考えています。
まず入学後の1年間、各学部の入門科目を履修します。ここで東京経済大学の4学部で学ぶ内容を理解し、それぞれの興味・関心の方向や適性を掘り起し、2年次から各学部に所属して専門科目を学びます。
大学受験の時点で公認会計士や税理士になりたい、法律に関係する仕事に就きたいと、将来の希望が明確なら、おのずと志望学部は決まります。しかし、多くの高校生は、大学での学びを具体的にイメージできないまま学部選びを行っています。それは、高校で学ぶ社会(地歴・公民)と大学で学ぶ社会科学の区切りが必ずしも一致しておらず、高校生の時点では「専門」が見極めにくいためです。その点、キャリアデザインプログラムは実際に学んでから学部を決めるので、学びたかったことと違うという学部選択のミスマッチを防ぐことができます。
さらに、2年次から各学部に所属しても、学部横断履修科目により学部の枠を越えた学びが可能です。学んでいく中で関心が広がることもあれば、興味の方向が変わることもあります。また学部を選択したものの、他の分野も学びたいと考える学生もいます。そうした学習意欲に応えるため、本プログラムではそれぞれのニーズに応じて自由に科目を選択できる学部横断履修科目を用意しています。
このように社会科学を幅広く学べ、社会科学の素養を身につけられるプログラムを展開できるのは、東京経済大学が社会科学系の総合大学だからこそです。
キャリア開発は自分の問題としてとらえることで初めて可能になるものです。したがって、将来のために、自分で必要な力を身につけていこうとする姿勢が求められます。言い換えれば、キャリアデザインプログラムは、まだ明確な目標は決まっていないけれど、自分の可能性を探ってみたいという意欲にあふれた学生が本当に成長できるプログラムなのです。
このキャリアデザインプログラムで、自分の適性や潜在的な力を発見し、就職活動をゴールとするのではなく、長期的にキャリアを考え、自分の人生をデザインできるようになってほしいと思います。
※掲載されている教員の所属学部・職位及び研究テーマ等は、取材当時のものです。